TalentnetとMercerの調査によると、相場よりも高い賃金を得ている労働者の80%が自分の賃金を一般的な水準以下だと考えていることが分かった。
この調査は、TalentnetとMercerの2社の人材企業が600社の企業と48万3000人の労働者を対象に実施したものだ。この調査によると、殆どのベトナム人労働者が給与基準の透明化が重要だと考えている一方で、自分の給与基準について理解していないことが明らかになった。
相場の水準を上回る賃金を受け取っている労働者の20%のみが自分の給与を正しく認識しており、それ以外の労働者は自分の給与が水準以下だと考えている。
また、市場相場と同等の給与を得ている労働者の64%が自分の給与額が相場よりも低いと考えており、より収入の高い仕事を探す傾向にある。一方で相場と同等の給与を得ている労働者の約6%が自分の給与が相場よりも高いと考えていることも分かった。
「従業員が給与に対する正しい認識を持つことが会社への忠誠心に影響してくる。そのため、企業の人事部は給与制度の透明性と効率性を向上させるために給与評価がどのように行われているかを社員に伝えるという重要な役割を担っている。」とTalentnetとMercerのレポートは結論付けている。
また、このレポートでは、来年ベトナムの外資系企業と国内企業が従業員の賃金を7.1%引き上げると予測している。賃金上昇率が最も高いのは、ハイテク産業、保険、医薬品・医療設備の3分野だ。これは、コロナ後に企業と市民の関心が健康とテクノロジーの開発に集まっていることを反映している。一方で、石油業界の賃金上昇率は最も低い3.6%となっており、次いで製造業、小売業が続いている。
現在、ベトナム企業の平均給与額は、外資系企業と比べて31%低くなっているが、年間の総収入で比較した場合は、この差は22%まで減少する。これは、ベトナム企業が基本給よりも業績ボーナスや売上ボーナスを重視していることが理由に挙げられる。
不動産業界は、給与相場の最も高い業界だ。不動産業界は、その特殊な業界事情からベトナムで唯一ベトナム企業の給与が外資系企業の給与相場を上回っている業界でもある。
一方で銀行、消費者金融、投資ファンド、証券などの金融業界は最も賞与が高い業界となっている。逆に小売業、再生可能エネルギー、物流業は、賞与が最も低い業界とされている。
収入は重要な要素だが、労働者にとって最も重要なのは安定した仕事に就くことだ。
2022年上半期のベトナム企業の離職率は12%となり、外資系企業の8%を上回った。この割合をTalentnetとMercerは、かなり高いと評価している。しかし、ロックダウンが緩和されて以降、多くの企業が従業員の追加募集を計画しているというプラスの兆候も見られている。今回の調査に参加した600社のうち僅か2%の企業のみが今後人員削減を検討していると回答している。
石油・天然ガス、再生可能エネルギー、化学製品の業界は、安定した仕事と専門的な資格が必要なために平均より高い賃金が得られ、離職率は非常に低くなっている。
今回の調査結果によると女性の労働者は、事務所の立地条件や健康面を重視する傾向にある一方で、男性の労働者は、専門能力を高めることができ、昇進の可能性がある競争的な給与条件の企業を希望する傾向がみられた。年代別で見るとY世代(1981年~1996年生まれ)は、昇進の可能性があり、楽しい雰囲気の職場環境を優先し、X世代(1965年~1980年生まれ)は、フレキシブルな労働時間、休暇、福利厚生を重視している。
出典:11/10/2022 VNEXPRESS
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