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ベトナムビジネス情報Vol.151
製造業の大展示会、カムバック!

METALEXがようやく帰ってきた。ホーチミン市7区のSECCで10月6~8日、製造業や金属加工の大展示会「METALEX Vietnam 2022」が開催され、世界20ヶ国から約200社以上が出展。規模は小さくなったがクオリティは健在だ。

「日本」の存在が際立つ

 日本・日系企業が目を引く展示会だった。会場入口から中央通りを進むと、エプソン、ミツトヨ、ユアサ、東京精密、キーエンス、ヤマハなどのブースが左右に並ぶ。中小企業のほか、東京都、大阪府、石川県、神奈川県、茨城県、長野県など自治体の出展も多く、加えてJETROが共催する部品調達展示商談会(Supporting Industry Show 2022)ではバイヤーとして日系企業20社が参加した。

 会場はA1ホールのみでA2は使われず、前回の2019年と比べると半分近い規模。それでもタイ、台湾、インド、シンガポールなど、各国の企業数は総じて減ったものの、海外パビリオンも元気だ。来場者はやはりベトナム人が多く、日本人などのアジア系は見かけたが、欧米人は少ないように感じた。

省人化が進む今後に商機

 YAMAHA MOTORは産業用のスカラロボット(水平多関節ロボット)や搬送システムのリニアコンベアモジュールを展示。後者はブースの中央に置かれて注目を集めていた。

「私はタイに勤めています。ヤマハに限って言えば4年前はタイ市場のほうが大きかったのですが、最近はベトナムとの差がなくなりつつあります。ベトナムの製造業が伸びているからです」

 ベトナムでは産業用のロボットやマシンをインテグレートする設備メーカーが増えており、こうしたベトナム企業が主な顧客になるという。産業用ロボットの導入を始めた会社には使用方法などを教えている。

 リニアコンベアモジュールの日本でのシェアはほぼ100%とのことだが、ベトナムでの拡大には時間がかかるという。搬送は人力でもできるので、自動化に投資する企業は少数派と考えるためだ。しかし、かつての日本も同様で、付加価値を説明しながら市場を作り、現在では一般的に使われていると語る。

「中国や欧米でも導入が進んでいます。意識を変えてもらえればベトナムでも広がるでしょう」

 KEYENCE VIETNAMは顕微鏡、測定器、レーザーマーカーなど、多少高機能で高価格の製品を並べた。

 ベトナムでは人件費の上昇などから省人化や機械化が進んでおり、工場での品質検査でも自動検査装置が使われ始めている。価格もほどほどで導入後の効果が計りやすいと、新規の設備投資に期待する。

「商談数には目標があり、初日の昨日は6割程度、今日は目標に達成できそうです」

 来場者には若いベトナム人も多く、情報収集をする大学生などもいるようだ。同社でも本来の顧客層は半分程度ととらえ、彼らが将来の顧客となるよう長い目で見ている。

ローカル製造業に知名度を

 ACCRETECH VIETNAM(東京精密)は三次元座標測定機など主力商品の測定器を展示。METALEX Vietnam には初めての出展で、ベトナム企業への認知度向上が目的だ。初日の訪問者は130社ほどで、この日もブースに人が集まっていた。

「特に南部のベトナム企業にはノギスなどが売れていますが、これからは手作業でなく自動機をぜひ試してほしいです」

 日本企業で働いていたベトナム人が起業する場合などで、同社の三次元測定機を購入することが多いという。工場に置くことで信用が高まるというのが理由とか。実際、手頃な価格のXYZAX mju NEXが今回展示できなかったのは、主に中小企業向けに売れてしまったからだという。

 MITUTOYO VIETNAMはマイナーチェンジをした主力商品の三次元測定機や汎用画像測定機を展示した。こちらも日系は当然ながら、受注が増加中のベトナム製造業にアピールしたい考えだ。

「ベトナム人からの精度や効率化に関する質問が増えてますね。ソフトウェアも含めて説明していますが、こうした質問は以前は日系からが多かったものです」

 ベトナム市場の成長に合わせるように従業員数を増やしており、その半分はアフターサービスなどのエンジニアという。

 OHTA VIETNAMはネジ、ボルト、ナット、ワッシャーなどの現地生産品と輸入品を卸販売している。日系企業にはある程度の知名度ができたと考え、主にベトナム企業の顧客拡大を狙って出展した。

 展示したのは多種多様なネジと工具。ベトナムではネジの種類が少ないので来場者の興味を引いているが、工具は価格が高いためか反応がいまいちとか。

「来場者の9割はベトナム人です。まずはコンタクトを取って、後ほど商談に入ります。METALEXへの出展は3回目ですが効果を感じています」

海外展示会で新たな一歩

 会場で一番大きなブースに感じたのが機械商社大手のYUASA TRADING VIETNAM(ユアサ商事)。マシニングセンター、放電加工機、ワイヤカット放電加工機、形成期、自動搬送装、測定器などを多彩に扱っている。

「お客様は南部ではベトナム企業と日系企業が半々で、北部は日系が多いです。METALEXは大型展示会で、多くの方にリーチできると参加しました」

 二輪、四輪、プリンター、家電、半導体製造装置などがメインの顧客。ベトナムはタイやインドネシアに比べて成長の伸び率が高く、新型コロナ後の勢いは特にベトナム企業から感じているそうだ。

 欧米系企業の顧客開拓を狙うのがKSK SOLUTIONS VIETNAM(鹿児島精機)だ。マシニング加工、NC旋盤、ワイヤーカット加工などの精密機械加工で、半導体製造装置の部品などを製造している。

 ベトナムと中国の工場から製品を日本に輸出しており、市場は100%日本だが、昨今の円安もあって海外市場にリスク分散したいと考えた。新規顧客として北米を考えており、第一歩として馴染みのあるベトナムでの展示会を選んだ。

「来場者は欧米人がターゲットなのですが、あまり多くはいません。ただ、日本の展示会と違って1社1社とのコミュニケーションが勉強になります」

 これまでにも海外の展示会に参加していたが、情報収集が主な目的で、顧客開拓という視点ではなかった。ミクロン単位の高精度加工やこれまでの海外展開がどこまで評価され、必要とされるのかをまずは知りたいという。

Tokyo SMEの商談から開拓

 日本の自治体では東京都(Tokyo SME Support Center:東京都中小企業振興公社 国際事業課)に話を聞いた。東京都の中小企業5社が出展しており、ベトナムへの輸出を希望する企業と、ベトナムでの生産を依頼したい企業に大きく分かれる。ベトナム企業や日系企業を相手に、1社10件程度の商談ができているという。

「ほかの東南アジアの展示会にも参加しています。他国と比べるとベトナムにはガッツや熱意があるように感じますね」

 参加した1社であるTDIエレクトロニクス(東京特殊印刷工業)は工業製品へのスクリーン印刷が主力技術で、電子部品などに使われている。

 2017年にハナム省に工場を設立し、EPE企業として日本に輸出しているが、出展の目的はベトナムでの販路開拓だ。顧客は同じEPE企業や大手企業を想定しており、製品化されたスイッチやパネルを展示していた。

「日系企業の競合は少なくても、台湾系、韓国系、中国系などに加えてベトナム企業もあります。楽観視はしていませんが、Tokyo SMEさんのアレンジもあって商談数は多いですね」

 ベトナム進出理由には日本での人手不足もある。若い希望者が減少したため、ならば親日国のベトナムに工場を作って、現地の若手を育てたいと考えた。ベトナム工場では約50人が働いているそうだ。

部品調達以外のメリットも

 JETROの部品調達展示商談会は今年で20回目(ハノイ10回、ホーチミン市10回)。ベトナム企業からの調達を望む日系企業20社(バイヤー)と、日系企業への部品供給や受託加工を目指すベトナム企業25社(サプライヤー)が出展した。

 EQUAL VIET NAMは金属やプラスチックなど各種素材で自動車、搬送機、半導体製造装置などの精密切削部品を作る。レンタル工場からスタートし、今年9月に自社工場を竣工した。

 現在は日本への輸出が約6割、ベトナム国内販売が約4割だが、ベトナムの比率を高めたいと出展した。

「来年には日越の比率が逆転すると見ています。METALEXは初めての出展ですが、昨日だけで50人程度の方が訪問されたと思います」

 伝動ベルトや搬送ベルトを生産するBando Manufacturing (Vietnam)は主な顧客が二輪メーカー。扱う素材であるゴムやプラスチックには強いので、金属に詳しいサプライヤーを探している。ただ、展示したベルトに興味を持ち、購入を求めるベトナム企業もあるとう。

「新規のお客さん開拓の場ともなっており、それはそれでうれしいことです」

 今年のMETALEX Vietnamが従来より規模も来場者も縮小したのは、出展企業の減少が理由だろう。日系企業の展示が目に付いたのも、外資とベトナムの企業が減ったためかもしれない。来年は多彩な企業が顔を出して、以前のような人ごみの中を歩きたい。