スタンダードチャータード銀行(SCB)は、2023年のベトナム経済の見通しについて2022年の回復の勢いを受けて、引き続き力強く成長すると予測している。
SCBが作成した”ベトナム-高度成長維持”と題するレポートでは、ベトナムのGDP成長率は2023年が7.2%、2024年が6.7%と予測されている。この予測は、国会が政府に割り当てた2023年GDP成長率目標の6.5%を0.7ポイントも上回っている。
これより前、ベトナム政府と経済専門家は、世界経済が景気低迷の兆候を示しており、国内経済ついてインフレ率の上昇など経済成長に影響を与える要因が複数存在しており、一部の業界のビジネスが困難な状況にあるとして、6.5%の経済成長目標はチャレンジであるとの認識を示していた。
また、HSBCもベトナムの輸出が大きな困難に直面していることを受けて、2023年のベトナムの経済成長率予測を5.8%とし、”成功に安住することはできない”と警告している。Smartinvest証券の研究チームは、楽観、通常、悲観という3つのシナリオを描き、それぞれの経済成長率を7.3%、6.9%、6.2%と予測している。
「我々は、ベトナムには中期的に見てまだ力強い経済成長を遂げる可能性が残されているとみています。」とSCBのタイとベトナムの経済分析を担当するティム・リーラハファン氏は述べた。ティム・リーラハファン氏によれば、2022年第4四半期のマクロ経済の一部指標には減速の兆候が見られたが、それでもベトナム経済は力強く発展している。また、2022年下半期の小売売上高も順調に伸びており、国内の経済活動が改善していることが分かる。
SCBの専門家は、貿易収支バランスは改善し、輸出は世界的な困難に直面し減少する可能性が高いと指摘する。また、FDIの実行額は引き続き増加しているが、今後の見通しは世界経済の状況に左右されるとし、インフレ率も今後のベトナムの経済回復にとって脅威になる可能性があると分析している。
ベトナムのインフレ率は、2022年末に6%に達しており、2023年と2024年には、平均5.5%ずつインフレが進行すると予測されている。これは、2022年にベトナムが立てたインフレ目標の4.5%を上回っている。SCBでは、ベトナムの財政赤字が長期化する可能性があり、それによってインフレが起きると予測している。
SCBはまた、ベトナム国家銀行が2023年第1四半期に金利を100ポイント引き上げ、安定を維持するためにこの金利を2024年末まで維持すると予測している。
「ベトナム国家銀行は、引き続きインフレ、ドン安、不動産セクターのリスクの高いローンから生じる金融不安のリスクに引き続き慎重に対応するでしょう。国家銀行は貿易の競争力に影響を与えない範囲で通貨の安定を最優先する可能性があります。」とティム・リーラハファン氏は述べた。
SCBによれば、ベトナムドン(VND)はここ数週間で大幅に回復している。しかし、今後は様々な問題の影響を受けて、ベトナムドンの上昇率は鈍化する可能性がある。そのため、外貨準備高の確保が国家銀行の最優先課題になるかもしれない。一方で、ベトナムの経常収支の改善と旅行業界の回復がVND高を支える可能性もある。USDとVNDの為替は、2023年末が2万3400VND、2024年末が2万3000VNDで推移するとみられている。
出典:06/01/2022 VNEXPRESS
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