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ベトナム法律事情Vol.30
ハンドキャリーに要注意?
ベトナムの通関事情

―― そろそろ日本に一時帰国したいです。日本から持ってきて常備しているものもそろそろ尽きそうで…。

鷹野 日本製品はこちらでも結構手に入るようになってきましたけど、どうしても欲しいものもありますよね。

―― 私の気に入っているシャンプーは日本でしか手に入らなくて…。もし一時帰国できたら、手荷物の追加料金覚悟で5年分くらい持ってこようかな。

鷹野 気持ちは分かります! でも、そんなにたくさんの品をハンドキャリーで持ってくるとなると、少し注意が必要かもしれません。

―― え、そうなんですか?

鷹野 密輸品や模倣品などを販売した場合の罰則を強化する政令が、2020年10月15日に施行されました。この政令によると、通関手続きを適法に実施していない商品やインボイス等法令上必要な書類を備えていない商品を販売する行為は違法であることが明言され、50万~5000万VNDの罰金が科されることになりました。

 これによりハンドキャリーで持ってきた商品を販売する行為も、取り締まりの対象になる可能性が高いです。

―― でも、私は自分で使うだけですよ?

鷹野 個人使用は対象外なんですが、例えば大量のシャンプーが入っている段ボールを手荷物として通関させようとすると、個人使用と主張しても、税関が納得しない可能性がありますね。この政令を踏まえて、税関のハンドキャリーに対する取り締まりが強化されるのではないかと心配しています。

―― 確かに、空港の通関で全部没収されてしまったら悲惨すぎますね…。気をつけます!

鷹野 亨 Toru Takano
長島・大野・常松法律事務所ホーチミン・オフィス弁護士。2012年日本国弁護士登録以降、経済産業省での2年半の勤務を経て、現在は主としてベトナムへの進出及び現地企業への法務アドバイスを行う。