許可なく酒類を販売し、客同士が近くに座るのを放置している飲食店が営業しており、多くの市民がワクチンを2回接種したから安全だとの思い込みから飲食店での5Kルールの実施を怠っている。
午後9時過ぎ、ビンタイン区からゴーバップ区まで続くファンバンドン通りの飲み屋ストリート沿いの多くの飲食店では、営業規定時間を過ぎているにもかかわらず多くの人で賑わっていた。ゴーバップ区第1街区のある飲食店では『酒類の提供は出来ません』との看板を設置しているが、店内では多くのイスとテーブルが並べられ、数十人の客が酒を飲んでおり、テーブルの下にはビールの缶が散乱していた。店の管理者は、飲み屋に来て食事だけして帰る客などいないとして、客へのビールの提供はやむを得ないと釈明した。
店内で友人とテーブルを囲んでいたファン・タイン・クアンさんは、これまで長い間家の中で過ごしてきたので、空気を変えるために店に来たと話す。「4ヶ月以上の社会隔離の間、ずっと家の中に閉じこもっていて息苦しかったので、今日は友達と食事に来ました。一緒に来たのは家族と友人だけで全員がワクチン接種を完了しているので特に心配はしていません。」とクアンさんは話し、飲食店で5Kルールを遵守するのは難しいと認めた。
第1街区人民委員会のグエン・ティ・キム・フン副主席は、この飲食店は、これまでに何度も行政から注意を受けており、ホーチミン市が飲食店の店内飲食再開を認めてから1週間の間に2度も感染防止対策違反で1500万VNDの罰金を受けていると話す。このエリアは、多くの小規模飲食店が感染防止対策ルールを守っている中で、一部の大型店がそれを無視して営業している。
「飲食店のオーナーは、家賃として毎月数億VND支払う必要があり、従業員も数か月に渡って仕事が無かったので、今はそれをカバーするために積極的に営業する必要があると釈明しています。」とフン副主席は話す。
1週間近く前にゴーバップ区の第1街区と第3街区がこのエリアを調査したところ、店内には客が密集しており、酒類が提供されていた。一部の飲食店スタッフは、調査チームを見て慌ててビールをソフトドリンクに替えた。調査チームでは、調査後に3件のレストランに対して感染防止対策の規定に違反したとして、行政処分を下した。
11月3日の夕方、ファンバンドン通りの飲み屋ストリートから10㎞程離れた1区ダカオ街区のホアンサ―通りでは多くの飲食店が収容人数の50%以上の客を受け入れ酒類を提供していた。多くの4人テーブルには6~7脚の椅子がおかれ、人々は密接して座り、マスクを外して会話していた。
地区のパトロール部隊が表れると一部の人は、急いでテーブルを離れ、ポケットからマスクを取り出して装着した。店主は、従業員に急いでテーブルの上のビール缶を片付け、客が持ち込んだものだと説明するよう指示した。従業員は、客の要望に応えるために持ち込みを認めざるを得ないと説明した。
当局の調査に対して多くの店主が21時までの閉店、医療申告、手洗い、COVID-19安全条件確保計画といったルールについて知らないと答えた、「ホーチミン市はワクチン接種が完了したので安心だと思ってました。お客さんが飲みたいと言えば従業員も断り切れませんよ。」とある飲食店の店主は話す。
上記の違反行為に対してダカオ街区人民委員会は、ホアンサ―通りにある2軒の飲食店オーナーに対して、営業活動を停止し、翌朝ダカオ街区に感染防止対策実施計画と関連書類を提出するように命じた。感染防止対策が守られている飲食店に対しても、感染防止対策を徹底し、客からの要求があっても絶対に酒類を提供しないようにとの指示が出された。
ダカオ街区人民員会のドー・フー・クーン主席は、感染防止対策規定に違反した飲食店に対しては、初回は調査結果報告書を作成し、違反行為について警告のみを行うが、再度違反した場合は罰則が適用されると説明した。
「ホーチミン市が規制を緩和してからダカオ街区は、違反行為に対して柔軟に対応してきました。初回の違反であれば警告を発し、定期的な検査対象に追加されるだけですが、2回目以降の違反には罰則が適用されます。」とクーン主席は話し、ダカオ街区ではパトロール部隊を2チーム編成して、毎日地域内の飲食店の感染防止対策が徹底されるように検査活動を実施していると付け加えた。
ダカオ街区の感染防止対策管理委員会は、ホーチミン市が10月1日から規制を緩和して以降、地域内の感染者数は徐々に増加していると指摘する。具体的には、10月1日から21日までの地域内の新規感染者数が46人だったのに対して、22日から11月2日まででは64人に増加している。
ホーチミン市は、感染防止対策のために飲食店の店内飲食サービスを停止させてから5ヶ月振りに10月28日から店内飲食サービスの再開を認めた。飲食店のオーナーは、COVID-19の感染防止対策基準をクリアし、21時までに閉店、収容人数を50%未満に制限、酒類を販売しない(結婚式場、ホテル内のレストラン、観光施設の食堂を除く)という条件付きで営業再開が認められている。現時点では、7区とトゥードゥック市の一部でのみ酒類の提供が試験的に認められている。
保健省の統計によれば、11月3日の時点でホーチミン市は累計43万4000人以上のCOVID-19感染者が確認されている。感染は徐々に制御されつつあるが、最近でもホーチミン市では一日あたり1000人近くの新規感染者が確認されている。現時点で、1万1000人以上が入院治療を受けており、250人以上が人工呼吸器を装着し、10人以上がECMOによる治療を受けている。
175軍事病院のCOVID-19治療センターのブー・ディン・アン副所長は、最近では多くの市民が自分勝手にルールを判断して外出し、マスクを着用したり距離を確保するという5Kルールを守ることなく多くの娯楽施設に密集していると指摘する。これが、ホーチミン市の感染者数が依然として高止まりしている原因となっているとみられている。
出典:04/11/2021 VNEXPRESS
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