社会住宅購入条件、各省の実情に応じて柔軟運用へ
政府は、社会住宅(公的支援住宅)に関する購入条件の見直しを行い、これまでの「自宅と職場の距離が30km以上であること」という制限を撤廃した。これにより、今後は各地方自治体が地域の実情に応じて、柔軟に条件を設定できるようになる。
条件の画一化を見直し、地方に裁量を委ねる
2025年5月29日、国会で行われた第1セッションの最終討議において、「社会住宅の開発に関する特別政策の試行」に関する決議が可決された。政府が提出した改訂案では、従来の30km要件を削除し、代わって各省・市の人民委員会(UBND)に、地域の実態に基づく条件設定の権限が与えられた。
これは、国会議員や関係機関から「職場と住居の距離が固定されていない労働環境において、距離を一律に規定するのは実情に合っていない」との指摘を受けた結果である。政府は、「社会住宅は世帯のニーズに合わせるべきであり、柔軟な基準が必要」として、条件見直しの必要性を強調した。
国家住宅基金の設立へ:賃貸住宅に重点
住宅政策を支える新たな資金源を整備
新たに設立が決定された「国家住宅基金」は、国の予算外の公的資金として、営利を目的としない形で運営される。この基金は中央政府が設立する「中央住宅基金」と、地方自治体が設立する「地方住宅基金」の2層構造となる。
主な目的は、社会住宅の建設、インフラ整備、そして公務員や労働者向けの賃貸住宅供給の拡充である。なお、基金の運用内容、支出範囲、規模などは今後の政令で詳細に定められる。
住宅の「貸し出し」に焦点 ―資源の有効活用を目指す
政府は「国家住宅基金」の役割について、住宅の販売よりも賃貸に重点を置く方針を明示した。これは、土地資源を節約し、より多くの人々が住宅を一定期間利用できるようにするためである。
現在、企業によって供給される賃貸住宅は一定期間後に販売されることが多く、継続的な住宅支援には不向きとの指摘があった。今回の政策変更により、より安定的な住環境の確保が可能になる見通しである。
政策の狙いは「実効性」と「公平性」
政府は今回の改正を通じて、「地域実情に即した運用」と「社会的弱者への支援強化」を両立させる住宅政策を打ち出した。地方ごとに異なる需要に柔軟に対応できる制度設計を進めることで、より公平で持続可能な住宅供給体制の構築が期待される。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
ベトナム進出支援LAI VIEN
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