4月4日の午後、ダナン市で客に騙されて携帯電話を失い呆然とするバイクタクシードライバーに、何十人もの見知らぬ人が新しい携帯電話を買うためのお金を寄付した。
被害にあったのはダナン市リンチェウ区に住むバイクタクシードライバーのグエン・ゴック・ランさん（51歳）だ。ランさんによると4月4日の午前10時ごろ、30歳くらいの男性にダナン病院からクアンナム省のディエンバン総合病院までの往復送迎を20万VNDで依頼された。
ディエンバン総合病院に到着すると、この男性はランさんに母親の転院手続きをしてくるので、喫茶店で待っているよう頼んだ。その際、この男性は、病院で必要書類の写真を撮りたいが携帯電話を持っていないので、ランさんの携帯電話を貸してほしいと頼んだ。
「母親が病気で緊急事態だと思ったので、何も考えずに携帯電話を貸してあげました」ランさんは話す。
それから30分以上経っても男性が帰ってこないので、何かがおかしいと感じたランさんは店主の電話を借りて自分の携帯に電話した。するとすぐに男性が電話に出て、まだ手続きが完了していないのでもう少し待ってほしいと頼んだ。
しかし、喫茶店の周りにいた人たちは不審に思い、すぐに折り返し電話をするようにランさんを促したが、その後電話は繋がらなくなった。その時になってランさんは先月買ったばかりでまだローンが残っている450万VNDの携帯電話を騙し取られたことに気付いた。
「もう戻ってこないとは思いながらもその場所で待ち続けました。ローンがまだ残っている携帯電話を騙し取られたことが信じられない気持ちでした。」とランさんは話す。
ランさんが、携帯電話を騙し取られた後に呆然と病院の入り口を見つめている姿を喫茶店にいた人たちが写真に撮ってSNSに投稿し、携帯電話をだまし取った男性に対して、ランさんは生活が苦しく、携帯電話は彼の”命綱”だとして、携帯電話をランさんに返すように呼びかけた。
一部のSNS上では、ランさんの携帯電話が戻ってくることを期待して、投稿がシェアされたが、犯人からは何の連絡もなかった。
ダナン在住のホアイ・グエンさんは、SNSに投稿された写真を見て、このドライバーに連絡する方法を探した。「悲しそうに座っているおじさんの写真を見て、涙が出そうになりました。そこで、新しい電話を買ってこの人にプレゼントしようと思いました。最初は、もし誰も共感してくれないなら自分一人でも携帯電話をプレゼントしようと思っていました」とホアイさんは話す。
その日の午後、ホアイさんは男性運転手と待ち合わせて、複数の知り合いからの寄付と自分のお金を合わせて430万VNDの携帯電話を買いに行った。
ランさんは、新た強い携帯電話を受け取ってホアイさんに何度も感謝の言葉を述べ、SNSのコミュニティの支援にも感謝した。ランさんの家族は困難な状況にあり、この10年以上、主な収入源はバイクタクシードライバーの仕事だったので、携帯電話が無ければ仕事を続けられなくなるところだった。
取材に対してホアイさんは、「ランさんの様子を見れば、もし私が助けなくても、きっと他の誰かが手を差し伸べたでしょう」と話してくれた。「正直なところ、ランさんに手助けを申し出たとき、早くこの人に携帯電話を渡して、仕事が出来るようにしてあげたいとしか考えていませんでした。」とホアンさんは話す。
男性タクシードライバーが見知らぬ人々の支援を受けたという話は、SNS上で何万も”いいね”を集めた。SNSのコメント欄は、見知らぬタクシードライバーを助けたホアイさんを称賛し、携帯電話を盗み取った男を非難する声で溢れた。
「私たちベトナム人は、お互いを思いやる精神を持っています。このような出来事を見ると、人間の暖かい思いやりを感じることができます」とあるネットユーザーはコメントしていた。
出典：05/04/2022 VNEXPRESS
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