感染抑制に向けた1か月計画の最初の15日が経過し、ホーチミン市はレッドゾーンとオレンジゾーンの検査を完了し、多くのF0が確認された。
ホーチミン市共産党委員会のグエン・バン・ネン事務局長は、8月16日に市内の各区と県の指導者を集めた今後1か月間の感染抑制目標達成に向けた5時間以上の会議において「既に2ヶ月が経過しており、COVID-19感染者ゼロの日を目指して、我々は全力で感染拡大防止対策に取り組む必要がある」と述べた。
ホーチミン市は、18時以降の外出禁止などを含めた社会隔離措置を講じてから40日が経過したにもかかわらず1日の新規感染者数が4000人程度で推移していることを受け、政府議決86号に基づき、30日間の感染抑制計画をスタートさせた。
ホーチミン市は、この30日計画を2段階に分けている。最初の段階は8月15日から31日までで、”死亡率の低下”、”F0の重症化を防止”、”グリーンゾーンの拡大”という3つの目標を実現させる。
死亡率の低下に関して、ホーチミン市は、軽症者の重症化を防ぐために医療従事者と軍関係者を更に動員してCOVID-19の治療にあたり、重症者数を減らすことで医療負担を軽減して死亡率を低下させるとしている。
ベトナム保健省が発表しているデータによると、ホーチミン市の第1段階における1日の平均死亡者数は267人で、それより以前の7月31日から8月15日までの平均死者数223人より増加している。
ホーチミン市保健局のグエン・フー・フン副局長は、ホーチミン市の1日あたりの死亡者数は250~300人の間を推移しており、明らかな減少傾向は認められないと分析している。
「死亡率を下げるためにどうすればいいかというのは、医療関係者が最も苦心している問題の一つです。デルタ株では、殆どの感染者が軽症か無症状ですが、10~15%の人は重症化し、一部の人は急激に重症化します。」とフン副局長は説明する。
ホーチミン市保健局は、COVID-19患者にとって最も重要な問題は酸素が足りているかどうかだという。そのため、ホーチミン市では移動式酸素ステーションを配備して、患者に酸素を届けている。
「3段階治療モデルのうち、死亡者数が最も多いのは、実は2段階目なのです。そこで医療関係者は、区や県に対して重症化の兆候がある患者を早急に発見して3段階目の治療へ速やかに移行させる様に要請しています。これが上手くいけば、死亡者数を減少させらるはずです」とフン副局長は話す。
ホーチミン市保健局のグエン・バン・ビン・チャウ副局長は、8月31日の午後に、現在病院で治療を受けている15万8265人の患者を母数にとればホーチミン市のCOVID-19による死亡率は5.8%にのぼると発言した。
自宅療養をしている感染者(F0)5万9000人を母数に加えれば、死亡率は4.2%となる。世界保健機関(WHO)によれば、感染状況にもよるが、COVID-19の死亡率は2.1~4.2%程度の範囲だとされている。
「ホーチミン市の死亡率は世界の統計数字の範囲内に収まってはいるが高い部類に入ります。」とチャウ副局長は述べ、ホーチミン市の死亡者と入院者数のピークは新規感染者数のピークから15日ほど遅れて出るとの見方を示した。そのため、ホーチミン市では死亡者数の減少傾向が表れるには、後1週間程度は必要だとみている。
2つ目の目標であるF0患者が治療を受けられずに重症化することを防ぐために、ホーチミン市では8月16日から治療モデルを5段階モデルから3段階モデルに変更した。
それによると、治療モデルの1段階目は、軽症または無症状の感染者が対象で自宅又は、区や県にある153ヶ所の隔離施設で治療を受ける。この段階では、ホーチミン市はF0の健康を確保するためのヘルスケアパッケージを展開している。
治療の第2段階では、74ヶ所の病院が基礎疾患の有無にかかわらず中等症から重症の患者の治療と救急症例の受診を担当している。治療の第3段階は救命医療を専門とし、熱帯病院、チョーライ病院、175軍事病院と5ヶ所の国立救命センターの合計8か所の病院が重症患者や危篤患者の治療にあたっている。
ホーチミン市は、その他に自宅隔離となっている5万9000人の患者の治療をサポートするために411台の移動式医療ステーションを配備している。この移動式医療ステーションには、ホーチミン市内の各地域の医療施設の出張所として十分な酸素と医療設備が整えられている。
これらの医療ステーションの任務は、自宅療養患者の健康状態を管理、観察、サポートし、患者の重症化の兆候を素早く検知して、すぐに治療レベルを引き上げて、死亡率を最小限に抑えることだ。
新規感染者数が日々増加したことで医療機関がひっ迫し、自宅療養が必要なF0が急増したため、ベトナム保健省傘下のHIV/AIDS予防管理局のグエン・ホアン・ロン局長が、この移動式医療ステーションのホーチミン市での展開を支援するために、保健省から派遣された。
移動式医療ステーション戦略は適切かつ効率的である。このシステムによって社会隔離期間中であっても医療サービスが提供できるようになり、市民には安心感が広がっている。
ホーチミン市は、さらに自宅療養中の感染者の治療をサポートするために、15万袋の医薬品を準備した。しかし、配布開始から10日経っても4万2000袋しか配布できていない。
上記の結果について国防省のボー・ミン・ルーン副大臣は、各移動式医療ステーションで医薬品が不足して患者に届けられなかったことで混乱が生じたと指摘した。
「この様な結果になり、準備した医薬品が十分だったとは言えません。」とルーン副大臣は、8月29日の午後にブー・ドゥック・ダム副首相とホーチミン市幹部を交えた会議で発言した。「今の状況を非常に心配しています。食事が1,2回足りなくても耐えられますが、薬が1時間不足すれば患者に深刻な影響を与えかねません。」
ブー・トゥック・ダム副首相は、ホーチミン市内の各区や県、移動式医療ステーションを数日かけて視察した後で、どこで聞いても自宅療養している感染者へ配布する医薬品が不足していると言われたと述べた。「商品や医薬品の最終目的地は、区や県などの行政機関ではなく、個々の市民の手に届かなければ意味がない。」とダム副首相は指摘した。
この状況を受けてホーチミン市人民委員会のファン・バン・マイ主席は、保健局に対して地域のF0の人数よりも多くの医薬品を配布するという原則に基づき、速やかに各地域に医薬品を配布するよう指示した。各地域の医療機関は医薬品の在庫を持っておき、新たなF0が確認されたらすぐに医薬品を届ける必要がある。
指示から2日後のホーチミン市保健局の報告によると、更に3万2000袋の医薬品が配布され、医療施設へ配布された医薬品の合計は7万4000袋となった。
グリーンゾーンを拡大するという3番目の目標について、ホーチミン市は、これまでのように週単位で経過を見るのではなく、1日単位、1時間単位で進捗状況を確認していくと決意を表明した。
この目標達成に向けてホーチミン市では、検査戦略に集中するとしている。これまでホーチミン市は、レッドゾーンとオレンジゾーンの全ての住民のPCR検査を実施し、感染リスク地域を再評価して、グリーンゾーンを拡大させるとしてきた。
しかし、チン首相からホーチミン市全域の迅速な検査を求める公電を受けた後、8月23日からホーチミン市は、レッドゾーンとオレンジゾーンの検査を簡易抗原検査に切り替え、3日間で検査を完了させた。
ホーチミン市がレッドゾーンとオレンジゾーンの住民170万人の検査を完了させるまでに7日間かかり、6万4300人近くの感染者が確認された。
検査の陽性率は4%弱でだった。この数字についてホーチミン市保健局ののグエン・フー・フン副局長は、ホーチミン市の市中感染は世界保健機構のガイドラインである5%よりも低く許容範囲に収まっていると述べた。
多くの専門家が、感染者がどこに潜んでいるかを見つけ出すために簡易抗原検査を迅速に展開する戦略は正しいものであると評価している。もし、これらの感染者を発見できていなければ、数日後には感染者数が数倍に膨れ上がる可能性もあるのだ。
「多くのF0が確認されたことは、地域社会からF0が隔離されたこと意味します。これは良い兆候で、医療機関が適切なソリューションを展開するために必要な正確な感染状況の把握に繋がります。」と感染症の専門家であるチューン・フー・カン博士は述べた。
グエン・バン・ネン事務局長が壮大なチャレンジと評価する30日間での感染抑制計画の半分が過ぎた。
9月1日からホーチミン市は感染抑制計画の第2段階に入る。ホーチミン市では、死亡者数と重症者数を20%減少させ、一日の入院患者数を退院患者数以下にし、1日の入院者数を2000人以下に抑え、18歳以上の市民の70%以上に1回目のワクチンを接種し、15%以上が2回目のワクチン接種を完了するという目標を掲げて、9月15日までに感染を抑制する計画だ。
出典:01/09/2021 – VN EXPRESS
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