主に1996~2005年生まれの若者を指すZ世代。今年で19~28歳になるデジタルネイティブたちの行動、思考、消費などが注目され、マーケティングも始まっている。あなたのオフィスにもいるベトナムGen Zはどんな人?
SNSは「4つ」でいい…TikTokとBeが人気上昇
ベトナムの市場調査会社Decision Labは2023年12月、「Connected Consumer」(2023年第3四半期版)を公表した。主にSNSやアプリに関する調査で、ベトナム全国の1593人を対象としている。
Z世代はSNSを平均5つ使用しており、ミレニアル世代(今年29~43歳前後)より1つ多い。新しいアプリに飛びつく傾向もあり、4.9%がMetaの新SNS「Threads」を使っている。ミレニアル世代(1.9%)の2倍以上だ。
Z世代のSNSはユーザーの多い順にFacebook(95%)、Zalo(90%)、YouTube(87%)、TikTok(81%)、Instagram(71%)だが、TikTokをメインに使う割合が上昇しており、今期で2位の18%まで伸びた(1位はFacebookの41%)。
エンタメのビデオを見るアプリの1位はYouTubeだが前四半期より減少して44%、TikTokは増加して36%とこちらも2位に。ショートビデオの視聴となるとTikTokがダントツの1位(65%)だ。
こんなにSNSが大好きなのに、Z世代の76%が、「少なくとも1つのSNSを日常の使用から削除したい」と考えている。使いすぎということか?
ほかには、配車アプリで「Be」が人気上昇中。最も使う1位はGrabの54%だが、Beへの好感度は四半期ごとに上昇して、今期はGojekとTaxi Mai Linhを抑えて2位(17%)を獲得。ミレニアル世代でも増加したがわずか4%と低く、若者に刺さる何かがありそうだ。
レポートでは、「ベトナムでBeのシェアはGojekより1%低いが、この国産アプリは次の四半期にインドネシアのユニコーンの地位を引き継げるか?」とZ世代の影響力を語っている。
日本は「高品質」、親は「悩みを相談できる友達」
インターネット行動ログ分析の市場調査会社ヴァリューズは2023年12月、日本、アメリカ、中国、タイ、ベトナム、インドネシアのZ世代(20~29歳の男女2398人)の調査結果を発表した。
総人口に占めるZ世代の割合で最も多いのはインドネシアの28%で、最下位は日本の15%。ベトナムは19%(1800万人)で、タイとアメリカの20%に近い。
全ての国でパソコンよりスマートフォンの保有率が高く、保有率トップは中国94.4%。アメリカ93.6%に続いてベトナムは90.9%と3位だった。
日本ブランドへのイメージでは「高品質」、「クリエイティブ」、「シンプルで洗練」が上位で、東南アジア3ヶ国では「高品質」が50%以上と高い。中でもベトナムは56.9%と1位で、「信頼性」も54.5%と6ヶ国中1位。日本への信頼感が伝わってくる。
逆に日本のイメージとしてベトナムで低いのは「ファッションリーダー」で、6ヶ国中最下位(7.2%)。1位のタイ(20.2%)と対照的だ。「カワイイ」も人気がなく最下位の10.5%、こちらもトップはタイ(33.2%)だった。
親との関係を尋ねると、「カジュアルで友達のよう」が中国と東南アジアで7割以上(「とても当てはまる」と「やや当てはまる」の合計)と高い。ベトナムは「とても当てはまる」が47.4%と6ヶ国中1位、「自分の悩みを親と共有するか」との質問にも「とても当てはまる」が43.1%と1位だった。
親との親密な関係は同僚からも伝わってくるのでは?
郊外&緑地を希望、住宅を買いたい若者が増加
不動産ポータルサイトBatdongsanの親会社であるシンガポールのPropertyGuruは2023年12月、ベトナムの住宅購入希望者1000人を対象とした調査結果を発表した。住宅購入希望者の割合は27~30歳が最も多くて42%、次が32~40歳の24%、Z世代の22~26歳が18.7%、42歳以上の15.3%。
特徴的なのは前回調査からの変化で、42歳以上が22.3%から7ポイント下がったのに対し、Z世代は13%から約6ポイントも上昇。1位の27~30歳も39%から3ポイント上がっており、Batdongsanによれば今年住宅を購入した30歳未満の60%が、少なくとも1軒は不動産を所有できる経済力があるという。
調査によるとベトナムの若者は柔軟で、遠方地域での居住や通勤時間の延長を受け入れる傾向が強い。特にホーチミン市やハノイのような大都市の若い住宅購入者の43%は、生活環境の変化を楽しんでおり、緑地やモダンな設備のある物件を優先するそうだ。
一方、大手不動産会社Savills Vietnamのレポートによれば、ホーチミン市の人口約1000万人のうち若者は約55%を占め、そのうち30%が住宅の所有者か購入の検討者。住宅購入に理想的な年齢は25~35歳で、この若者層は住宅ローンをためらわず、郊外の50~70㎡のアパートを探すことが多い。
また、家族から経済的な援助を受けない場合、若者がホーチミン市で住宅を買うために必要な最低月収は3000万~4500万VND(約18~27万円)と試算され、住宅ローンの頭金と借入れ分の利息を支払えるレベルだという。
生活、コンテンツ、ショッピング…いつでもモバイル!
ドイツに本社を置く統計調査データプラットフォーマーStatistaは2023年5月、アジア新興国Z世代の消費スタイルの調査結果を公開した。
ベトナムにフォーカスすると、「最新のモバイル技術(5G)へのアクセスが重要」と答えた人が39%、「ネットなしの生活は想像できない」が41%、「いつでもどこでもモバイルネット接続が重要」が64%で、他国に比べてかなり高い数字だ。
オンライン広告に対しては全体的にイライラ感が強く、一方で無料コンテンツの代償として受け入れる傾向は強いのだが、ベトナムは特に顕著だ。「イライラすることが多い」は47%、「無料コンテンツの代わりなら気にしない」が45%で、他国より高い数値となっている。
TikTokのユーザー増は別に紹介したが、広告のリーチ率も高いとわかった(2023年1月現在)。人口と比較したリーチ率はトップがマレーシアの77.7%、2位がタイの69.1%、3位がベトナムで68.9%だ。
ショッピングもネット経由だ。「大きな買い物はまず最初にネットで調べる」が64%と他国より高く、「大きな新しい買い物はスマホかタブレットで購入」も34%と高かった。
買物に対するこだわりもあり、「アパレルと履物は何より快適かつ実用的」が71%とダントツで、他国は高くても60%前半。オンラインで最も購入された商品も「アパレル」、「履物」、「バッグとアクセサリー」であり、「快適かつ実用的な服や靴」が喜ばれるプレゼントになるかも?
観光にお金はかかるが、若者は国内より海外志向
香港に本社を置く旅行予約サイトKLOOKは2023年7月、アジア太平洋(APAC)地域の観光トレンド調査を発表した。調査対象はAPAC12ヶ国・地域のZ世代とミレニアル世代が中心。
調査対象者の3分の1が、次の休暇にはアジアの平均月収(1069USD)の2倍以上である2000USD以上を費やすつもりであり、ベトナムのZ世代も36%が1回の旅行で1000~2000USD(約14万7000~29万5000円)を支出すると回答した。
この金額は2023年の労働者の平均月給710万VNDのの3.5~7倍にもなるが、それでもAPAC地域の平均支出額を下回っている。中国の回答者の約4分の1は次の休暇に4000USD以上を費やすというから差は大きい。
また、APACのZ世代はSNSを参考に旅行を計画しており、ベトナムは1位となる69%で使用頻度が高い。使用されているベスト3はFacebook、TikTok、Instagramだ。
ベトナム人観光客を全体でみると、71%が「旅行体験」にお金を使い、そのうち「自然観光やアウトドア体験」が71%と最も人気で、「文化体験」が61%、「ウォーターアクティビティ」が53%だった。
また、全体で1ヶ月前に旅行を計画する人は31%、APAC地域への旅行が30%なのだが、ベトナム人は「遅い計画」と「近距離」の傾向が強くて46%と68%。国内旅行を選ぶ人も50%以上と多く、金銭的な理由が大きいかもしれない。
ただ、若者の60%は国内旅行よりも海外旅行を選択する傾向があり、人気の旅行先はシンガポール、日本、タイなど。Z世代にぜひ日本を楽しんでもらいたい。