最近の若者たちは、交際期間中、全ての費用を割り勘にすることを好むようになりつつあるが、あまりこだわりすぎると破局の原因にもなるようだ。
付き合って数ヶ月、ハノイに住むヴィン・ハーさん(24歳)は、常に割り勘主義を貫いた。彼氏と食事や遊びに出掛けるとハーさんは必ず自分の分は自分で払った。彼氏がミルクティーを買って来てくれた時も、彼女は自分の分は自分で支払った。友達と食事に行くときも食事後には料金を割り勘して自分の分を友達のアカウントに送金する。
「現代では女性も働いて収入を得ていますので、彼氏に奢ってもらう理由はありません」とハーさんは話す。一方でハーさんと付き合っているトゥアン・フンさんは「恋人同士でミルクティーや食事代をたまに払ってあげるくらいのことの何がそんなに問題なんですか?」と疑問を呈す。
フンさんはハーさんとは考え方が違う。フンさんは、恋人同士が食事や遊びに出掛けた場合、費用は男性が持つべきだと考えている。フンさんはハーさんが自分の経済的な自立を示すために恋人と費用負担を分けたいと考えていることは理解している。ただ、ハーさんのこだわりが強すぎるためにフンさんは、嫌悪感を感じるときがある。
「彼女のやり方には、ときどき馬鹿にされているように感じることもあります」とフンさんは話す。
一方でハーさんはまだつき合い始めたばかりで将来どうなるかわからないので最初から公平にしておくべきだと話す。もし将来別れることになっても、その方が双方の負担も軽くなるというわけだ。
ホーチミン市のトゥードゥック市に住むトゥー・マイさん(26歳)も当初は、恋人と割り勘にすることが合理的であると考えに満足していた。マイさんは男性が常に女性の代わりに支払うというのがあまり好きではなく、恋人と負担を共有することに幸せを感じてすらいた。
「私たちは平等で文明化された社会を目指しているのだから、常に男性が女性の費用を払うというのは合理的ではありません」とマイさんは自分の考えを話す。しかし、当初は満足していたこのやり方に、マイさんは次第に不快感を感じるようになった。
食事や遊びに出掛けるたびにマイさんの彼氏は全ての費用を平等に分ける。その時すぐに割り勘でなくても、後からまとめて払うのだ。彼氏は、二人ともまだ若いので支払いは各自で責任を持ち、いつか結婚したらお金はすべて妻であるマイさんに預けるつもりだと話している。ただ、マイさんの方は、あまりにもはっきりとお金を分けることで、自分が大切にされていないような気がして二人の関係を続けるべきか迷いだしている。
VnExpressが1000人以上を対象に実施した最新の調査では、「デート代は割り勘にした方が良い?」という質問に84%の女性が男性だけが費用負担のプレッシャーを受けるべきではなく、デートにかかった費用は割り勘にすべきだと回答した。一方で、デートの際には男性が女性を尊重していることを示すために、男性が費用を負担すべきだと回答した人は16%しかいなかった。
実際、若者たちの間ではデート費用の負担からデートをためらうという現象が起きている。例えば最近の韓国人の若者は、デートのための時間とお金がないと述べている。オンラインマッチングサービスを展開するDating.comが2022年末にインドで実施した調査によれば、52%の人が服を買ったり、ガソリン代、食事代を節約するためにデートを控えていると回答している。
ベトナムのソーシャルライフ研究所による若者の人生の価値観に関する調査によれば、若者の最大の不安は経済力(59%)とキャリア形成(55%)であることが分かった。一方で生涯のパートナーを見つけることは、14%と最も低かった。
ただ、恋人同士が割り勘をするという考え方は、デートの際は男性が費用を負担する文化のあるアジア諸国においてもそれほど真新しい考え方ではない。
中国の若者たちの間では、恋人同士で費用を割り勘にするAA(Algebraic Average)という言葉が流行している。2022年に公表された中国の若者世代の恋愛関係白書によれば、22%のカップルがAA制度を導入している。また、日本のある本による調査では、57.3%の女性が自立と平等を示し、相手に経済的負担をかけないためにデート代を割り勘にすると回答している。
「実際、愛し合う二人において女性が費用を負担することには何の問題もありません」とベトナム企業文化発展協会のドー・ミン・クーン副会長は話す。クーン氏によればもしデートにかかる費用が全て男性負担になると経済的に恵まれていない男性は、当然大きなプレッシャーにさらされることになる。
クーン氏によれば、殆どの女性は働いて収入を得て、人間関係の構築に貢献したいと考えている。そのため、男性が女性を守り面倒を見るという考え方はもはや理想とはされていない。女性が積極的に経済負担を分かち合おうとすることは文明的な行為に他ならないのだ。
ただし、お互いの経済負担をどのように配分するかは、両者の収入、愛情、性格などによって異なってくる。「割り勘にするかどうか、どれくらいの割合で分けるかが重要なのではなくお互いに間隔を共有していることが重要です」とクーン氏は話す。
冒頭のハーさんとフンさんのように、フィフティ・フィフティの関係性にこだわりすぎると、お互いの本当の気持ちが分かり難くなることがある。数か月後にハーさんとフンさんは別れた。フンさんによれば、ハーさんからは自分に対する十分な愛情が感じられず、いつも別れた後のことを考えて、お互いに金銭的な借りを作らないようにしているように感じられた。
フンさんの意見について、ホーチミン市の国家行政学院の講師であるグエン・ティ・ミン氏は、愛し合うときに必要なことは誰が払うかではなく、合理的な方法で負担を分かち合うことだと指摘する。なぜなら支払いの公平性にこだわりすぎると、ロマンチックで繊細な恋愛感情を損なう可能性があるからだ。
専門家によれば、恋人同士の関係であれば、女性の方から彼氏をデートに誘って費用を支払うケースは少なくない。例えばコンサートに行くとき、男性がチケット代を支払い、女性が食事代を出したり、お互いにプレゼントを贈り合うということもある。他にもお互いのために必要な時に支払えるようにお互いの経済状況に応じた共同貯金をするという方法もある。この方法を採用すれば、恋人たちはお互いに相手の消費習慣をよく理解し、愛情をより良く管理できるようになる。
「問題は、それぞれのカップルがどのような関係性を作りたいかであって、常に割り勘にしていればよいというものでもありません」とミン氏は話す。
ハイフォン市に住むトゥアン・トゥさんは、金銭的に完全な割り勘が恋人への愛情を表現する方法だという意見には反対だ。トゥさんは、恋愛関係にあるときには男性がデート代を支払うのが当然だと考えており、常にそうしている。ただ、彼女の方から払いたいと言われて嫌な気はしない。トゥさんは、彼女からよくサプライズのプレゼントを貰うことがあり、恋人の愛情を十分に感じられている。
「それがお互いに負担を感じたり、自分と相手のお金を明確に分けたりせずに、お互いの愛情を確かめる私たちのやり方です。」とトゥさんは話す。
出典:08/05/2023 VNEXPRESS
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