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リーダーたちの構想第56回
FUJIFILM Business Innovation Vietnam

2021年4月に富士ゼロックスベトナムから社名を変更した富士フイルムビジネスイノベーションベトナム。複合機やプリンター、各種ソリューションを提供し、今後は「働き方改革」も支援する。坂野慎後社長が経緯と今後を語る。

成長を支える顧客基盤

―― 2021年4月に富士ゼロックスベトナムから社名が変わりました。

坂野 富士フイルムとゼロックスコーポレーションは1962年から50年以上にわたり合弁企業である富士ゼロックスを運営してきましたが、2019年にゼロックスから旧富士ゼロックスの保有全株式を買収し、富士フイルムホールディングスの完全子会社となりました。これに伴い社名を富士フイルムビジネスイノベーションに変更しました。この社名がまさに我々のミッションであり、「常にビジネスに革新をもたらす存在であり続ける」ことを目指していきます。

 なお、複合機やプリンターなど主力商品の研究開発、製造機能はほぼすべて旧富士ゼロックスが保有していますので、商品やサービスのご提供はこれまでと全く変わらず行ってまいります。ベトナムでも同様ですので、ご安心ください。

 また、ゼロックスコーポレーションとは現在も良好なビジネスパートナーであり、継続して彼らへの商品供給を続けています。併せて、両社で取り決めていた販売テリトリーの制約がなくなったことで、これまで旧富士ゼロックスがビジネスを展開していた東アジア、東南アジア、オセアニア以外にも、今後は例えば成長著しいインド市場に進出するなど、新市場開拓を進めていきます。

複合機

―― ベトナムでの事業内容を教えてください。

坂野 売上の約75%は複合機、プリンター、関連ソフトウェアなどオフィス関連商品の販売・保守、20%はデジタル印刷機関連商品の販売・保守、残りの5%は現在強化しているソフトウェアソリューションやBPOサービスの提供という構成です。

 弊社は1994年に駐在員事務所を立ち上げた後、2010年に販売会社を設立しました。その際、従前より展開していたパートナー企業を通じたベトナム政府機関やローカル企業への販売と併せ、直販営業部門を本格的に立ち上げ、主にFDI(Foreign Direct Investment)企業への営業を強化してきました。

 現在では売上の50%以上を日系、韓国系や中華系などの外資系企業からいただいています。FDI企業への営業に当たっては、訓練されたベトナム人、日本人、韓国人、台湾人などからなる多国籍の営業部隊を配置しています。特に韓国系や中華系企業とのビジネスでは人脈や関係性が重要となるため、ここは弊社の非常に大きな強みだと思います。

 拠点はホーチミン市とハノイがメインで、社員数は200人程度です。また、2012年にはハイフォンに生産拠点(現FUJIFILM Manufacturing Hai Phong Co., Ltd)を設立しました。現在は中国に次ぐ生産拠点として、複合機などの生産品目を拡大させているところです。

―― 御社の優位性は何だと思いますか?

坂野 これまで構築してきた強固な顧客基盤が我々の最大の資産だと思っています。この顧客基盤を活用することで、お客様に直接お困り事をお聞きし、課題解決に向けた様々なご提案ができます。
 また、弊社は直販のお客様の約90%の機器をEP-BBというリモートメンテナンスシステムに接続しています。これにより機器のリモート診断や予防保守、消耗品使用量のモニタリングと自動デリバリーなどが実施でき、お客様での付帯業務削減や機器稼働率の向上に貢献するとともに、弊社における生産性向上やコストダウンにもつながっています。

 調査会社のデータによると、ベトナムのA3複合機市場で、弊社は2013年~2021年の9年間連続でシェア1位を獲得しています。お客様に高くご支持いただいていることをとても誇りに思います。

「働き方改革」をDXで推進

―― ベトナムの複合機やプリンター市場の特徴を教えてください。

坂野 お客様のニーズは外資系やベトナム大手企業向け、ベトナム中小企業向けで大きく2つに分かれます。前者では先進国と同様のニーズがあり、具体的にはプリントの見える化(いつ・どこで・誰が・どのくらい・どんな内容を・どんな形でプリントしているかの分析)による機器台数やプリント量の最適化、認証などのアクセス制御や放置プリント抑止などによる情報セキュリティ対応、業務システム連携によるペーパレスワークフロー構築、省電力化対応などです。

 一方、ベトナムの中小企業を中心に使用されている機器の半数以上は中古機であり、またモノクロ機が90%以上を占めています。これらの機器は単純なコピーやプリント機能として使われており、とにかく安く使いたいというニーズがあります。またモノクロ機の多さは、ローカルサプライヤーやベンダーが保守しやすく、消耗品やパーツを調達しやすいという側面もあります。

 弊社としては、継続した提案推進により出力機器の高付加価値化を進めるとともに、ローカルサプライヤーの保守技術の底上げや包括保守サービスなどのビジネスモデル浸透を進めていきたいと思っており、まずは我々のパートナー企業を通じて強化していきます。

ビジネスDX

―― 今後はどのようなビジネスを考えていますか?

坂野 ベトナムでは新型コロナによるロックダウンの経験から、場所と時間に拘束されない「働き方改革」の機運が非常に高まっています。これを実現するには、これまでの仕事の進め方を見直すとともに、柔軟な働き方を受容する風土の醸成とルールの策定が必要です。

 併せて支えるシステムの構築も重要となります。弊社は様々なソフトウェアソリューション、例えば電子承認システムやデジタルワークフローシステムの提案、複合機のスキャン機能を活用した取引業者など外部から来る紙文書のデジタルワークフローへの融合、現存する大量の紙文書のデジタル化を支援するアウトソーシングサービス、これら全体のシステム構築を成功に導くためのコンサルティングやプロジェクトマネジメント支援まで、End to Endでのお役立ちが可能であり、日本や他国で多くの構築実績を持っています。今後はベトナムにおいてもこのようなソリューション&サービスビジネスを強化していきたいと考えていますし、積極的に投資をしていきます。

 また、この「働き方改革」は家族マターを最優先に考えるベトナム社会に非常に親和性が高いと考えます。私もこれまでに情熱を傾けていた仕事を育児や介護などの事情により辞めざるを得なくなった優秀なスタッフをたくさん見てきました。「企業は人」であり、このような新しい働き方を実現できる企業に優秀な人材が集まり、企業競争力の強化にもつながっていく。そんな企業や働く方々をサポートできるパートナーになっていきたいと考えています。

―― 最後に事業以外の活動を教えてください。

坂野 弊社は全社プロジェクトとして新興国での教材提供活動を推進しており、2014~2022年に主に東南アジアで10万人以上の児童に教科書や副読本などを提供してきました。

 ベトナムでも通算約3万人の児童に教材を提供してきており、今後もこの活動を続けていきたいと思っています。

 最近では、2022年に新型コロナで両親を失った子どもたちへの支援チャリティーに参加しました。また今年はNGO団体と連携してチャビン省の小学校のITルーム設立に協力し、2月には私も現地の開所式に参加しました。

支援チャリティーの様子

 ベトナムの地をお借りしてビジネスをさせていただいていることに深く感謝し、どのように恩返しできるかを常に念頭において、今後もビジネスを推進していきたいと思っています。

FUJIFILM Business Innovation Vietnam
坂野慎後 Shingo Sakano
大学卒業後に富士ゼロックス(当時)に入社。業務用デジタル印刷機などの営業職を経て2010年から営業部門長。2016年にシンガポール、2018年にオーストラリアのマーケティング部門長を経て2021年5月より現職。