ベトナムのカシューナッツ産業で、2026年1~7月の原料輸入額が製品輸出額を上回り、一時的な輸入超過の状態となった。
業界団体は、加工貿易特有の季節要因によるもので異常な状況ではないと説明する一方、原料価格の上昇や輸入依存の高まりによって、加工企業の収益環境は厳しさを増している。
原料輸入額が輸出額を約4億USD上回る
ベトナム税関当局によると、7月までに輸入したカシューナッツ原料は約182万7,000トン、輸入額は30億USDを超えた。
一方、カシューナッツ製品の輸出は約37万3,800トン、輸出額は約26億3,000万USD
となり、輸入額が約4億USD上回った。
一見すると貿易赤字にも見えるが、ベトナム・カシューナッツ協会(VINACAS)は「産業の実態を正しく反映した数字ではない」と説明している。
加工産業特有の季節要因
業界によると、カンボジアやアフリカ諸国では毎年2~6月が収穫期となる。
ベトナム企業はこの時期に年間分の原料を大量に調達するため、輸入額が一時的に急増する。
輸入した原料は、
- 蒸し工程
- 殻むき
- 加工・選別
- 包装
を経て輸出されるため、原料購入から輸出までには時間差が生じる。
そのため、今の時期に輸入額が輸出額を上回ることはカシューナッツ加工産業では一般的な現象だという。
さらに2026年は収穫時期が例年より遅れたため、輸入が5~6月まで続き、輸入額が一段と膨らんだ。
年末商戦で輸出拡大に期待
欧米市場ではクリスマスや年末商戦に向けてカシューナッツ需要が高まる。
このため、現在加工中の製品は年後半に輸出される見込みであり、業界では年末にかけて輸出額が伸び、輸入超過も縮小すると見込んでいる。
加工企業の収益は厳しさ増す
一方、現場では経営環境の悪化が続いている。
ビンフック省の加工企業では、原料価格の急騰を受け、一時的に生産や受注を停止した企業もある。
国際物流の混乱などを背景に輸入原料価格は上昇を続けているが、製品価格はそれほど上昇しておらず、利益を確保しにくい状況となっている。
企業関係者は、「原料価格の上昇スピードに販売価格が追いつかず、調達を誤れば赤字になる」と危機感を示している。
原料の半数以上をカンボジアに依存
ベトナムのカシューナッツ産業は、国内生産だけでは加工需要を賄えず、海外から大量の原料を輸入している。
2026年上半期は、
- カンボジア:約103万トン(全体の約56%)
- コートジボワール:約21万3,000トン
が主要な供給国となった。
輸入価格は1トン当たり平均1,609USDと前年同期比約2%上昇した。このため、輸入量の増加に加え、単価上昇も輸入額を押し上げる要因となった。
専門家は、供給国で生産量や輸出政策に変化が生じれば、ベトナム企業のコスト競争力が直接影響を受けると指摘している。
利益率低下が業界共通の課題
ベトナム・カシューナッツ協会によると、近年は利益率が年々低下している。
輸入原料の約1割は半加工品となっており、ベトナム国内では薄皮を除去する最終工程のみを担うケースも増えている。この場合、国内で付加される価値は限定的で、加工賃も低くなりやすい。
また、2026年前半の輸出が好調だった背景には、米国で開催されるワールドカップ関連需要による買い増しもあるとされる。
年末需要については依然として不透明感が残っており、市場動向を慎重に見極める必要がある。
加工貿易の強みを維持できるかが今後の焦点
今回の輸入超過は、加工産業特有の調達サイクルを反映した一時的な現象であり、それ自体を悲観する必要はない。
しかし、原料の海外依存度が高まる一方で、加工企業の利益率は縮小しており、収益環境は以前より厳しくなっている。
今後は、国内原料の生産性向上や調達先の多様化、高付加価値製品への転換が、ベトナムのカシューナッツ産業の競争力維持に向けた重要な課題となりそうだ。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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