最近になって、新型コロナウイルスの新規感染者数が4倍近くに増加し、入院を必要とする重症患者も増加していることを受けて保健省は、各地方自治体に対して、感染レベルを評価し、対策シナリオを準備するよう求めた。
4月12日に保健省は、国内の新型コロナ感染状況が4月に入ってから増加傾向にあるとの速報を出した。具体的には、4月5日から11日までの7日の国内の新規感染者数が639人（1日平均約90人）となり、前の週から3.8倍となった。このうち50歳以上の感染者数が193人と全体の30.2%を占めている。
重症患者数も増加傾向にあり、毎日平均1~2人が重症化して入院している。その一方で、ワクチン接種率については、目標に達していない地域もある。
ベトナムの保健省は、世界的に見て新型コロナによる入院患者数、重症者数、死者数は昨年から大幅に減少していると評価している。ただし、基礎疾患のある人や免疫力が低下している人、妊婦など重症化や死亡リスクの高いグループは依然として存在しており、優先的に保護する必要がある。
また、ベトナム国内では手足口病、デング熱、インフルエンザなどの感染症が増加しており、感染症の流行が重なることで医療ひっ迫が起きる可能性が懸念されている。
そのため、保健省は、各自治体に対して状況を注意深く監視し、地域内の感染レベルを評価し、感染拡大時の対応シナリオを準備するよう求めている。国境ゲート、病院、コミュニティの監視を強化し、新たな変異株を含めた新規感染者数の早期発見に努め、感染爆発を防がなければならない。医療機関は、特に感染リスクの高いグループに属する患者の受け入れ、診察、治療体制を確保し、重症化しやすい人へのワクチン接種を促進しなければならない。
医療施設、公共交通機関、大勢の人が集まる場所やイベント会場ではマスクの着用と消毒が推奨される。
ベトナム公衆衛生緊急対応センターの上級顧問であるチャン・ダック・フー氏は、感染者数の増加は、ワクチン接種または、感染によって獲得した免疫が低下していることが原因である可能性があると指摘している。また、季節的な要因でウイルスが活性化し、マスクを着用していない人が増えたことで感染が広がり易くなっている可能性がある。
「ウイルスは消滅しておらず、静かに地域社会に広がっています」とフー氏は話し、実際の感染者数は保健省の発表している数字よりも多い可能性があると付け加えた。その理由として、多くの人は症状があっても新型コロナのテストを受けていなかったり、簡易検査で陽性を確認しても黙って自宅療養している可能性が高いことをあげた。
現在、世界保健機関（WHO）は、依然として新型コロナを公衆衛生上の緊急事態と評価しており、新たな変異株の出現を注意深く監視し続けている。
出典：13/04/2022 VNEXPRESS
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