M&Aの専門家によれば、最近ベトナムでのチャンスを求めてアジア以外に欧米からも投資が押し寄せつつある。
これは、11月13日にホーチミン市で開催されたGMAPカンファレンスにおいて、Global M&A Partnersの共同創設者でノルウェーのSaga Corporate Finance会長でもあるイヴァン・アルバー氏が述べた内容だ。
Global M&A Partnersは、南北アメリカ大陸、ヨーロッパ、アジア太平洋地域など50カ国で活動する30社のM&A専門企業が参加する協会だ。今回のGMAP会議は、投資家がベトナム市場をより深く理解し、投資戦略を決定することをサポートする目的で開催された。
GMAPの専門家は、ベトナムは、これまで日本、韓国、シンガポール、タイ、中国などアジア諸国からの投資を呼び込むことに成功してきたが、欧米からの投資は少なかったと分析している。
しかし、イヴァン・アルバー氏によれば、ベトナムは安定した政治体制、消費マーケットの拡大、競争力のある人件費によって、最近欧米からの投資が流れ込みつつある。「最近、欧米の投資家はベトナムを含めたアジア諸国へシフトしつつあります」とイヴァン氏は話す。
GMAPの共同会長で、Zetra AG(スイス)のパートナーでもあるフレデリック・デ・ブール氏は、現在中国に拠点を持つインフラ関連の製造業2社からベトナムへの投資について相談を受けていると明かした。
「ヨーロッパの投資家がベトナムの製造業に魅力を感じていることが伝わってきます。既に一部の企業はベトナムに投資しており、今後更に多くの企業がこの流れに追随していく可能性があります。」とイヴァン氏は話す。最近の代表的なヨーロッパからの大型投資としては、10億USDを投じてビンズン省に建設されたレゴ工場がある。
一方で、日本のようなこれまでの主要投資国も依然としてベトナムに魅力を感じている。RECOFのマネージングダイレクターである吉田正高氏は、各国の投資家は、食品製造、小売、教育、銀行以外の金融テクノロジー、物流などに関心があると話す。日本の投資家に限れば、物流、特にコールドチェーンへの関心が高い。
吉田氏は、ベトナムは確かに世界経済低迷の影響を受けているが、日本経済は、円安と株主との関係によってより深刻な影響を受けていると指摘する。
計画投資省によれば、2023年10月までの海外直接投資(FDI)と株式購入や資本買収による総投資額は257億USDを超え、前年同期比で14.7%も増加している。
2023年1月からこれまでに、SMBC(日本)が第三者割当増資によりVPBankに15億USD出資したり、KKR Global Impact(アメリカ)がEQuestに1.2億USD投資するなど、日本とアメリカの投資家も注目すべきM&A取引に参加している。
RECOFの専門家は、日本の投資家は元来ベトナムの株式市場に注目してきたが、市場規模がまだ小さく、上場企業の株式購入に関する規定が不十分だとして、あまり参入してこなかったと指摘する。
特にM&Aを通じてのベトナムへの外資流入をさらに拡大するためには、投資資金の引き揚げに対する条件を緩和する政策が必要だとイヴァン・アルバー氏は提案する。
「投資家は、資金を投入した時にどうやって回収するかを考えます。ベトナムでは企業の設立や買収は容易ですが、投資家をさらに引き寄せるためには、売却プロセスを改善し簡略化する必要があります」とイヴァン・アルバー氏は話す。
自社を売却しようとした場合、M&Aの完了までに平均9か月程度かかる。そのため、専門家は、企業が適切な価格と買い手を比較検討し、交渉できるようにするために、遅くとも1年前にはコンサルティング会社と契約しておく必要があると指摘している。
出典:12/11/2023 VNEXPRESS
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