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会計・労務もう悩まない Vol.02|その残業代、本当に正確ですか?|ベトナム労働法規と給与計算の落とし穴

CLM GROUP HLDGSの富田 英太氏

 ベトナムの会計・経理担当者にとって、給与計算は常に頭の痛い問題です。特に、残業代や各種手当の計算は、複雑な労働法規に準拠する必要があり、意図せず法令違反をしてしまうケースが後を絶ちません。

​ 例えば、時間外労働の割増賃金率は、通常勤務日、休日、祝日、深夜労働などによって細かく定められています。これらのルールを正確に把握し、個々の従業員の勤務状況に合わせて計算するのは、手作業では非常に困難です。さらに、休日勤務や深夜労働が重なる場合など、計算は一層複雑になり、ミスが発生しやすくなります。

​ また、社会保険料や個人所得税の控除額も、給与額や家族構成に応じて変動します。これらの計算を誤ると、従業員との間に不信感が生じたり、最悪の場合、当局からの指摘や罰則を受けるリスクにもつながります。

 私たちは、会計事務所として多くの企業の給与計算をサポートしていますが、特に労働法規の頻繁な改正に対応できていないケースを多く見かけます。法令が改正されるたびに、手作業で全てのルールを更新するのは、膨大な手間と時間がかかります。

​ 給与計算のミスは、単なる事務的な間違いではなく、従業員のモチベーション低下や企業の信頼失墜にもつながる深刻な問題です。正確な給与計算は、法令遵守はもちろんのこと、従業員の満足度を高め、ひいては企業の生産性向上にも貢献する重要な経営課題なのです。

 ​次回は、手作業による勤怠・給与管理がもたらす「見えないコスト」について、具体的に解説します。潜在的なリスクについても詳しく見ていきましょう。

著者紹介:富田 英太 Hidehiro Tomita
CLM GROUP HLDGSのCOO。DXコンサルタント。東証一部上場コンサルティングファームのパートナーコンサルタントとして経営支援のノウハウを修得し、売上改善・黒字化経営のスペシャリストとして活動中。