新型コロナの感染者が急増、重症例も確認
2025年5月27日、ホーチミン市疾病対策センター(HCDC)は、同市で新型コロナウイルス(Covid-19)をはじめとした複数の感染症が同時に増加傾向にあると発表した。
特にCovid-19は、過去1週間で63件の新規感染が確認され、これは直前4週間の平均と比較して142%の増加となっており、このうち1件は重症例とされている。
2025年年初からの累計感染者数は184人で、前年同期(355人)と比べて48%の減少となっているものの、4月中旬以降の増加傾向が懸念されている。
新たな変異株「NB.1.8.1」を検出、22カ国で確認
増加の背景には新たな変異株の影響がある可能性が指摘されている。
ホーチミン市熱帯病院とオックスフォード大学臨床研究ユニット(OUCRU)によるゲノム解析の結果、5月第3週に入院した患者の83%の検体から「NB.1.8.1」変異株が検出されたのだ。このNB.1.8.1は、2025年初めに初めてその遺伝子構造が発表され、5月22日時点で22カ国・地域での存在が確認されている。
ただし、世界保健機関(WHO)は現時点でNB.1.8.1を「監視対象変異株(VUM)」「注目すべき変異株(VOI)」「懸念される変異株(VOC)」のいずれにも分類していない。
感染拡大に備え、医療体制を強化
HCDCとOUCRUは、引き続き疫学的動向を監視し、リスク評価と予防対策を進めていく。ホーチミン市保健局は医療機関に対し、感染症患者の受け入れや重症化への早期対応体制を整備するよう指示した。特に高リスク該当者(高齢者や基礎疾患のある人など)への注意を促している。
また、保健当局は市民に対し、「過度に不安になる必要はないが、油断せず衛生管理を徹底するよう」呼びかけている。
急性呼吸器感染症と手足口病も増加
Covid-19の他にも、インフルエンザなどの急性呼吸器感染症と手足口病の感染も増加傾向にある。
呼吸器感染症は年間約40万件ペース
HCDCの報告によると、直近1週間で17,120件の呼吸器感染症が確認され、直前4週間平均に比べて2%増加した。
2025年年初からの累計では392,747件と、前年同期(361,240件)比で9%の増加が見られる。
HCDCは、急性呼吸器感染の発生は「やや増加傾向」にあると分析している。
手足口病が前年の1.5倍に
手足口病についても、同期間に1,067件の新規感染が確認されており、これは直前4週間平均と比べて47%の増加となる。
2025年年初からの累計は7,543件で、2024年同期(5,061件)比で49%増、2022〜2024年の平均(3,454件)との比較では118.4%増と、警戒すべき水準に達している。
なお、現在のところ、手足口病の重症化の原因として知られるEV71ウイルスの検出は報告されていない。
感染拡大防止に向けた取り組み
市当局は、感染拡大を抑えるため、以下のような対応を進めている。
- 学校・地域での感染状況監視と症例対応の強化
- 手足口病ウイルスの監視
- 家庭での子どものケアに関する広報強化
- 医薬品・物資の確保と治療体制の整備
市民への呼びかけ:冷静に、しかし油断なく
ホーチミン市保健当局は市民に対し、「今のところ重大な変異株の出現はないが、感染拡大の可能性は否定できない。引き続き、手洗いやマスク着用など基本的な対策を徹底してほしい」と注意喚起している。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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