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ベトナムで活躍する日系企業|
リーダーたちの構想 第41回
ホーチミン日本商工会議所(JCCH)

双日ベトナムの副社長兼ホーチミン店長である水嶋恒三氏は、今年4月にホーチミン日本商工会議所(JCCH)の会頭に就任した。新型コロナで揺れた南部でどのような対応を続けたのか。この1年を振り返る。

通常の2倍以上、17通の要望書

―― 御社の事業内容を教えてください。

水嶋 双日の前身である日商岩井は、1986年に日本企業として初めてベトナムに駐在員事務所を設立しました。ベトナムとは双日にとりまして、とても縁の深い国です。

 現在では約20社の関連会社を運営しており、ガスや発電などのエネルギー、肥料や飼料などに加え、製造業の方ならお馴染みのロンドウックとロテコの工業団地も運営しております。また、小売ではミニストップ、日配惣菜の製造販売をするジャパン・ベスト・フーズ、製紙会社のサイゴン・ペーパーなど多岐にわたりベトナムでの展開を図っています。

―― JCCHでは、会頭として「More for Vietnam」をスローガンに掲げています。

水嶋 はい。日系企業や日本人だけを対象とするのではなく、長期的な視点に立って、ベトナム社会との共生と共創を実現したいと考えました。ベトナムの人たちといかにして一緒にモノを作っていくかに注力すれば、それが結果的に我々日本人と日系企業の大きなプラスになるからです。

 そのため、就任後はホーチミン市と周辺各省の人民委員会などを訪ねて、挨拶に回りたいと意気込んでいました。日系企業のビジネスを含めて親しい関係を作りたかったのです。

 しかし、新型コロナの第4波が発生し、その後はホーチミン市と南部各省で社会的隔離やロックダウンがあり、工場での操業規制も始まりました。私も皆さんと同様、9月までまともに動けない状態でした。

 この間は、主としてコロナ対応に追われる毎日でした。主に要望書の対応のためです。会員企業からいただくご意見などをまとめて、ホーチミン市をはじめビンズン、ドンナイ、ロンアンやバリアブンタウなど周辺省、また個別の輸出加工区宛てや日本政府へも要望書を送りました。

 JCCH単独で出した要望書だけでも合計17通になったのですが、これは例年の2倍以上の数です。理由は困難に直面する企業が多くなったからで、ご意見を元に事務局などと議論し、より多くの企業の利益になる提案にまとめました。今年の年初は改正労働法に関する要望もありましたが、それ以降は徐々に切羽詰まった嘆願に変わっていきました。

―― どのような内容でしたか?

水嶋 工場操業のために工場内で生産、食事、宿泊をする「3オンサイト」や、工場と宿泊施設を送迎する「1ルート・2スポット」の条件緩和などです。私たちはベトナムが既にグローバルサプライチェーンの一翼を担っており、操業規制でそれが寸断される危険性も訴えました。

 日本へは入国制限の緩和や海外駐在員の日本でのワクチン接種などで、駐在員の家族にはベトナムの感染状況や医療体制などの事実が伝わるよう努めました。

 また、在ベトナム日本国大使館や在ホーチミン日本国総領事館には、在越邦人へのワクチン接種をお願いしました。ホーチミン市では8~11月にかけての計18日間でワクチン接種が行われ、希望者全員が接種できたと考えています。

 要望書ではありませんが、新型コロナに感染した日本人のケアも大切でした。ワクチン接種が広がる前は重篤化する確率が高かったため、総領事館とも連携し、医療機関や隔離ホテルを紹介することもありました。

 ホーチミン市と周辺省の人民委員会からは、新型コロナ対策についての意見を求められました。ここでも製造業の操業規制の話が多くなりましたね。市や省が懸命に努力しているのはわかるけれども、規制を厳しくしすぎると特に製造業へのダメージは大きく、それがベトナム経済にも響いてくるなどと伝えました。

 日本以外の各国の商工会議所や経済団体なども同様の主張を7~9月にしており、本所を含め首相への嘆願書も提出。その効果があったのか、ホーチミン市では10月からロックダウンが緩和され、同時にベトナムはウィズコロナへと方向転換したのです。

ベトナムは回復基調にあり

―― 12月中旬にはホーチミン市人民委員会とのラウンドテーブルが開催されます。

水嶋 昨年はプレラウンドテーブルまで進んだものの、新型コロナの影響で実際のラウンドテーブルは開けませんでした。今年はラウンドテーブルの開始から20周年になりますので、何とか実現したいと考えています。

 会員企業からの要望を吟味してベトナム側に提出し、その回答を得ており、現在(取材時)はその回答内容を担当委員長が一つ一つ確認して、ベトナムの各部局の担当者と折衝しているところです。

 今回は20周年記念として、ラウンドテーブルではこれまでの歴史を振り返り、どんな内容が効果的だったかなどの評価をする予定です。また、長年操業し頑張っている日系企業を表彰いただけることもベトナム側と調整しています。

―― 要望にはどのようなものがありましたか?

水嶋 法務、労務、税務や通関に関する改善など従来からのテーマが多い一方で、新型コロナの影響によるものもあります。例えば、隔離・治療体制の改善、物流での移動制限の緩和、3オンサイトのために発生した費用やPCR検査費用の損金算入などです。損金算入については認められるようになりましたが、現在は1ルート・2スポットでの費用も含まれるか確認しています。

 また、多かったのは、規制や緩和などの通達は実際に施行されるもう少し前に出してほしいという要望です。こうしたことは実現できるかどうかは別にしても、ベトナム政府側も多忙ですので、積極的に提案を続けないと改善は難しいのです。

―― 来年のベトナムはどう変化すると思いますか?

水嶋 JETROホーチミンさんと協力して、11月9~16日に会員企業にアンケート調査をしました。すると、今年の7~9月は前年同期比で、6割以上の企業の売上が減少していました。しかし、10~12月には30%、2022年通年で45%の企業が売上増を見込んでいます。ベトナム経済と日系企業の回復基調が伺えます。

 ウィズコロナになれば世界的に消費や生産が活発になるでしょうし、私も景気は上向くと期待しています。ただし、その前提として、仮に新型コロナの第5波が来ても、ベトナムが以前と同じ対応を取らないことがあります。

 もし同じことが起これば別の方策を考え始める企業が、日系だけでなく外資系企業全体に拡がるでしょう。実際にアンケートからも、ベトナムから生産拠点を一部移管した企業、現在検討中の企業が少なからずあることがわかりました。

 一方で、日本からのFDI投資は堅調で、新型コロナ禍であっても投資意欲は高い。ベトナムは日本にとって、生産拠点、消費市場、そして地政学的にも大きな魅力があるのです。

 今後は市や省の関係者と会って、一緒に何ができるかを考えたいです。そしてそれを日系企業だけでなくベトナム社会に還元したい。また、会員同士の交流やビジネスマッチングなどができていませんので、ぜひその場を作りたいと、各委員長と相談しているところです。

 今年はどうしてもネガティブな話題が多くなりました。来年は危機感を持ちながらも前向きに行きたいですね。

ホーチミン日本商工会議所(JCCH)
水嶋恒三 Kozo Mizushima
大学卒業後、日商岩井(現・双日)に入社。鉄鋼会社向けの石炭の輸入業務に携わり、この間にジャカルタに駐在。その後EC、エネルギー、物流事業などを経て、2019年4月にベトナムに赴任、2021年4月にJCCH会頭に就任。