新政令70号により、訂正・差替え対応が必須に
電子インボイスの誤記訂正には時間と手間が必要
これまで、企業が発行した電子インボイスに誤記があった場合、税務機関に申請することでインボイスを取り消すことが可能であった。しかし、2025年6月1日から施行された新政令70/2025により、この対応は変更された。今後はインボイスに誤りがあった場合は、訂正または差替え手続きをする必要があり、取消しは一切認められない。
インボイスに記載した税コードが誤っていた場合も、取消しではなく修正対応が求められるため、修正手続きに相当の時間がかかるとみられる。
港湾が取引先に注意喚起
ホーチミン市にあるSPCT港は、「いかなる場合でも電子インボイスを取り消すことはできなくなります」という掲示を出し、輸出入手続きを行う企業に対して、発行情報の正確性を確保するよう警告している。
掲示では、「税コードなどの誤記により訂正が必要となると、大幅な時間を要する可能性があります」と記載されており、企業に対して事前に正確な情報提供を徹底するよう呼びかけている。
総会社サイゴン・ニュー・ポートも通知
また、サイゴン・ニュー・ポート社も、6月1日以降はインボイスの取消しが一切受け付けられなくなる通知し、取引先に対し、税コード、会社名、住所、記載内容などを十分確認したうえで申告・支払を行うようアドバイスしている。
もし誤記載があった場合は、港湾側に連絡のうえ、「訂正」または「差替え」手続きに従って対応する必要がある。
新政令の変更点:取消しから訂正・差替えへ
従来の政令123/2020第19条第1項では、電子インボイスの誤記載について、税務機関から新しいインボイスコードの再発行を受け、旧インボイスを取り消すことが認められていた。
しかし、新政令70/2025第1条第13項では、誤記載のある電子インボイスは取り消すことができず、訂正または差替えによる対応が義務付けられている。
誤記載内容ごとの対応例
IAM法律事務所のグエン・クオック・トアン弁護士によれば、税コード以外の軽微な誤記(会社名・住所など)であれば、訂正通知のみで対応が可能となる。売り手が税務機関に対して様式04(政令70/2025付属)を用いて通知することで、再発行は不要となる。
一方、税コード、金額、税率、商品名・品質など重要項目の誤記がある場合は、「訂正用電子インボイス」もしくは「差替えインボイス」の発行が必要となる。
なお、同一月内に同一顧客に対して複数の誤記インボイスを発行した場合には、まとめて1通の訂正インボイスを発行することも可能。この場合、様式01に基づいた一覧表の添付が求められる。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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