ホーチミン市1区は、旅行者や市民が無料でトイレを利用できるように、区内のレストランやカフェなど100軒に協力を要請することを決め、同時に新たに5か所のトイレ設置を計画している。
これは、3月19日の朝に開かれた都市整備に関する会議で、ホーチミン市1区人民委員会が、公衆トイレ不足状況を改善する案として、ホーチミン市共産党委員会のグエン・バン・ネン書記に報告した内容だ。
この会議は、QPサプライズ(イギリスのトイレ設備販売企業)による、世界の観光都市の公衆トイレランキングでホーチミン市が69ヶ所中67位にランキングされたとの報道を受けて開催された。調査によれば、ホーチミン市とハノイ市の1㎢あたりの公衆トイレ数は0.01となっている。一方で、世界1位のパリは6.72、2位のシドニーは3.64となっている。
これを受けてホーチミン市人民委員会は、各区に対して公衆トイレの増設計画を立案するよう指示しており、1区のような中心部については特に重視している。
ホーチミン市1区人民委員会のレ・ドゥック・タイン主席によると、3月中に1区内の100軒のレストランやカフェを動員し、市民が無料でトイレを利用できるように看板を設置した。無料のトイレ利用に協力したのは、ハイランズカフェ、チュングエンコーヒー、ジンキーレストラン、ホライゾンビアホールなどだ。今後も1区は、協力店舗を開拓し、旅行者や住民が簡単に無料トイレを利用できるように情報を公開していく。
1区のブー・グエン・クアン・ヴィン副主席は、現在の最大の問題点は、1区内に公衆トイレを設置するための場所が確保されていないことだと指摘する。そのため、1区内の公衆トイレは、市場、公演、バス停など、全部で18か所しかない。
ヴィン副主席によると、過去に一部の企業が社会化という形態で、公衆トイレ設置に投資する意向を示していた。しかし、企業が要望した地域は、1区の求める公衆トイレ設置場所とは異なっていた。また、事業スペースに対する公衆トイレの設置面積が10~20%と非常に小さいことも問題となった。
一方で、各企業側は、初期投資額を回収するために広告収入、ケータリングサービスなどによる事業収入で補填したいと考えている。企業側はさらに、行政に対して企業が投資額を回収できるように、短期間ではなく長期の使用許可を認めるように要望していた。
この問題を解決するため、1区はホーチミン市に対して今後3~5年間は開発の予定がない5か所のプロジェクト用地を公衆トイレ設置用に貸与するよう求めた。また、ホーチミン市に対して5か所の公衆トイレを中心部に設置するための費用25億VNDと年間の運営費20億VNDの予算提供を求めた。
一方で、ホーチミン市資源環境局のグエン・トアン・タン局長は、都市計画に依存せず、適切な運営方法を確立するだけで済むとして移動式トイレの設置を提案した。
ホーチミン市建設局のダン・フー・タイン副局長は、固定式の公衆トイレを設置する場合、都市計画に従う必要があると指摘する。現在、ホーチミン市の承認待ちとなっている議定54号草案では、一部の空き地の短期プロジェクトは都市計画に従う必要がないとされている。移動式トイレであれば、1区は期限の定めなく暫定的な許可を与えることができる。
この会議で、ホーチミン市共産党委員会のグエン・バン・ネン書記は、公衆トイレの設置は、地味な問題ではあるものの、人間の基本的な生活ニーズを満たす重要なものでもあると指摘した。ネン書記は、ホーチミン市を1000万人が暮す場所だと考えた場合、住民と旅行者に良い印象を与えるためにトイレをどのようにすべきか検討が必要だと述べた。
そのため、まず当面は、市内の公衆トイレ不足問題を解決するために、ネン書記は公共投資の形式で公衆トイレの設置と管理をすることに同意した。その後、ホーチミン市は1区のように民間企業の協力を得て段階的に社会化を進める。
ネン書記によれば、長期的にはホーチミン市は、必要に応じてこのような問題も都市計画に追加していく必要がある。公衆トイレには基準を設け、品質を保証し、段階的に投資できるようにする。公衆トイレの設置場所は、市民と旅行者のニーズに合わせて配置する必要がある。
「この問題について多くの政策がありますが、優先的に扱ってこなかったことは明らかです。今日から4月30日までに根本的な改革が必要です。」とネン書記は話し、ホーチミン市人民委員会に対して、固定式の公衆トイレ設置と移動式公衆トイレの強化について検討するよう指示した。
ホーチミン市は、公衆トイレの品質を向上させるために、多くの政策を導入してきた。2014年には、銀行の投資によって市内のタオダン公園、9月23日公園、レバンタム公園の3か所に4つ星から5つ星基準の公衆トイレが設置された。2016年には、ホーチミン市が1000ヶ所の公衆トイレ設置プロジェクトを立ち上げたが、現在まで実施されていない。現在ホーチミン市内には全部で250ヶ所以上の公衆トイレが設置されている。
出典:19/03/2022 VNEXPRESS
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