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リーダーたちの構想第55回
AEON VIETNAM

2014年の初出店以降、大型ショッピングセンターや中規模スーパーなどを続々と出店してきたイオンベトナム。2024年には中部フエに出店を計画し、今後は物流センターも拡充する。古澤社長が現在から今後の展開を語る。

2024年に中部初のフエ店

―― 現在、ベトナムには何店舗出店していますか?

古澤 これまでマレーシア、香港、タイ、中国などに出店し、2014年にはベトナムとカンボジア、2015年にはインドネシアにイオンモールを出店しました。我々は「アジアシフト」と呼んでおり、成長が著しいアジア諸国に今後も出店していく計画です。

 中でもベトナムは人口が多く、中間層が育ち、経済が好調で、かつ親日的とマーケットの有望性が顕著であり、2014年1月に1号店であるタンフーセラドン店をホーチミン市にオープンしました。

 現在、南部はホーチミン市に2店舗、ビンズン省に1店舗、北部ではハノイに2店舗、ハイフォンに1店舗の6店舗を展開しています。こうした郊外の大型ショッピングセンター以外にも、大型アパートメントの1フロアにテナントとして入るケースもあります。

 中規模スーパーマーケットの出店も進めており、ハノイではグループ企業のマックスバリュが15店舗、南部では提携しているAeon Citimartが15店舗あります。

 イオンモール内の出店が多い、専門店も広げています。自転車のAEON Bicycle Shopが8店舗、化粧品のGlam Beautiqueが8店舗、ペットショップのAeon Petemoが2店舗などです。

イオンモールの様子

―― 出店の場所などはどのように決めるのでしょうか?

古澤 市場可能性やエリア戦略など様々な要素があります。ベトナムの政府や自治体にご推薦いただく場合もあり、近年では大手デベロッパーからの提案も増えています。

 私は以前に中国に赴任しており、当時も中国の政府や自治体と出店について折衝していました。中国は指導や管理といった面が強かったと思いますが、ベトナムは友好的でこちらの声もよく聞いてくれて、とても助かっています。

 ただ、大型店ですと計画から開業まで4~5年と足が長いので、市場の成長を考えると待っていられません。チャンスがあれば小さな店舗でも出していきたく、先のような出店を進めたわけです。

 店舗や出店を支えるのが物流センターです。現在は北部と南部に1ヶ所ずつありますが、2024年に中部第1号店としてフエでの開業を計画しており、そこでの物流が課題なのです。

 ベトナムの国土は南北に長いので、中部を含めた全国の物流をいかに最適化するか。フエだけではもったいないのでほかの都市、例えばダナンも候補ですし、中部に大小の店舗を作っていく考えです。

 もちろん北部も南部も同様で、ハノイとホーチミン市の周辺省への展開を考えています。その方が物流効率が上がりますし、一つの地域に集中的に出店するドミナント戦略にもなります。

再スタートで出店ラッシュへ

―― シーズンによって売行きは変わりますか?

古澤 夏休みやブラックフライデーなどに多少売上は上がりますが、実は1年を通してさほどの差はありません。しかし、テトだけは別です。特にテト前の1週間ほどが1年で最大の商戦であり、売上は物凄く上がるのです。

 中でも売れ筋となるのが菓子や食品、お酒などを詰め合わせたギフトセットです。日本のお中元やお歳暮と同じ感覚なのでしょう、大切な贈り物ですからお客様の目も肥えています。ですから、お馴染みの店で買うことが多いのです。

 イオンベトナム全体でもそうですが、テト時期の売上も年々上昇しており、店選びの信頼感が高まっていると実感しています。ギフトセットの中身を決めるのにスタッフは一生懸命ですし、生活用品を詰めたブランド福袋なども作りました。最も売れる価格帯は50万~100万VND前後ですね。

 昨年のテトは新型コロナが明ける時期だったので不安でしたが、想像以上にご購入いただけました。ロックダウンなどで長い間人との交流がなかったため、贈り物を届けるニーズが高まったのだと思います。お陰様で2022年は過去最高の売上で、今年のテト時期も計画以上に売れそうです。

―― 顧客の変化は感じていますか?

古澤 ベトナムは変化のスピードが極めて速く、新型コロナが大きく影響しました。約2年間行動を抑制されたことで、人々の習慣が変わったのでしょう。

 以前は欲しい物を欲しい時に買っていたのが、買いだめするようになりました。これは新型コロナが落ち着いた現在でも同様で、レジ通過人数や来店人数が減っている一方で売上は増えています。1回の購入量や購入額が多くなっているのです。

マックスバリュ

 お客様の趣味趣向の広がりも変化と言えます。そのため、昨年11月から専門性を強調した売場作りを始めました。寝具や生活用品のプライベートブランドを作ったり、キッチンや子育て等の用途を限定した売場など、テーマ性を高めた売場です。楽しさをアピールしたいと思っていまして、今後も強化していく予定です。

 新型コロナ禍から現在も伸び続けているのがオンライン販売とキャッシュレスです。必要に迫られて使ってみると便利だとわかり、そのまま続けているのだと思います。

―― 今年は日越外交関係樹立50周年です。

古澤 イオンはベトナム各地に桜の木などの植樹活動を続けています。このような社会貢献活動をさらに進めたいですし、日本でのチアーズクラブをベトナムにも作りたいです。これは店舗近隣の子どもたちを集めて、環境に関する体験や学習をする取組みです。

 私はホーチミン日本商工会議所(JCCH)で、日越外交関係樹立50周年特別委員会の委員長を務めています。こちらではイベント、認定事業、参画方法などの情報発信を強化しています。

 今年が50周年とまだ知らない人もいますし、50周年事業というと堅苦しいイメージを持つ人もいます。最近は少しずつ伝わっているようですが、誰もが参加できる様々な活動が始まることを周知させたいですね。

―― 今後の計画を教えてください。

古澤 新型コロナで特に大型店の出店が止まり、2024年のイオンモール・フエ店からが再スタートです。2030年までに30店舗が目標で、出店ラッシュが起こります。中規模スーパーや専門店も出店しますが、大型店が主軸となります。

 イオンベトナム全体で約4000人の社員がいます。イオンは元々人材教育に力を入れており、研修には資格や職位との連動、実務能力の向上、特別なスキルの向上などのほか、他国のメンバーと参加するASEAN全域でのマネジメント研修もあります。こうした社員たちと共に進めていきます。

 イオングループの中でベトナムへの期待値は高く、海外展開の中で最重要拠点と言えます。私たちの規模はまださほど大きくありませんが、マレーシアで30年を掛けたことを10年で成し遂げるくらいのスピードが必要です。経営スピードをますます加速させます。

AEON VIETNAM
古澤康之 Yasuyuki Furusawa
大学卒業後にジャスコ(当時)に入社。販売、人事部、戦略部を経て2011年に戦略部部長。2015年に中国・北京イオンの社長、2018年に帰任してグループ企業まいばすけっとの社長を歴任。2021年4月より現職。