前回、日系企業の特徴的な組織課題を整理しました。ただ、課題が見えてもマネジメントの悩みは尽きません。「自分のやり方に対するこだわりが強く、変革が思うように進まない」、「個のキャリア志向が強く、組織としての成果を追求する動きが生まれにくい」という、ベトナムならではの声もよく聞かれます。
変化を起こそうと思っても、人は不安が先立ち、強い抵抗が生まれてしまうものです。だからこそ、ベトナムの特性に合わせて不安を解消するのがポイントです。
まず大切なのは、「なぜ、いま変わる必要があるのか」という納得感の醸成です。事業上の理由の説明に加えて、個人のキャリア形成に対する納得感の醸成も必要です。ベトナム人にとって「キャリアアップ」は働く上で強い動機付け要因となるため、変化がキャリアにどうつながるのか、個人との対話を通じて示すことが重要です。
そして、変化を促すには、理想と現状のギャップの明確化が必要です。ベトナム人は具体化されたアクションに対して強い実行力を発揮します。そのため、個人やチームに具体的な目標と達成基準を示すことが重要です。
つまり、組織を変えるには全体に「変化を求める」だけでなく、個々人に対する動機づけを行い、アクションの具体化によって実行力を活かすことが欠かせません。「ベトナムでは変化は起こしにくい」と諦めるのではなく、「特性を活かせば、変化を実現できる」という発想の切り替えが鍵となります。
次回は変化を継続し、広げていくためのポイントを紹介します。



























