女子高校生を故意にひき死亡させた運転手に禁錮20年
ハノイ市人民裁判所は6月30日、女子高校生を故意に車でひき死亡させたとして殺人罪に問われていたディン・バン・ロン被告(52)に対し、禁錮20年の判決を言い渡した。
事件は2025年9月に発生し、交通事故後に被害者を意図的にひき殺した行為として、ベトナム国内で大きな衝撃と怒りを呼んでいた。
事故後に再び車を進めた疑い
起訴状によると、ロン被告はハノイ市内の建設資材会社に勤務するミキサー車の運転手であった。
2025年9月13日朝、生コンクリートを運搬中、フースエン地区のバンディエム地下道付近で事故が発生した。
被害者の女子生徒N.D.Aさんは電動バイクで同方向に走行しており、車両右側から追い越そうとした際、別のトラックが進路を横切ったことで転倒した。
電動バイクは路肩側へ倒れた一方、生徒本人は車両前方左側へ転倒し、ミキサー車の前輪に巻き込まれた。
検察によれば、被告は衝突を認識してブレーキを踏んだものの、車両は約4メートル進んで停止した。
その後、バックミラーで確認した際、倒れた電動バイクは見えたものの女子生徒の姿を確認できなかったという。
捜査機関は、被告が「被害者が重傷なら高額な賠償責任を負うことになるが、死亡すれば刑務所に入るだけで済み、賠償負担も軽くなる」と考え、故意に車を前進させて被害者を死亡させようと決意したと認定している。
被告は約10メートル進行したところで周囲の住民が異変に気付き、大声で制止したため車を停止した。
車外へ降りて確認した際、被害者は車体下部に挟まれた状態だったという。
その後、被告は車両を約3メートル後退させて現場を離れ、同日午後7時頃に出頭した。
女子生徒は病院へ搬送されたものの、搬送途中で死亡が確認された。
裁判所「極めて危険で非人道的な行為」
審理では裁判長が、「車を停止できたにもかかわらず、なぜ現場確認をしなかったのか」と繰り返し問い質したが、被告は終始うつむいたまま沈黙を続けた。
裁判長は、「大型車両の運転資格を持つ職業運転手でありながら、衝撃音を聞き、車輪の下に異物を感じながら確認を怠った理由は何か」と追及したが、被告は「動揺して話せない」と答えるにとどまった。
さらに裁判長は、「約25トンの車両が路上に横たわる人の上を通過した場合、生存できると思うか」と質問したところ、被告は小さな声で「できない」と認めた。
判決文で裁判所は、「被告の行為は極めて危険であり、直接的な殺意に基づくもので、人間性を欠いた行為として社会に強い憤りを引き起こした」と指摘した。
その上で、厳罰が相当であるとして禁錮20年を言い渡した。
被害者家族への賠償も命令
刑事責任に加え、裁判所は被告に対し、被害者遺族へ1億8,200万VND(約110万円円)の損害賠償を支払うよう命じた。
今回の事件は、単なる交通事故ではなく、事故後の判断が故意による殺人行為へと発展した極めて異例のケースとして、ベトナム社会に大きな衝撃を与え続けている。



















