「5年前に死んだはずの女性が生きていた」
5年以上前に死亡し、葬儀・埋葬まで行われたとされていた女性が、突然生存していることが判明し、地域社会に大きな衝撃が広がっている。
事の発端は、ベトナム中部タインホア省タインホア市クアンチュン街区第3住民組織の組長を務めるレ・ティ・ハイ氏が、故人とされていたグエン・ティ・トゥー(41歳)が生存しているとの連絡を受けたことであった。
「線香をあげ、埋葬までしたのに…」
ハイ氏は、「彼女が亡くなった際、私も住民と共に線香をあげ、見送り、埋葬まで行った。生き返って戻るなど映画の中の話だと思っていた」と、驚きを隠さない様子で語っている。
12月16日、トゥーの実母であるチャン・ティ・タップさん(70歳)から「娘は死んでおらず、ハノイから戻る」とハイ氏に電話があり、その後本人からも連絡が入ったという。
住民が殺到、当局が介入
翌17日、トゥーが実際に帰郷し、地域の文化会館に姿を現すと、5年前に葬儀を担当した関係者や多くの住民が集まり、騒然となった。
治安維持のため、クアンチュン街区人民委員会は、母娘を街区の庁舎へ移し、正式な事情聴取を行った。

警察が「死亡偽装」を捜査
この一連の事案について、クアンチュン街区警察およびタインホア省公安警察捜査機関が捜査を開始し、死亡を偽装した保険金詐取事件である可能性が高まった。
グエン・ティ・トゥー被疑者の供述
警察の取り調べに対し、トゥーは次のように供述している。
「2020年当時、病気で手術を受け、生活も苦しかった。母には、もし私に何かあったら加入している保険の担当者に連絡するよう話していた。
最初は本当に死ぬつもりだったが、母に何も恩返しできていないと思い、死亡を偽装して保険金を受け取り、母に尽くそうと考えた。
その後は家族と一切連絡を絶ち、孤児だと名乗り、まったく別の人生を生きていた」
保険金詐取の手口
捜査を担当するチューン・テー・カン上級中尉によると、トゥーは2017〜2018年にかけて4件の保険に加入していた。
2020年、病気治療後に保険金請求を試みたが、契約内容に合致せず支払われなかったため、母親と共謀し「突然死」を装う計画を立てたという。
当初は感電死も検討されたが、保険適用外だったため、浴室で倒れたように装い、睡眠薬を服用する方法が選ばれた。
偽装死亡から完全失踪へ
2020年6月7日朝、トゥーは睡眠薬を飲んだ後、浴室でうつ伏せに倒れ込み、急死したように見せかけた。
母親は親族に訃報を伝え、葬儀と埋葬を実施した。
同日夜、意識を回復したトゥーは、占い師の家に身を寄せた後、ドンナイ省(当時)へ移動し、完全に消息を断った。
受け取られた保険金は「12億8千万VND」
葬儀後、母親のタップ氏は死亡届を提出し、2社の保険会社から合計12億8千万VND(約750万円)を受領した。
この資金はトゥーに送金され、不動産投資や人工知能(AI)分野への投資に使われたとされている。
母娘を逮捕、保険詐欺で立件
12月21日、タインホア省公安は、グエン・ティ・トゥーおよびチャン・ティ・タップの両名を保険事業における詐欺行為の容疑で逮捕・勾留し、正式に立件したと発表した。
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ベトナム進出支援LAI VIEN



















