2025年6月18日、ベトナム国会は鉄道法改正案について審議を行い、特に南北高速鉄道プロジェクトに関する投資家選定の基準、財務能力の証明、建設業者の役割、TOD(公共交通指向型開発)の運用など多岐にわたる論点が議論された。
「1000億ドルある」との主張に現実味なし?
ドンナイ省選出のチン・スアン・アン議員は、ある投資家が「1000億USD保有しており、南北高速鉄道を建設可能」と主張した例を挙げ、「まるで空から降ってきたような話で、信憑性が極めて低い」と指摘した。
アン議員は、財務能力を示すためには、単なる資本金や借入金の報告だけでなく、具体的かつ検証可能な基準を導入する必要があると強調。独立審査機関の設置やクロスチェックの仕組み導入も提案した。
建設業者の規定が不十分との指摘
アン議員はまた、改正案では投資家に関する規定が中心であり、建設業者に関する明確な規定が欠けている点を問題視。「建設業者が技術基準を守ることは必須であるが、その選定方法について法律に盛り込むべき」と主張した。
外資系業者の排除は不適切?
ハノイ市選出のホアン・ヴァン・クオン議員は、改正案第32条第1項および第4項における「随意契約」の規定が、透明性を欠き、全契約に適用可能と読み取れる点を問題視する。また、外資系建設業者の利用を制限するような表現について、「国内業者だけでは対応できない工事もある」とし、現実に即した柔軟な対応を求めた。
加えて、外資業者がプロジェクトに参入する際には、第38条第3項に基づき、「技術移転および人材育成」を義務付けることを確認すべきとした。
TOD活用と地方政府の役割明確化を要望
ビントゥアン省のグエン・フー・トン議員は、改正案がTOD(公共交通指向型開発)を取り入れる方向性を評価する。「駅周辺の土地活用によって資金難の中でインフラ整備が可能になる」とし、地方自治体に50%の収益分配を認める点も高く評価した。
しかし、トン議員は「誰が計画を主導し、承認し、土地を管理・配分するかという点での不明瞭さ」が実務上の障害になると指摘。法案にその責任分担を明確に記載すべきとした。
公共インフラの“完全民営化”を回避せよ
また、駅周辺の土地(TOD)の開発投資家選定についても、透明な入札制度を義務化し、違法な随意契約や不正譲渡による国家資産の損失を防ぐべきと強調した。民間主導のPPP方式による開発は歓迎されるが、利益の「完全な民営化」は避けるべきとの見解を示した。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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