最近の不動産市場におけるニュースは、ポジティブな内容が目立っております。業界関係者が見通していた本年度後半からの市場回復も、現時点では概ね予想通りに推移していると言えます。
特に賃貸市場は、外国人居住率が高いサービスアパートメントやコンドミニアムの新規募集賃料が上昇傾向にあり、更新の際に賃料の引上げを打診されるケースも増加しています。新型コロナ禍で大幅に低下した稼働率が、ようやく新型コロナ前の水準まで回復したことが背景にあります。賃料の上昇に伴い、社宅予算の調整が企業にとって課題となる一方で、市場全体には明るい兆しが見えています。
また、コンドミニアム市場は管理組合や管理会社が短期宿泊(Airbnb等)の利用制限を本格化させつつあり、これが賃貸市場に与える影響も注目されています。
売買市場は、特に北部(ハノイ市)での新築コンドミニアムの供給と販売が好調で、価格は上昇傾向にあるものの、南部(ホーチミン市)に比べてまだ抑制されている点が好調さの要因で、セカンダリーマーケットも伸長しています。
一方、ホーチミン市では依然として新規コンドミニアムの供給不足が続き、価格が高水準で推移しており、購入層が限定的な状況です。しかし、隣接するビンズン省やドンナイ省では、ホーチミン市よりも価格が低い新規コンドミニアムの供給が進んでおり、販売の進捗も良好です。
ホーチミン市では中間層が購入可能な価格帯の物件の供給が求められ、今後デベロッパーがどのような価格帯で商品を設計するかが市場の注目点となっています。