年間売上5600億VND、依然として「定学納税」のまま
ベトナム財務省が公表した新しい税務管理法の草案によれば、2024年末時点で全国に存在する個人・家族経営者の数は約360万世帯。そのうち、安定して営業を続ける事業主は220万世帯あり、その59%にあたる130万世帯が年間1億VND(約60万円)を超える収入で課税対象となっている。
注目すべきは、2024年に年商300億VND(約1.7億円)以上を記録した世帯が860世帯も存在するという点である。そのうち739世帯が売上を申告しており、121世帯は未申告ながらも「定額納税方式」で納税していた。
その中でも5つの事業者は、年間売上2,000億ドン(約11億円)超を記録しており、業種は水産物、食品、医薬品、教育、農産物の販売と多岐にわたる。今回公表された情報で、最も売上高が大きかったのは、ハティン省の税務署が管轄する鮮魚小売事業者で、年間売上は約5600億VND(約31億円)だった。
税の申告方法に差 税率0.5%で納税額は約28億VND
これらの事業者の多くは現在も法人格を持たず、0.5%の個人所得税だけを支払っている。年間売上が5600億VNDなら28億VNDだ。これらの業者は水産物など、付加価値税の対象外商品を扱うため、仕入れに対する請求書も存在せず、納税額は売上に対するわずかな割合にとどまっている。
他方で、すでに年間売上が申告納税方式基準(農林水産業、工業、建設業で30億VND以上、商業・サービス業で100億VND以上)を超えるにもかかわらず、依然として「定額納税」を選んでいる世帯が653世帯確認されており、制度の見直しが急務とされる。
「法人化で持続的成長を」 専門家が制度改革を提言
税理士のチャン・スア氏は、「これら売上の大きな個人事業では、従業員を多数雇いながらも労働契約を結ばず、社会保険未加入のケースも多数存在します。こういった事業者は監査の対象になりにくいため、あえて法人化を避ける傾向にあるのです」と指摘している。
一方、ホーチミン市経済大学のボー・スアン・ビン教授は、「今後は電子レジなどの導入により実収入の把握が容易になる」と述べた上で、2026年から定額税制の廃止が予定されていることにより、透明性が向上するとの見通しを示した。
政府は現在、小規模企業への税制優遇措置を進めており、法人化すれば所得税3年免除や、税率15~17%の優遇制度を受けられる。土地や資金調達面でも支援が得られ、長期的にはブランド構築や輸出の道も開けるとして、企業化の促進が期待されている。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
ベトナム進出支援LAI VIEN
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