食品安全局に蔓延した「潤滑油」の慣行
保健省食品安全局幹部に対する贈賄事件で、医薬品・機能性食品関連企業の経営者が多数関与していたことが明らかになった。捜査当局によると、製品の届出や広告審査を円滑に通すため、いわゆる「潤滑油(賄賂)」を支払う慣行が長年にわたり続いていたという。
公安省捜査機関の捜査結論によれば、条件を満たさないまま登録証明書が発給された数万点の製品のうち、数千点の健康食品・機能性食品が市場で販売されていたとされる。
元局長2人が主導、1件あたり数百万ドン
2018~2024年の6年間、食品安全局の局長を務めたグエン・タイン・フォンおよびチャン・ビエット・ガーは、企業の製品届出や広告申請を通過させるためには「潤滑油」が必要だという暗黙のルールを設けていたとされる。
賄賂の相場は1件あたり200万~1,000万VNDとされていた。
捜査当局は、法令の規定が曖昧で詳細な指針が不足する中、同局が意図的に手続きを遅らせたり、書類を差し戻したりして企業側に圧力をかけていたと指摘している。
サービス業者・企業幹部が約800億VNDを送金
製品届出の申請後、企業や代行業者は発行された申請番号を担当官に連絡し、1回あたり500万~1,000万ドンの「裏金」を支払うことで便宜を受けていたという。
6年間で、21人の代行業者や企業経営者が、食品安全局の担当官に総額約800億VNDを送金したことが確認された。
このうち、製品届出代行業を営むチャン・ティ・クイン・チャンは、21人の担当官に対し、現金や振込で計335億VNDを渡したとされる。
また、医薬・機能性食品企業ナバコ(Navaco)の会長および社長も、約40億VNDを贈賄した疑いが持たれている。
偽機能性食品の「黒幕」、検査のたびに賄賂
捜査では、偽の機能性食品製造を主導していたとされるグエン・ナン・マインの関与も浮上した。マインは複数企業と工場を運営し、検査や事後監査のたびに食品安全局の調査団へ金銭を渡して不備を見逃させていたという。
2020年には、GMP認証取得を巡り、審査日程の前倒しや審査通過のため、局幹部や調査責任者に数千万円規模の賄賂を支払ったとされる。
マインが各種審査・検査で支払った金額は総額10億ドン超に上る。
同人は別事件ですでに起訴されており、中国由来などの原料を使用しながら、米国や欧州製と偽装した健康食品を大量に流通させていたと認定されている。
94億ドン受領、元局長が主犯格
捜査当局は、2018~2024年に食品安全局の31人の担当官が、製品届出関連で総額約940億VNDを受領したと結論付けた。
このうち、元局長グエン・タイン・フォンは約440億VNDを受け取った疑いがあり、主犯格として刑事責任を負うとされている。
また、元局長チャン・ビエット・ガーも、担当官が受領した計127億ドンについて、主導的役割を果たしたとして訴追されている。
贈賄者は170人超、捜査は継続
捜査当局によると、すでに立件された21人(約800億VND)に加え、150人以上が総額245億VNDを贈賄していた疑いがある。
金額が少額かつ居住地が分散しているため、引き続き確認と処理を進めるとしている。
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