先週末にインドが小麦の輸出禁止を表明したことを受け、世界の小麦価格が高騰した。
インドが小麦の輸出禁止を決めた後、世界的に小麦の供給がひっ迫する中、5月16日(月)に小麦価格が大幅に上昇し、食糧価格上昇圧力が増加した。シカゴの先物市場では1ブッシェル(約35.2リットル)あたりの小麦価格が5.9%値上がりして12.47USDとなった。これは、過去2か月間で最も高い価格だ。
ウクライナ危機による供給の混乱によって、小麦価格は年初からこれまでに60%以上値上がりしている。ロシアとウクライナは、これまで世界の小麦輸出量の1/3を占めていた。オーストラリアのウエストパック銀行のグローバルマーケット戦略部門のロバート・レニー主任は、インドの小麦輸出禁止が『世界的な食糧危機の引き金』になる可能性があると述べた。
インドの輸出禁止措置は、アメリカの農務省が2022年から2023年にかけての世界の小麦生産量が減少するという予測を発表した数日後に発表された。国連世界食糧計画(WFP)は、今月になってウクライナでの戦争によって世界のサプライチェーンは予期せぬ衝撃を受け、食料安全保障上の重大なリスクがもたらされたと発表している。
ロバート・レニー主任は、インドの輸出禁止措置によってアフリカや中東の途上国に重大な影響を与える可能性があると指摘する。
EU貿易局のバルディス・ドンブロフスキー局長は、ウクライナ危機とインドの最近の動きによって、ヨーロッパ諸国が食料供給不足の問題についてアメリカと協力して対応することを決めたと述べた。同氏によると、以前の例えばインドネシアによるパームオイル輸出禁止措置なども事態を悪化させている。
アメリカとEUは、5月16日にフランスで貿易技術評議会(TTC)を開催して議論をおこなった。TTCは、トランプ大統領時代の貿易関税問題での意見の不一致などを解決するため2021年に再編成された枠組みだ。
しかし、現在のTTCの役割は、半導体不足などの当初意図していた争点を超えて、地政学的な問題の解決に焦点が移っている。EU競争法局のマルグレーテ・ベスタガー局長は、TTCがロシアへの制裁について協議することになるとは思ってもみなかったと話す。「2,4,6年前とは全てが変わっています」とベスタガー局長は述べた。
インドは、世界で2番目の小麦生産大国だ。インドでは、世界的な小麦価格が年初から40%上昇したことを受けて、小麦の全面輸出禁止を決めた。
ウクライナ危機の前、世界の小麦と大麦の輸出量の1/3をロシアとウクライナが占めていた。2月24日の紛争発生以降、ウクライナの各港は閉鎖され、穀物貯蔵用サイロなど様々な民間施設が破壊された。その一方で、インドでは記録的な熱波の影響で小麦の生産量が減少していた。
インドは世界第2位の小麦生産国であるが、その殆どを自国で消費している。インドは2022年から2023年にかけて1000万トンの穀物を輸出するという目標を立てており、ヨーロッパ、アフリカ、アジアでの新たな市場開拓に、小麦の供給混乱を利用しようとしている。
出典:17/05/2022 VNEXPRESS
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