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【経済】第3四半期はマイナス成長、ベトナム経済は復活できるか

(C)VNEXPRESS

2021年第3四半期の経済成長率がマイナス6.17%を記録したが、第4四半期の復活次第では、年間でプラス成長に転じる可能性も残されている。

ベトナム統計総局は、2000年から四半期ごとの経済成長率を発表しているが、それ以前は、年間または半年ごとの経済成長率のみ発表していた。2021年第3四半期のGDPはマイナス成長となったが、これは統計総局が四半期ごとの経済成長率を発表するようになってから初めてのことだ。マイナス6.17%という数字は、多くの研究機関が発表していた見通しよりも遙かに低い数字となった。

「2021年第3四半期のGDP成長率は9月上旬に我々が予測したよりも遙かに低い数字でした。これは、COVID-19の影響が思った以上に酷いもので、特に製造業と建設業、サービス業に深刻な打撃を与えたことを示しています。」と経済専門家のカン・バン・ルック博士は取材に対して答えた。

以前の予測では、ベトナム投資開発銀行(BIDV)のチーフエコノミストは、2021年第3四半期のGDP成長率について、サービス業が10%程度低下することで、全体が2%程度に低下すると予測していた。統計総局のデータでも、サービス業の成長率は9.28%低下しており、この予測とそれほど大きな違いはない。しかし、実際の成長率がBIDVの予測よりも大幅に低下している原因は、製造業と建設業についてプラス成長としていた予測がマイナス成長となったことによるものだ。この結果は、2021年第3四半期のベトナム経済にとって最大の問題となっている。

感染第4波がベトナム南東部の各省と市に与えた最も深刻な打撃は、製造業分野の成長イメージに強烈なダメージを与えたことだ。COVID-19の影響を受けたベトナム南部の19の省と市には、ホーチミン市やビンズン省など国内の重要生産拠点が含まれており、ベトナム全体のGDPの44%を占めている。

国民経済計算システム(SNA)研究所のレ・チュン・ヒウ所長は、ベトナム南東部19の省と市のうち、2021年第3四半期にプラス成長となったのはビンフック省のプラス1%のみで、残りの18の省と市は全てマイナス成長になったと指摘する。マイナス成長となった18の省と市のうち、12の省と市が10%以上のマイナス成長で、ホーチミン市にいたっては20%以上のマイナス成長となった。一方、北部で見ると、ハノイ市のみが唯一マイナス成長で後はプラス成長となっている。

経済への打撃は明らかだが、製造業の困難はこれらの数字だけにあらわされているわけではない。製造業には、破壊されたサプライチェーン、去っていった労働力などの問題があり、将来的な回復に向けた見通しは不安定なままだ。

COVID-19の感染拡大を抑えるために、各地方自治体は、製造業に対して『3つの現場対策』や『1ルート通勤』などの厳しい対策を要求し、更に物資の流通を厳しくチェックした。これらの方法は、感染拡大を抑制する効果はあったものの、製造業にはダメージを与えた。

ベトナムの97%以上は中小企業であり、充分なリソースを持っていない。最初の感染拡大時には、多くの企業が”冬眠”することを選んだ。2回目と3回目の感染拡大では、中小企業の抵抗力は極端に弱まっていった。そしてこれまでの3回の波を合わせたよりも大きな感染第4波によって多くの中小企業が自発的または強制的にマーケットから退場していった。

「サプライチェーンの破壊は、ただのリスクではなく実際に起こってしまいました。将来、感染の抑制に失敗したら、さらに酷い混乱が生じるでしょう。」と産業統計局のファン・ディン・トゥイ局長は話す。

経営状況を表す数字もこの分野の成長イメージに影を落とす。2021年の新規企業設立件数は、記録的な低下を見せた一方、マーケットから撤退する企業数は増加し続けている。2021年の頭から平均して毎月4社の企業が新規に設立され、3社の企業がマーケットから退場するという状況が続いている。

製造業の混乱は多くの問題を引き起こしており、その一つが回復に向けた段階での労働者不足問題だ。各企業が製造を停止し、多くの労働者が職を失った。職を失った労働者は、転職したり田舎に帰省したりした。そのため、これから生産活動が回復しようとしても、これらの企業には十分な労働者が残っていないのだ。

(C)VNEXPRESS

結果として製造業と建設業の分野は2021年第3四半期にマイナス5%以上の成長率を記録した。これは、これまでベトナムの経済成長をけん引していたこの分野が歴史上はじめて失速したことを意味する。

ベトナム経済で2番目に成長の原動力となっていたサービス業も同様に深刻な状況で、第3四半期の成長率はマイナス9%以上を記録した。9月の消費財とサービスの総小売売上高は、前年同期比で28.4%も減少しており、第3四半期で見ても28%以上減少している。

ドラゴンキャピタルは、もし感染第4波の発生以前を100%と仮定すると、感染発生から僅か3か月でサービス部門は50%も減少したと分析している。国内需要が減少し、消費に影響を与えたことで間接的に生産ラインの混乱をさらに悪化させることにもなった。

ベトナム経済にとって重要な2つの分野が大きな打撃を受けており、多くの代替となるべきファクターもまだ準備が整っていない。例えば公共投資も2021年1月からの9か月間で計画の50%にしか達していない。2021年の首相に承認された公共投資計画のうち、240兆VNDがまだ使用されていない。統計総局では、今年が残り3ヶ月しかないことを考えると、計画通りに予算を消化することは難しいとみている。

ただし、ベトナムの経済状況が全て暗いわけではない。ドラゴンキャピタルは、ベトナム経済にとって最も重要な要素の一つは、COVID-19の感染拡大による影響にもかかわらず、政府によってベトナムのマクロ経済が依然として安定的に維持されていることだと指摘する。

「経済成長は重要ですが、実はマクロ経済の安定性の方がはるかに重要です。もしマクロ経済が安定していなければ、様々な投資プロジェクトが悲惨な結末を迎えるでしょう。」とドラゴンキャピタルの投資戦略計画室のレ・アイン・トゥアン室長は指摘する。

この観点から考えるとベトナムの重要な経済指標は、COVID-19の影響がありながらも良好なレベルに保たれていると言える。

まず、インフレ率について、サプライチェーンが破壊され、原油価格が高騰しているにもかかわらず、前年同期比のCPI上昇率は1.82%に留まっている。これは2016年以来最も低い数字で、コア・インフレ率は1%未満に収まっている。

マクロ経済の立場から見ると、FDIの流入も重要な指標の一つになる。最近、FDI企業がベトナムを離れると言ったニュースが市場をにぎわせているが、データで見る限り外国からの投資は安定したレベルで推移を続けている。ベトナムは依然として、周辺地域の中で最もFDIを誘致できている国の一つである。2021年9月までのFDIも直近3ヶ月では減少したものの、例年並みの数字に戻りつつある。

為替レートについても、COVID-19の影響により輸出が減少し、輸入が増加したため貿易収支は赤字となっている。しかし、ベトナムの外貨準備高が高いため、VNDは安定しておりUSDに対して高くなってさえいる。

感染拡大以前と比較した場合のもう一つの明るい点は、感染終息後の回復可能性が非常に高いことだ。一時的に経済が落ち込んでも、『ゼロコロナ』から『ウイズコロナ』へ方針転換したことで今後の経済回復の可能性が高まっている。

「感染第4波の影響によって、製造業とサービス業は、感染拡大前に比べて大幅な落ち込みを見せました。しかし、感染対策の戦略変更により経済回復のスピードは上がるでしょう。」とドラゴンキャピタルのトゥアン室長は話す。

データ分析チームの試算によると、製造業は感染第4波の前から30%、サービス業は50%程度落ち込んだとみられている。この数字は、2020年の最初の感染拡大時と比べると何倍も大きな落ち込みである。しかし、この2つの分野は、感染対策の戦略変更とワクチン接種の加速によって、最初の感染拡大時よりも速いスピードで回復するとみられている。製造業については、2022年の第1四半期には第4波の前の状態を超えるとみられており、サービス業についても2022年の第1四半期の終わりか第2四半期の初めごろには元に戻るとみられている。

経済の専門家であるカン・バン・ルック博士も同様の意見で、感染対策モデルを実際の状況に応じて柔軟に変更することが、年末に向けた経済回復にとって重要なポイントになると指摘する。

「経済成長を伴った新しい状況での感染拡大を防ぎながら経済を成長させ、社会保障を充実させるという目標は、私達が感染防止対策と戦略をより適切なものに調整できれば達成可能だと思います。特に製造業、建設業、サービス業は長期にわたって抑制されてきたために潜在的な回復可能性は非常に強いと考えられます。」とルック博士は話す。

統計総局の試算によれば、もしベトナム経済が第4四半期に第1四半期よりは高くいが第2四半期よりは低い5.3%の成長を達成できれば、2021年の年間成長率は2.5%に達する。
「私達は、この成長シナリオが達成可能であると信じています。」とレ・チュン・ヒウ氏は述べている。よりポジティブな意見としては、もし第4四半期の経済成長率が7.1%になれば、2021年の経済成長率は3%に達し、昨年の経済成長率を上回る可能性がある。これは可能性としては残されるものの、統計総局は非常に厳しいとの見方を示している。

出典:30/09/2021 VNEXPRESS
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