2025年1月からの5カ月間で、ベトナムにおける外国直接投資(FDI)が大幅に増加し、登録投資額・実行額ともに過去5年間で最高水準を記録した。
記録的な成長を示す外国直接投資(FDI)
過去5年で最高額を記録
ベトナム財務省統計総局の発表によれば、2025年1月から5月までのFDI登録総額は183.9億USDに達し、前年同期比で51.2%増加した。このうち、既存プロジェクトへの追加投資は、85.2億USDと前年の3.4倍にも増加し、同期比では過去5年で最高額となった。
FDIの実行額も前年同期比で7.9%増の89億米USD以上となり、同期比では過去5年で最高額となっており、ベトナム市場に対する外国投資家の信頼の高さがうかがえる。さらに、外国企業による出資・株式取得の形態も活発で、総額は前年同期比82.9%増の28.6億USDだった。
シンガポールが最大の投資国に
投資国別では、シンガポールが登録額21.2億USDで全体の30.2%を占め、最大の投資国となった。次いで中国本土が18.1億USD(25.8%)、日本が7.5億USD
(10.7%)、香港が6.1億USD(8.7%)と続いた。
外国投資誘致成功の要因と政策効果
ベトナムは1億人の人口を抱え、若くて安価な労働力、安定した政策と地政学的環境を備えた魅力的な市場として評価されている。政府は「効率的な行政組織」「法制度改革」に取り組むべく、政治局の「第66号決議」などを通じて投資環境の改善を進めている。
あわせて、科学技術分野の発展を目指す「第57号決議」や民間企業育成を目的とする「第68号決議」なども導入され、長期的な投資の安心感を後押ししている。
代表的な大型投資案件
3月には、台湾のLite-On Technologyがクアンニン省で電子部品生産工場(総額6.9億USD)を着工した。11月に第1期の稼働が予定されており、年間1億2,400万個の製品製造を見込む。
また、5月下旬にはフンイエン省でトランプ・インターナショナル・フンイエン社による都市・観光・ゴルフ複合施設が着工。総投資額は約15億米ドルに上る。
サムスンディスプレイ・ベトナムはバクニン省での液晶パネル工場の増資として約18億米ドルを追加登録した。スイスのネスレ社もドンナイ省の工場の拡張のために1兆9000億VNDを増資し、同社のベトナムにおける累計投資額は20兆2000億VND(約9億400万USD)に達した。
またガムダランド・ベトナム(マレーシア)はハノイ市のイエンソー公園プロジェクトにおいて、11億2,000万USDの増資手続きを行った。
海外からのハイテク産業への注目
ハイテク分野でも新規投資が活発だ。バクニン省ではビクトリー・ジャイアント・テクノロジー・ベトナム社とグリーン・プレシジョン・マニュファクチャリング・ベトナム社の2つの工場が着工し、投資総額は6.4億USDを超えている。前者は高精度PCBや人工知能向け回路の製造、後者は精密構造部品の生産を手がける。
投資家の信頼高まるベトナム市場
外国企業協会のグエン・マイ会長は、政府の迅速な制度改革とFDI促進政策が投資家に安心感を与えていると分析する。以前は複雑だった工業団地への投資も、現在は登録のみで進められるようになり、行政手続きの簡素化が評価されているという。
ベトナムは政治・経済の安定性や低インフレ率を背景に、世界的な投資先としての地位を確立しており、2025年1〜5月の経済成長率は7%超と高水準を維持している。
持続可能な外国直接投資(FDI)流入を目指して
ハノイ国家大学のグエン・クオック・ベト教授は、「FDIの質の向上」がベトナムの次の課題だと語る。ベトナムでは、特に半導体や先端技術など、より高い付加価値を持つプロジェクトの誘致が進んでいるとし、政策の一貫性が今後の鍵になると指摘する。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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