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ベトナム消費財大手マサン、R&D投資を強化 新商品投入を最短6カ月に短縮

マサン・コンシュマーのR&Dセンター内部の様子
(C)THANH NIEN

ベトナムの消費財市場で、研究開発(R&D)が企業の競争力を左右する重要な要素となっている。特に、商品の入れ替わりが速い日用消費財(FMCG)分野では、市場の変化を捉えた迅速な商品開発と、品質を確保するための検証体制が欠かせない。

こうしたなか、ベトナムの大手消費財企業マサン・コンシュマー(Masan Consumer)は、研究開発への継続的な投資を通じて、新商品の市場投入期間の短縮や商品ラインアップの拡充を進めている。同社の取り組みは、R&Dが単なる品質向上の手段ではなく、事業成長を支える戦略的な基盤となっていることを示している。

商品開発期間を24~36カ月から6~9カ月へ短縮

マサン・コンシュマーは、ビンズン省に約300万USDを投じたR&Dセンターを設置している。同センターは、食品・飲料(F&B)分野におけるベトナム有数の研究開発拠点の一つである。

研究対象は、ブン(米麺)、おかゆ、フォー、インスタント麺、フーティウ(米麺)、自加熱式鍋などの簡便食品から、しょうゆ、魚醤、チリソースといった日常的な調味料まで幅広い。国内市場に加え、海外の消費者も視野に入れた商品開発を進めている。

同社の特徴の一つが、新商品を市場に投入するまでの期間の短さである。

マサン・コンシュマーでR&Dを統括するレ・ティ・ガー副社長によると、多国籍企業では一般に、商品企画から発売まで24~36カ月を要する。市場調査やアイデアの選定、消費者テスト、研究室での処方開発、原価計算、生産ラインの評価など、多くの工程を順番に進める必要があるためだ。

これに対し、マサン・コンシュマーは、研究、試験、商業化を一体化したR&D体制を構築することで、新商品の市場投入までの期間を6~9カ月に短縮したという。

同社は従来型の研究開発モデルにとどまらず、消費者イノベーションセンターを設け、消費者からのフィードバック収集、商品アイデアの検証、市場ごとの嗜好や使用場面、購買行動に応じた改良を継続している。

5,000超の店舗網を活用し、商品投入を迅速化

商品開発のスピードを支えるもう一つの要因が、小売・流通網との連携である。

マサン・コンシュマーは、グループの小売チェーンであるWinMartおよびWinMart+の5,000店超を活用し、新商品の試験販売を行っている。実際の販売環境で消費者の反応を確認できるため、商品開発から市場展開までのプロセスを効率化しやすい。

ガー副社長によると、強固な流通網と幅広い商品ポートフォリオを背景に、商品を店頭に並べるまでの期間を、他社では一般的に30日程度かかるところ、同社では15日まで短縮できるという。

新商品を短期間で市場に投入し、消費者の反応を踏まえて改善する。この仕組みは、変化の速いFMCG市場で競争力を維持するうえで重要な役割を果たしている。

R&Dが売上拡大と商品寿命の延長に貢献

研究開発の効果は、新商品の投入スピードだけにとどまらない。商品ポートフォリオの拡充やコストの最適化、既存商品の販売期間の延長にもつながる。

マサン・コンシュマーの公表した統計によると、2018~2025年には売上高の20%超をイノベーション関連商品が占めた。研究開発を成長につなげる同社の戦略が、売上構成にも表れている。

また、既存商品の配合、包装、容量、使用方法などを継続的に改良することで、新たなブランドを一から立ち上げることなく、異なる消費者層にアプローチできる。消費者の需要や国際基準への対応を通じて、既存商品の競争力を維持し、商品寿命を延ばすことも可能になる。

同社は既存商品の改良と新商品の開発を合わせ、年間100件超の新たな取り組みを生み出しているという。

海外水準の設備と多層的な人材育成に投資

こうした開発体制を支えているのが、研究設備と専門人材への投資である。

同社は、食品分野で先進的な技術を持つ米国や欧州などから、評価・検証用の設備を導入している。商品開発の精度を高めるとともに、品質や安全性を確認するための研究環境を整えている。

人材面では、経験や役割に応じた3層の体制を採用している。最上層は国内外の20年以上の経験を持つ専門家で、新技術や新たな研究基盤の開発を担う。第2層は業界経験15~20年の管理職である。第3層は体系的な教育を受け、海外留学などの経験を持つ若手人材で、市場調査や新たな商品開発の推進を担当する。

経験豊富な専門家による技術開発と、管理職による事業運営、若手人材による市場分析を組み合わせることで、継続的に新しい商品や技術を生み出す体制を整えている。

ベトナム消費財企業の競争力を左右する研究開発

ベトナムでは、経済成長を背景に国内消費の回復・拡大が期待されている。市場機会が広がる一方、消費者の嗜好は多様化し、企業には品質、価格、商品開発のスピードを同時に高めることが求められる。

こうした環境では、販売網を拡大するだけでなく、消費者の需要を把握し、商品開発から市場投入までを効率的に進める能力が重要になる。

マサン・コンシュマーの事例は、R&Dへの投資が商品品質の向上に加え、開発期間の短縮、販売機会の拡大、既存商品の競争力維持にも結び付くことを示している。

ベトナムの消費財企業が研究開発能力を高めることは、個々の企業の成長だけでなく、ベトナムのFMCG産業がグローバルなバリューチェーンにおける存在感を高めるうえでも重要な課題となっている。

※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
ベトナム進出支援LAI VIEN

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