原油高が企業活動とGDP成長に圧力
中東情勢の緊迫化に伴う原油価格の上昇が、ベトナム経済に広範な影響を及ぼしている。
BIDV経済研究所のカン・バン・ルック博士らの分析によれば、開放経済であるベトナムは、エネルギー、貿易、金融の各分野で直接・間接の影響を受けている。
まずエネルギー分野では価格上昇が直撃。加えて、物流や保険、冷蔵輸送コストも上昇し、サプライチェーンの混乱が続いている。
さらに、米ドル高の進行によりUSD/VND為替レートは2026年に2~3%上昇する可能性があるとされ、戦闘長期化の場合は変動幅がさらに拡大するリスクもある。
インフレ上昇も一定範囲に抑制か
燃料は消費者物価指数(CPI)の約4%、交通は約9.7%を占めるため、エネルギー価格の上昇はインフレに直結する。
ただし、再生可能エネルギーの活用や省エネの進展により、2026年のインフレ率は0.3~0.5ポイント程度の上昇にとどまり、政府目標の4~4.5%圏内に収まる可能性がある。
一方で、原油価格が1バレル95~100USDで推移した場合、インフレ率は最大5%近くまで上昇する恐れがある。
投資・消費の減速で成長鈍化リスク
供給コストの上昇と心理的な慎重姿勢の広がりにより、企業活動や消費にも影響が出ている。
FDIの流入鈍化や株式市場の下落、企業収益の悪化などが懸念され、GDP成長は輸出・投資・消費のすべての面から圧力を受けている。
国会のホアン・ミン・ヒエウ委員は、中東戦争が「原油高・ドル高・金融不安・供給網混乱」という複合ショックを引き起こしていると指摘する。
減税・財政支援パッケージの必要性
こうした状況を受け、企業からは減税や財政支援を求める声が強まっている。
主な提案は以下の通りである。
・燃料に対する環境税の引き下げ
・付加価値税(VAT)8%の延長
・法人税やVAT、土地賃料の納付猶予
・港湾・航空関連費用の減免
・輸送業向けの低利融資支援
また、特別消費税や環境税のさらなる引き下げも検討対象とされている。
「一律支援ではなく対象限定型を」
専門家は、今回の支援はコロナ期とは性質が異なると指摘する。
当時は需要不足への対応であったが、今回は原材料・エネルギーコストの急騰が主因であり、支援対象や設計を慎重に行う必要がある。
具体的には、輸送、物流、繊維、水産、観光など影響の大きい分野への重点支援が求められている。
投資資金と金利問題も浮上
企業からは税制以外にも、制度面や資金調達環境の改善を求める声が出ている。
特に、輸入手続きの簡素化による通関時間短縮や、運転資金確保のための金利引き下げが重要課題とされる。
経済専門家のレ・スアン・ギア氏は、不動産向け信用の引き締めや預金動向の変化により銀行の流動性が逼迫し、金利上昇を招いていると分析する。
公共投資と金融政策の連携が鍵
同氏は、大規模な公共投資の加速が経済全体の刺激策として有効であると指摘する。
そのためには、投資手続きや用地取得の問題を迅速に解決する必要がある。
また、不動産市場の停滞は建設資材や内装産業など幅広い分野に波及するため、金利引き下げによる資金循環の回復が不可欠である。
成長目標達成へ「迅速な政策対応」求める声
ベトナムは2026~2030年にGDP2桁成長を目標としており、現在はその初年度にあたる重要な局面にある。
専門家は、今回の原油高ショックに適切に対応できなければ、年間成長目標の達成が困難になると警告する。
企業が「嵐」を乗り越え、成長軌道を維持するためにも、迅速かつ的確な政策パッケージの導入が求められている。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
ベトナム進出支援LAI VIEN



















