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ベトナムニュース【社会】コロナの影響か?ペットに依存する人々

(C) VNEXPRESS

リー・ゴックさん(27歳)は、以前は毎晩家に帰るのが嫌で、夜遅くまで友達を誘って食事に行ったり、映画を見に行ったりしていたが、サムという名の猫を飼うようになって状況は一変した。

ハノイ市ホアンマイ区在住でメディア関係の仕事をするゴックさんは、マネージャーに昇進してから仕事が忙しくなった。常にプレッシャーにさらされ、ゴックさんは激しいストレスを感じて疲れやすくなった。疲れを感じたときは、部屋に閉じこもるか、酒を飲んで気を紛らわせていた。

「誰も私の不満を我慢強く聞いてくれず、当時は一人で黙って耐え続けるしかありませんでした。」とゴックさんは話す。

ゴックさんがサムを飼うようになってから、状況は徐々に変化した。ゴックさんはペットが足にまとわりついたり、一緒に食べたり寝たりしようとする感じが好きだと話す。ゴックさんは徐々にペットから愛されていると感じるようになり、精神的にも安定するようになった。

その後しばらくして、サムは病気で死んでしまった。ゴックさんはもはや一人で暮らすことに耐えられなくなっており、500万VNDで新たなペットのポメラニアンを購入し、ホーと名付けた。ゴックさんは、ホーのことを自分の子供のように思い、毎日の餌にはビタミン剤やミネラルなどを加えた柔らかい牛肉や魚介類を与えた。毎週1回は、ホーを健康診断に連れていき、トリミングを受けさせたり特別な機会に着るためのペット用の服を購入したりした。

ゴックさんがペットに費やす費用は、毎月800万VNDを超えているが、当然のことだとゴックさんは考えている。

ハノイ市のタイホー地区に住むアイン・トゥーさん(30歳)も70㎡のアパートで2匹のプードルを飼っている。以前、トゥーさんは、仕事が忙しく、暇な時間には友達と頻繁に会うことで孤独を感じずにいた。しかし、コロナによって全てが変わった。長い間家に一人でいるようなるとトゥーさんは、孤独を感じ、悲観的なことを考えるようになった。精神科を受診した後、トゥーさんは医師からペットを飼うことを勧められた。

2020年末にトゥーさんは2匹の犬を購入し、トーとニムと名付けた。その日から、トゥーさんの家には笑い声が溢れるようになった。仕事の時間以外は、トゥーさんは2匹を連れて散歩に行ったり、料理をしたり、犬たちに話しかけたりして快適に過ごせるようになった。

2年間のコロナ禍の後、オフィスに戻ったトゥーさんは、ペットの犬が自閉症になることを恐れて、トーとニムを400~500万VNDかけて幼稚園に通わせることに決めた。「コロナ禍の恐ろしい時期に私を癒してくれたペットにお金を使うことは気になりません」とトゥーさんは話す。

公式の統計データはないが、先述の二人のように孤独を癒し、ストレスを軽減してくれるという理由でペットを飼っているベトナム人は珍しくなくなっている。ハノイ市にある中央精神病院のレ・ティ・トゥイ・ハン医師は、コロナ禍によって2年間家にいることを強いられた人々にとってペットを飼うことは精神的な癒しとストレスの軽減につながると説明する。

「孤独な人、独身の人、居場所のない人は、ペットを飼うことで安心感や責任感を感じるようになります」とハン医師は話す。

ハン医師によれば、ペットを飼っている人は28歳前後の年齢層に集中しており、経済力があり、気持ちを共有したりストレスを解消したいと考えている人が多い。これは、ベトナムのペット愛好家向けアプリPetyが2021年に実施した調査結果とも一致する。それによれば、ペットを飼っている人は23歳から35歳までが全体の48%を占め、18歳から22歳までが42%、18歳未満が5.6%、35歳以上が4.4%だった。職業別では会社員の38.9%が最も多く、次いで学生が35%、フリーランサーが21.9%、自営業が3.3%で、主婦は1%だった。

文化研究の専門家であるグエン・アイン・ホン氏は古いベトナム人の”動物を飼う”という概念は、最近になって”仲間と共に過ごす”に変化していると指摘する。「現在、私たちが犬や猫を飼う目的は、ネズミを捕まえたり、家を守ってもらうためではなく、家族の一員として共に過ごすことに変わってきました」とホン氏は話す。

ペット文化の変化は、ペット産業の発展を促している。ここ数年の統計によれば、ベトナムでのペット購入需要は増加している。市場調査会社のiPriceが東南アジア各国のペット事情を調査した報告書によれば、ベトナムのペット市場は東南アジアで第2位にランクされている。2021年1月から9月までに、ベトナム人はGoogleで”ペット”を190万回検索している。ペット用品の表示率も2021年に220%増加している。

Petyによる”2021年のペット飼い主の消費行動にCOVID-19がどのように影響したか”と題するレポートでは、支出の優先順位でペットの餌代が93.4%と最も高い割合を占め、次いでペットの健康サービス、アクセサリー、衛生用品、スパサービス、訓練の順となった。

ハノイ市で4年以上にわたってフレンチブルドッグの飼育と繁殖をおこなってきたグエン・ホアン・チュンさん(33歳)は、1匹あたり2000万~5000万VNDの価格で、毎年70~100匹の子犬を市場に供給している。

約3年ほど前から、ペット向けのホテルや入浴サービスも急速に出現してきた。ハノイ市のタイホー区でペットケアショップのマネージャーを務めるチャン・ハー・トゥーさん(36歳)は、毎日平均5~7匹のペットを預かっており、週末にはその数が倍に増えると話す。平均して毎月150~200匹のペットがシャワーやトリミングのために店にやってくる。祝日、旧正月、夏休みの時期は特に忙しく、客は事前に予約する必要があるほどだ。

ペットの宿泊サービスも多くの飼い主が利用している。2017年にハノイで初めてのペットケアサービスをスタートさせたター・クオック・ハイさん(29歳)は、この店では生後3ヶ月以降の犬を受け入れていると話す。1日の預かり料金は15万~35万VNDでペットの体重によって変わる。現在、ハイさんの施設では、常に約50匹のペットを預かっており、祝日にはその数は100匹近くになる。

ペットに愛情を注ぐことは良いことだが、過剰なペットへの愛情は、ペットへの心理的依存性を高め、怒りっぽくなったり落ち込みやすくなり、ペットがいなくなったときに心の拠り所を失うなど飼い主の社会性を阻害する可能性があると専門家のグエン・アイン・ホン氏は指摘する。

ペットのホーを自分の子供のように愛していたので、リー・ゴックさんは、周囲の人がペットを粗雑に扱うのを見ると、内心穏やかではいられない。「ペットの世話に何百万VNDも費やしているのにそんな扱いを受けるいわれはありません。」とリーゴックさんは話す。

(C) VNEXPRESS

アイン・トゥーさんの場合、彼氏がいるにもかかわらずペットの2匹の犬の方が地位は高い。「もし、彼が私がペットを甘やかすことが我慢出来ないのであれば、彼とはお別れします。」とトゥーさんは話す。30歳になったトゥーさんは、ペットを家に残して外出することに罪悪感を感じるようになり、夜の外出は極力控えている。

ホーチミン市に住むコン・トゥアンさん(29歳)は、自分がペット中毒に陥っていると自覚している。コロナ前、トゥアンさんは4匹の猫を飼っていたが、ホーチミン市全体が封鎖されたとき、他にプードルを800万VNDで購入した。ペットに囲まれて寂しさを紛らわせることに夢中になったトゥアンさんは、さらに2匹のプードルと1匹のコーギーを購入した。現在、トゥアンさんは8匹のペットを飼っており、ペットの餌代やケア代に毎月約1000万VNDを費やしている。

トゥアンは、ペットのために支払えるだけの十分な収入があるが、無駄遣いは極力控えるように気を付けている。

自分自身を成長させるために、若い人がペットと社会生活のバランスをとることを推奨する一方で、専門家のグエン・アイン・ホン氏は孤独を埋めるためにペットを飼ったり、子供を産み育てる代わりにペットを飼う傾向が進むと、ベトナムの結婚年齢や出生率に影響が出る可能性があると警鐘を鳴らす。

ホーチミン市在住のニュー・アイン・トゥエットさん(35歳)は生涯独身を貫くことを決め、2匹の犬と1匹の猫と暮らしている。ある企業のマネージャーであるトゥエットさんは、自分は経済的に自立しており、夫や子供によって自分のキャリアに影響を与えられたなくないと話す。トゥエットさんは7年前に初恋の彼との別れに苦しんだ経験がある。孤独から逃れるため、トゥエットさんはペットを飼うことを決めた。家族や周りの友達はトゥエットさんの決心に反対したが、トゥエットさんは聞く耳を持たなかった。

「ペットのおかげで平和で幸せな気分になれ、裏切られる心配もありません。孤独を感じないのであれば、私にとって恋人は不要なんです。」とトゥエットさんは話してくれた。

出典:01/03/2022 VNEXPRESS
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