【社会】個人画像流出とディープフェイク被害

個人画像流出がもたらす新たなリスク

個人の写真や映像が盗まれ、闇市場で売買される被害が後を絶たない。さらに近年では、こうした画像を悪用し、ディープフェイク技術で顔を合成した不適切な映像を作成し、被害者を脅迫する手口が深刻化している。

闇市場の映像はどこから来るのか

数か月にわたり通信アプリ上の複数のチャットグループを調査したところ、個人が自ら撮影した映像や、盗撮映像、さらには家庭用防犯カメラなどから不正に取得された映像が日常的に売買されている実態が確認された。
提供者側は、高額で映像を買い集めていると強調し、比較的少額の会費で閲覧できることを売り文句にしていた。

家庭用防犯カメラが狙われる実態

ホーチミン市で防犯カメラを扱う業者によると、公共施設への盗撮カメラ設置だけでなく、家庭用防犯カメラへの不正侵入による映像窃取も多発しているという。
設置後に初期パスワードを変更しない利用者も多く、こうした油断が被害を招いている。

セキュリティ対策の甘さを専門家が警告

専門家は、防犯カメラの制御を担うソフトウェアが更新されていない場合、既知の脆弱性を突かれる危険があると指摘する。
メーカーが提供する最新の更新プログラムを適用しない限り、不正アクセスを完全に防ぐことは難しいという。

流出映像を使った脅迫被害の拡大

盗まれた映像は、単なる売買にとどまらず、被害者本人を特定した上で脅迫に使われるケースも確認されている。
当局が摘発した事件では、闇市場で集めた映像や個人情報を基に、本人へ直接連絡し金銭を要求する手口が明らかになった。

ディープフェイクと画像加工アプリの落とし穴

詐欺対策プロジェクトは、顔写真を使って別人になりきれる画像加工アプリや映像生成サービスに警鐘を鳴らす。
本人が提供した高精細な顔写真が、第三者に保存・転売され、偽の不適切画像や映像の作成に使われる危険があるという。

専門家が指摘する最悪のシナリオ

専門家は、ディープフェイクによるなりすましが、金銭詐取や名誉毀損にとどまらず、家族や知人への詐欺、さらには金融機関の生体認証を突破するリスクにまで及ぶ可能性を指摘している。

被害を防ぐためにできること

専門家は、不明確な出所の画像加工アプリに顔写真を提供しないこと、個人写真の公開範囲を限定することを強く勧めている。
また、脅迫を受けた場合は、要求に応じず証拠を保存し、速やかに警察へ相談することが重要だとしている。