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【経済】ベトナムのインフレは既に起きているのか?

(C) VNEXPRESS

物価の高騰によって、多くの市民がインフレが発生したと考えているが、専門家は、状況はまだ制御されていると分析する。

物価の上昇は世界中で起きており、ベトナムも例外ではない。特に最近のガソリン価格と金価格の上昇の後、その傾向が顕著になっている。

ベトナムのインフレ圧力は、昨年末から指摘されているが、これまでのところ、多くの専門家は、現在の物価上昇率は、まだ政府目標の4%未満に抑えられていると指摘する。

2月にHSBCは、2022年のベトナムのインフレ率予測を3%に引き上げたが、”大きな懸念事項ではない”と評価した。3月に入ってロシアとウクライナの緊張によって、燃料価格が大きく変動した際に、HSBCは、インフレリスクについて警戒感を示したが、インフレ率予測は変更しなかった。

同様に世界銀行は、3月のレポートで、燃料価格の上昇にも関わらずインフレ率は抑制されているとの見方を示した。ドラゴンキャピタルファンドも、ベトナムのインフレ率は3.58~3.8%の範囲に収まっており、政府目標の4%より低いとの見方を示している。ただし、最悪のシナリオとして、ロシアのウクライナ侵攻が進み、イランの核合意が進展しない場合には、原油価格が1バレルあたり105USDに達し、ベトナムのインフレ率も4.18%まで上昇すると予測している。

国内の専門家は、物価が安定しているとの見方を示す。最近開かれたセミナーで、国家金融監督情報センターのグエン・バー・カン副所長は、今後インフレ率は上昇するが、それほど高くはならないとの見方を示した。カン副所長によると、VATが引き下げられ、需要を刺激する一部の商品の価格は安定しており、一部の業種ではインフレが抑制されている。「原油価格が急速に高騰したので、政府の政策のプラス面が顕在化しにくくなっています。」とカン副所長は話す。

しかし、消費者のインフレに対する心理は、専門家ほど楽観的ではない。ハノイのメディア関係企業で働くジエムさんは、COVID-19とは関係なく、この2か月映画を観に行かなくなったと話す。

「1人では映画は観ませんが、家族3人で行けば1回で60万~70万VNDの出費になって、高すぎますよ。」とジエムさんは話す。さらにジエムさんはもうすぐ生まれる二人目の子供のために、赤ちゃん用の服や玩具を譲ってもらうよう友達にお願いしていると話す。「ケチってるわけじゃないですが、物価が上がっており何か手を打つ必要がありますから」とジエムさんは話す。

ガソリン価格の高騰を受けて、37歳のエンジニアであるフンさんは、節約のために移動を車からバイクに切り替えた。妻のチャンさんは、この1週間、毎日夫のお弁当を準備している。以前、フンさんは週の殆どの昼食を同僚との外食で済ませていた。「物価が上がり過ぎているので、今は、不要な出費は抑える必要があります。」とフンさんは話す。

28歳の銀行員であるミンさんは以前は、50万ドンは2日分の食費にしかならないと話す。「もし、家族でちょっと美味しいものでも食べに行けば、50万ドンは1回分の食事代にしかなりません。」とミンさんは話す。以前、ミンさんが市場で家族5人の1週間分の買い物をするには100~150万VND必要だったが、今では、15%以上値上がりしている。

インフレに対する市民と専門家の見方が異なる理由は何か?

ホーチミン市経済大学の金融技術研究所のグエン・カック・クオック・バオ所長は、問題は、インフレが時間差をもって現れてくることにある指摘する。「コストプッシュインフレの兆候は、すぐに人々の心理と行動に影響を与えます。しかし、正式なデータやレポートでは、それらの数字はタイムラグを持って現れてきます。恐らく、今年の第2四半期か第3四半期、もしくは年末ごろになって、ようやくベトナムの経済データにインフレの影響が表れるでしょう。」とバオ所長は話す。

ベトナムでは、ガソリンは日常生活や生産活動に欠かせないものであるため、価格が調整されるたびに社会に大きな影響が出るとバオ所長は話す。ガソリン価格は高値を更新し続け、過去最高値の1リットル3万ドン近くまで上昇したため、他の多くの製品の価格にも影響がでている。

「実際には、まだガソリンの値上がりの影響は反映されていないにもかかわらず便乗値上げによって、市民の頭の中ではあらゆるものが値上がりしたと考えられています。」とバオ所長は話し、インフレ期待と浸透効果が現在の最も懸念される事項であるとの認識を示した。

人々のインフレに対する認識も監視する必要がある必要があるかもしれない。ニューヨークタイムズ紙が分析したアメリカのケースと同様に、消費者が物価の上昇が長引くと考えている場合、燃料費と物価の上昇圧力は、深刻な問題に発展する可能性がある。

「もし、人々のインフレ期待が高ければ、市民は、現実を受け入れるように行動を変え、物価の上昇を受け入れる代わりに、物価上昇に合わせた収入面の調整を要求してくるだろう。」とニューヨークタイムズ紙は分析している。

経済学の研究では、インフレ期待は、実際のインフレに重要な影響を与えることが判っている。例えば、人々が物価が3%上昇すると考えるようになると、企業は製品やサービスの価格を少なくとも3%上昇させたいと考えるようになり、労働者は物価上昇率に合わせた賃金上昇を期待する。つまり、1%のインフレマインドが実際のインフレ率もそれに応じて上昇する可能性があるのだ。

インフレを抑制するためには、マクロ経済政策によって人々の物価に対するマインドを安定させることが重要だとバオ所長は話す。バオ所長によると、ガソリン税の50%減税政策は、市民のインフレへの不安を落ち着かせるためには、効果的な対策だった。同様に財務省の価格管理局のグエン・スアン・ディン副局長も、ガソリン価格安定化基金が国内の価格管理において効果的なツールであるとしている。

さらに、専門家はマーケットの為替レートと金価格を安定させるための調整も必要であると指摘している。ベトナム人は、物価の上昇圧力に直面した際に、USDの為替レートと金相場に注目する習慣がある。バオ所長によると、今後の為替レートと金相場の調整は、非常にセンシティブなものになる。変動が大きければ市民に混乱が広がり、市民の混乱した行動がインフレをさらに加速させる可能性があるからだ。

また、一部の専門家は、現在必要な対策は、各地方で投機的な動きや買いだめ行動が起きないようにするために、あらゆる面で供給不足が起きないようにすることだと指摘している。

出典:15/03/2022 VNEXPRESS
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