消費者が支出を引き締め、多くの輸入国が在庫過多に陥ったことで、ベトナムの主要輸出産業の業界団体は輸出目標を引き下げた。
農業・農村開発省の最新の報告書のよれば、7月末までの農林水産品の輸出額は291.3億USDとなり、前年同期比で9.1%の減少となった。このうち、水産物と林産物の減少が大きく、それぞれの輸出額は49.5億USDと77.9億USDで前年同期比で25%以上の落ち込みとなっている。
このような困難な状況に直面して、ベトナムカシューナッツ協会(Vinacas)は、2023年のカシューナッツの年間輸出目標金額を30.5億USDに引き下げた。これより前にもVinacasは、農業・農村開発省の計画に基づき今年の輸出目標金額を38億USDから31億USDに引き下げていた。
同様に林産物業界も木材および、木製品の価格下落を受けて、年間の輸出目標金額を180億USDから140億USDに引き下げた。
水産物に関してベトナム水産物輸出協会(VASEP)は、2023年の輸出目標額を2022年から大幅に引き下げたと発表した。今後についてVASEPでは、年末にかけての残り5か月で輸出が回復した場合、輸出額は前年比15~16%減の90億USDとなるが、輸出が回復しない場合、年間輸出額は85~87億USDに留まると予測している。
世界的な消費動向が依然不安定なため、ベトナムの主要な輸出業界団体は輸出目標を引き下げている。ホーチミン市木材加工協会(HAWA)のグエン・チャイン・フーン副会長は、秋ごろのアメリカと欧州各国の木材製品や家具需要はかなり低くなるとの見通しを述べた。その一方で、ユーロ高の影響で輸出入業者は、原材料の調達が困難になっている。また欧州各国の消費傾向も安定しておらず、昨年よりも落ち込んでいる。
カシューナッツ輸出企業によれば、世界のカシューナッツ需要が落ち込んでいる。さらにカシューナッツの原料を供給しているアフリカ諸国は徐々に自国生産に切り替えるようになってきており、ベトナムに輸入されるアフリカ産の原料は品質が下がっている。また、これらの輸入製品を長期間倉庫に保管すると品質がさらに低下する可能性がある。
水産物業界では、アメリカと中国市場向けの輸出が昨年から20~30%も減少している。原材料価格が高騰する中で販売価格が低く抑えられているため養殖業を諦める生産者も増えている。これによって水産物の原材料が減少し、輸出にも影響を与えている。また、企業は生産コストの見直しを進めており、輸出市場拡大への投資は控えめになっている。さらに多くの水産加工企業は、コストを削減するために国際市場への足掛かりを探している。
VASEPのチューン・ディン・ホエ事務局長は、水産輸出企業に対して輸入業者と常に緊密に連絡を取り合い、主要な市場での立場を維持するようにアドバイスしている。現在から年末にかけては、市場の回復が早いとされる中国市場が注目されている。
VASEPでは、ベトナムの水産物輸出先として最大の市場であるアメリカについて、今後年末にかけてイベント需要が高まり、回復が進むと予測している。日本、韓国、中国の市場については、2023年第4四半期の初めごろから徐々に回復が進むと予測されている。
7月の定例記者会見で農業農村開発省のフン・ドゥック・ティエン副大臣は、企業に対して従来からの顧客を維持するために原材料調達と資金のバランスを保ち、輸出市場と商品の構造を調整するように忠告した。また、企業は競争力を維持するために積極的にベトナムが締結している自由貿易協定の特恵関税を活用する必要がある。
農業・農村開発省は今年について、林業と水産業が下半期に勢いを取り戻すことが出来れば、農林水産品の輸出額目標である540~550億USDは達成可能との見方を示している。
今年も残り5か月となったが農業・農村開発省は、アジアが2.3%の経済成長を遂げるなど市場が徐々に加熱しつつあると分析している。中国は、これまで以上にベトナムの農林水産物に注目しており、特に農産物のベトナムからの輸入が増加している。
SSI証券の分析によれば、ベトナムの水産物輸出企業は、原材料費と輸送費の下落によって、下半期から利益が改善する。SSIでは、アメリカへ輸出している主要輸出産業の企業について、今年の第3四半期の利益は前年同期と比べて横ばいか若干のマイナスとなり、第4四半期に入ってから利益が増加していくと予測している。
出典:13/08/2023 VNEXPRESS
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