―― 最近、ベトナム保健省が「同性愛は病気ではない」と発表しました。なぜでしょうか?
フィンチー ベトナムでは最近、「同性愛は治せる!」といった広告を出すクリニックや病院等があり、信じる人も少なからずいました。保健省は、WHOが同性愛を精神障害として認めていないことも踏まえて、同性愛は病気ではないため治療をする必要はなく、また治療もできない旨を発表すると同時に、そのような広告の内容は正確ではないと記載した公文書を8月3日に発出しました。
―― がん等の深刻な病気でも簡単に治せるとうたった広告も多いように思います。ベトナムでは医療サービスの広告規制はないのでしょうか。
フィンチー 疾病の治療や健康診断に関する広告は掲載する前、広告主は広告の内容を保健省に提出して確認を経る必要があります。しかし、法令上の確認事項は広告とライセンス内容の合致であり、広告の正確性や適切性の審査まで規定されていません。
その結果、がん治療なら広告主のライセンス内容は確認しても、治療内容の正確性や適切性まで審査していないのかもしれません。ちなみに、疾病の治療や健康診断以外に、医薬品、化粧品、機能性食品、医療機器等の特殊な商品についても同様で、ライセンス内容は保健省の確認対象ですが、その正確性・適切性は必ずしも審査の対象としては明記されていません。
―― なるほど。そうすると保健省が今回否定したのは、病気でもない同性愛を治療するライセンスはそもそも存在しないことが理由なのかもしれませんね。今後は広告内容の正確性や適切性についても、もっと厳しい管理を期待したいですね。