ホーチミン市の路上で14年、生計を立てる73歳
ホーチミン市の路上で、14年間にわたり宝くじを売り続ける高齢男性がいる。
グエンタイソン通りの一角。車のクラクションが鳴り響く中、73歳の男性は小さな日陰に身を寄せ、静かに商売を続けている。
「夢」を売り、「現実」を拾う日々
男性の“売り場”は、年季の入ったバイクに簡素な台を取り付けただけのものだ。
前方には色とりどりの宝くじが並び、人々が「一攫千金の夢」を託す。一方で後方には、空き瓶や段ボールなどの廃品を載せた手押し車が連なっている。
宝くじを売り終えた後や合間には、廃品回収でわずかな収入を補うという。
「少しでも家計の足しになればいい」と語るその姿は、厳しい生活の現実を映し出している。
足の痛みを抱えながらの商売
男性は毎朝早くから活動を始めるが、足の痛みのため移動は困難である。
そのため、1日に仕入れる宝くじは約140枚に限定し、同じ場所で販売を続ける。
天候に左右される生活であり、晴れの日は早く帰れるが、雨の日は簡素な傘の下で耐えるしかない。
わずかな収入でも家族を支える
宝くじをすべて売り切っても、得られる利益は多くない。
それでも男性は、毎日約10万VNDを妻に渡し、生活費の足しにしている。残りのわずかな金額でコーヒーを飲むのが、唯一のささやかな楽しみである。
家族を思い、頼らず生きる選択
妻も市場で小商いをしており、夫婦で支え合って生活している。
4人の子どもはそれぞれ家庭を持つが、経済的余裕はなく、親を支援することは難しい状況だ。
男性は「まだ働けるうちは自分で生きる」と語り、子どもに頼らない姿勢を貫いている。
人情と裏切りが交錯する路上
この14年間、路上ではさまざまな出来事があった。
見知らぬ人が釣り銭を受け取らず立ち去るなど、温かい善意に触れることもある一方、偽の当選くじで騙される被害にも遭った。
苦労して貯めた現金を失ったが、「お金で済んだと思えばいい」と自らを慰めたという。
物価上昇と制度の厳しさ
近年は物価上昇が生活を直撃している。
食品価格は上昇しているが、宝くじ販売の手数料は変わらず、さらに売れ残ったくじは返品できない「買い切り制度」であるため、リスクはすべて販売者が負う。
夫婦は支出を切り詰めながら、厳しい生活を続けている。
それでも続く小さな希望
一方で、当選者が後日訪れ、謝礼を渡すこともある。
そうした瞬間は「心から嬉しい」と語り、生活費や医療費の備えとして大切に使っている。
「健康であればそれでいい」
将来の願いを問われると、男性は静かに笑う。
「もう大きな望みはない。ただ健康で、これからも自分の力で働ければそれで十分だ」
華やかな都市の片隅で、地道に生きる一人の老人。その姿は、都市の発展の陰にある現実と、人の温もりの両方を映し出している。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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