HSBCによれば、ベトナムは、世界的なエレクトロニクス業界の景気回復傾向と好調な国内の外国直接投資(FDI)により、下半期に力強い成長を遂げる可能性がある。
これは、HSBCのグローバルプライベートバンキングサービス部門が最近発表した下半期の投資展望報告書に記載した評価内容だ。このチームの調査によれば、ベトナムは世界的なエレクトロニクス分野の景気回復の勢いに乗っている。
最新の購買担当者景気指数(PMI)は、引き続き生産活動の拡大傾向を示している。中でも、エレクトロニクス製品の輸出が好調なことは注目に値する。先月は、家庭用電化製品の輸出が好調で輸出の伸びの60%に貢献した。HSBCによれば、サムスンのスマートフォンGalaxy S24 シリーズの好調な販売実績と売れ行き予想により、今後さらにこの分野の成長が期待されている。
「ASEANでは、シンガポール、マレーシア、ベトナムがエレクトロニクス産業の主導的地位を確かなものにしています」とHSBCグローバルバンキングサービスASEAN担当責任者のジェームズ・チェオ氏は話す。
さらにベトナムの有望な投資先としての魅力によって、海外からの直接投資の見通しも安定している。2024年1月から5月までのFDI誘致は、件数と金額の両方が増加している。現時点で、1227件の新規プロジェクトが登録され、総投資額は79.4億USDとなり、それぞれ前年同期から27.5%と50.8%の増加となっている。統計総局によれば、実行ベースの投資額は82.5億USDに達し、過去5年間で最高額となっている。
サムスンのR&Dセンター及び、大規模製造拠点であることに加えて、ベトナムは、最近グローバル企業グループの”チャイナプラス1”戦略によって、東南アジアの有望な選択肢の一つとなっている。MacBook、iPad、Apple Watchなどが既にベトナムで製造されている。
インシグニア・ベンチャーズ(シンガポール)のCEOであるインラン・タン氏は、最近のCNBCで、中国に近いという地理的要因によって、ベトナムは、世界のサプライチェーンにとって魅力的な投資先となっており、製造コストの大幅な削減に貢献していると述べた。
BofA証券のASEAN経済アナリストであるカイ・ウェイ・アン氏は、ベトナムのその他の利点も高く評価している。「ベトナムは、労働コストに競争力があり、多くの自由貿易協定を締結していることでEUなどの様々な市場への輸出がしやすいというメリットがあります」とアン氏は述べた。
HSBCの報告書は、ベトナムの資本市場についても楽観視している。ベトナムの証券市場は、今年に入ってからアジアで最も安定している証券市場の1つとなっている。「株価は需要に比べて依然として低いです。企業の業績は2023年の底から着実に回復を続けており、引き続き好業績が続けば、証券市場の株価も上昇の勢いが出るでしょう」とチェオ氏は述べた。
4月末にHSBCは、ベトナムの第3四半期と第4四半期のGDP成長率予測をそれぞれ6.2%に引き上げた。HSBCは、2024年通年でのGDP成長率は6%台と予測しており、IMFやOUBの予測とほぼ同じ水準となっている。
このような経済の明るい見通しの一方で、インフレ率は上昇傾向を維持しており、ベトナム国家銀行の設定した4.5%の上限に近づいている。FRBの利下げの遅れによって短期的にはUSD高となり、VNDに変動が生じている。HSBCによれば、世界各国の中央銀行の動向によっては、ベトナム国家銀行も金利政策に慎重な対応が求められる可能性がある。
出典:2024/06/27 VNEXPRESS提供
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