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【経済】小規模事業者に広がる追徴課税の不安

ベトナムの小売店のレジ風景
(C) TUOI TRE

 電子インボイス導入で追徴課税の懸念広がる

ベトナムで6月から本格導入された小規模事業者への「電子インボイス」制度適用により、小規模事業者の間で不安が広がっている。これまでの定額課税制度から、売上に基づく申告課税への転換により、追徴課税や納税額の増加を懸念する声が相次いでいるのだ。

ホーチミン市タンビン区で水産物や精肉を扱うチャン・グエンさんは「これまでは、税務局は、うちの毎月の売上を定額9000万VND(約53万円)に設定し、1.5%の税率で毎月135万VND(約8千円)を納税することになっていましたが、原材料費の上昇やインボイス制度の影響で、今後は売上が月1億5000万VND(約89万円)に達する見込みで、そうなると納税額もこれまでの135万VNDから220万VND(約13,000円)に上がりそうです」と話す。

グエンさんが最も懸念しているのは「今後の納税額が上がるだけでなく、過去の定額納税分について追徴があるのではないか」という点だ。これは彼女に限らず、多くの小規模事業者の共通の不安となっている。

税務専門家のレ・バン・トゥアン氏によると、「これまでの定額売上方式と申告売上方式で課税率自体は変りません。例えば物品販売は1.5%、飲食店は4.5%など一定のままです。しかし、以前の“定額売上”に比べ、実際の売上で申告することで税額が高くなる可能性があります。また、その後、過去の遡って追徴されるなどの事例が発生することを恐れて、様子見として一時的に営業を停止する事業者も出ているのです」と話す。

税務当局は、実際の売上が定額売上時の1.5倍を超えた場合、過去の売上を見直して課税額を修正する方針を示しているが、これが一部の事業者の不安を煽っている。実際、税務当局が企業側からのインボイスを基に調査したところ、年間売上が200億~520億ドン(約1.2~3.1億円)に達していた事業者もいたという。

インボイス制度導入の壁 証憑のない在庫と下請け問題

制度導入に伴い、新たな問題も浮上している。それは、これまで証憑のない形で仕入れた在庫の扱いだ。タンビン区で衣料品を販売するファム・ランさんは、「製造業者がインボイスを発行してくれず、自分も仕入れ証明がない。彼らも税金を恐れてインボイスを出したがらない」と苦悩を語る。

レ・ヴァン・トゥアン氏は、「過去の在庫に関しては証明がなくとも例外的に合法化し、2025年6月1日以降は全ての仕入れにインボイスを義務化する“移行期間”の設定が現実的だと思います」と提案する。また、現行の税率自体が高いため、長期的に事業者がビジネスを継続できるようにするには、税率の見直しも必要になると指摘する。

一方で、税務当局による調査や罰則の強化も進められており、納税回避が発覚した場合は追徴額の1.5倍が課せられる。専門家らは、「年商数十億ドン以上の事業者は、法人化したほうが経費控除や税制優遇の恩恵を受けられ、むしろ有利」として、事業者の企業化を促している。

制度の趣旨は、単に税収を増やすことではなく、透明性あるデジタル経済の確立にある。税務申告とインボイス発行の義務化は、偽造品・不正商品対策としても期待されており、段階的な支援策を伴いつつ、中小事業者が制度に適応できる環境整備が求められている。

※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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