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【社会】外国人受刑者への教育と理解の試み

(C) VNEXPRESS

ドアン・ゴック・ドー・クイン大尉は、国内最大の刑務所で12カ国の外国人受刑者29人の管理を命じられたとき不安を感じた。

バクザン省出身のクイン大尉は、ビントゥアン省トゥードゥック刑務所第1収容所に勤める女性刑務官としての仕事に大きなやりがいを感じている。この刑務所は国内最大規模の刑務所であり、その中では39カ国の国籍を所有する800人の外国人受刑者が服役している。

「刑務官の任務は、受刑者が自らの罪を悔い改め、更生できるようにするために、受刑者にに寄り添い、教育することです」とクイン大尉は、過去16年間勤めてきた刑務官の仕事について話す。

クイン大尉はこれまでに数百人の受刑者を教育してきた功績により、刑務所幹部から高く評価されている。しかし、2020年に27歳から80歳までの12カ国の国籍を持つ29人の外国人女性受刑者(そのほとんどが麻薬犯罪で終身刑)の担当を命じられたとき、クイン大尉は大きな不安を感じた。

「最大の障壁は言葉です」とクイン大尉は話す。受刑者を管理、教育するために、刑務所では外国人受刑者にベトナム語を教え、日常生活や作業におけるコミュニケーションや個人的な要望を伝えられるようにしている。クイン大尉は簡単な英語はできるが、受刑者全員が英語を話せるわけではなく、ベトナム語を教えることも簡単ではない。そのため、受刑者の心理、習慣、風習を理解して教育するには多大な時間と労力を要する。

クイン大尉は、自らのことについて話すときは控えめだが、受刑者の話になると饒舌になる。クイン大尉は、ラオス人の女性受刑者と接した時にとても戸惑ったことがある。刑務所内では誰もこの女性受刑者の言葉を理解できる人がおらず、クイン大尉は”ボディランゲージ”を使ってコミュニケーションを図らざるを得なかった

他にも以前外国語を話せないアジアン人受刑者がヨーロッパ系の受刑者と一緒に作業することに強く反発したため、クイン大尉が仲裁役を務めたこともある。両者の話を聞いたクイン大尉は、この問題が両者の言語と文化の違いからきていることを理解し、問題解決のために両者に根気強く説明を続けた。

「彼女たちに学ぶ意欲があることをとても嬉しく思っています。今では殆どの受刑者が基本的なベトナム語を理解できるので、国の寛大な政策を伝えることがより容易になりました。今では、彼女たちは罪を悔い改め、1日でも早く帰国できることを待ち望んでいます」とクイン大尉は話す。

(C) VNEXPRESS

同じ刑務所で刑務官として働くチャン・バン・チュン中佐は、18年間にわたって男性外国人受刑者を教育してきた。彼らはそれぞれ異なる性格や文化を持っているが、受刑者を教育・説得し、罪を悔い改めさせるという方針は共通しているので、チュン中佐は、受刑者ごとの特性を理解して、それに応じた対応をとるようにしている。

数年前にナイジェリア国籍のイファニー・エゼキエル・オコンクォという男が麻薬の密輸に関与した罪で終身刑判決を受け、トゥードゥック刑務所に移送されてきた。刑務所に来た最初の頃、この身長1.9m以上もある男性受刑者は、常に無実を訴え、教育を受けることを拒否し、食事をとらず、周囲の受刑者とトラブルを繰り返した。

調査によってチュン中佐は、オコンクォが祖国の片田舎の貧しい家庭に生まれ、様々な職を転々としてながら貧しい生活を続けていたことを知った。2019年にオコンクォは、友人からベトナムに行って中古の衣類や履物仕入れてくる仕事に誘われて、参加することにした。しかし、暫くしてオコンクォは、これが実際には麻薬の密輸ネットワークの仕事であることに気づいた。自分が違法な仕事に手を染めていることを知りながら、オコンクォは金のために違法な仕事を続けた。裁判所の判決によれば、この麻薬密輸組織が摘発された際にオコンクォは、430g以上のコカインを運んでいる途中だった。

この受刑者に罪を認め、悔い改めさせるため、チュン中佐は定期的に話し合いをおこない、ベトナム語を教え、オコンクォの考え方や善悪の判断を理解しようとした。この交流を通じてチュン中佐は、オコンクォが”大きくて強い”見た目とは裏腹に非常に繊細な心を持っていることに気づいた。2022年の初めごろ、大使館職員がオコンクォの父親が亡くなったことを告げに来ると、オコンクォは子供のように泣き叫び、何日も食事をとらなかった。

「私は彼と話し合い、励まし、母親や兄弟のことを考えるように説得しました。それ以来、オコンクォは精神的に安定するようになり、更生への意欲を見せ、田舎にいる年老いた母親の面倒を見るために、早期の恩赦を望むようになりました」とチュン中佐は話す。

2024年のテトに際して、トゥードゥック刑務所は、1985人の受刑者に対する恩赦を申請し、外国人2人を含む395人が減刑された。テト期間中、刑務所は受刑者に対する食事を5倍に増やし、様々な文化・スポーツ・娯楽イベントを開催し、正月の楽しい雰囲気づくりに努めた。

出典:13/02/2024 VNEXPRESS提供
上記記事を許可を得て翻訳・編集して掲載