ベトナム国内に2030年までに32空港、2050年には34空港へ
ベトナムの空港網が、かつてない規模で拡張局面を迎えている。
政府が更新した全国空港システム整備計画によれば、2030年までの空港数は従来の30空港から32空港へ拡大される。内訳は国際空港15か所、国内空港17か所である。
さらに2050年までには、全国34空港体制を構築する方針が示された。
建設省は、2030年までに全国人口の95%以上が「100km圏内で航空サービスにアクセス可能」となることを目標に掲げている。
ザービン国際空港など新規計画が相次ぐ
今回の計画で特に注目されているのが、北部バクニン省の「ザービン国際空港」である。
当初は軍・公安専用空港として構想されていたが、現在は軍民両用の国際空港(4E規模)へ格上げされた。
同空港は、
- 国防・安全保障
- 北部工業地帯物流強化
- ノイバイ国際空港の負担軽減
などを担う戦略拠点と位置付けられている。
また、
- ビエンホア空港(ドンナイ省)
- タインソン空港(カインホア省)
の軍民共用化も計画に盛り込まれた。
このほか、
- クアンチ省
- サパ
- ファンティエット
- ライチャウ
- トーチュー島(キエンザン省)
などの新規空港計画も進んでいる。
2050年までには、
- カオバン空港
- 首都圏第2空港
も追加される見通しである。
一方で地方空港の赤字は深刻
しかし、新空港計画が増えるたびに浮上するのが、
「本当に採算は取れるのか」
という問題である。
代表例として挙げられるのが、メコンデルタ地域のカントー国際空港だ。
同空港は数兆VND規模の投資を受け、「メコンデルタの玄関口」として期待された。
しかし現在も利用者数は低迷しており、年間処理能力300万人に対し、実際の利用者数は約110万人にとどまっている。
特に国際線ターミナルは稼働率が低く、国際線定期便がほとんど存在しない状況が続いている。
カントー市人民委員会トップも、「国際空港なのに年間を通じて国際線がない」と苦言を呈している。
21空港中11空港が赤字
空港運営会社であるベトナム空港公社(ACV)の2025年財務報告によれば、全国21の民間空港のうち、11空港が赤字状態にある。
特に、
- ディエンビエン
- カマウ
- ラックザー
などの地方空港は利用者数不足に苦しんでいる。
また、
- タインホア省トースアン空港
- ゲアン省ビン空港
- クアンビン省ドンホイ空港
なども季節変動の影響を受けやすく、安定収益を確保できていない。
一方で黒字を支えているのは、
- タンソンニャット国際空港
- ノイバイ国際空港
- ダナン国際空港
- カムラン国際空港
など主要国際空港である。
「空港単体」で見るべきではない
航空専門家ルオン・ホアイ・ナム氏は、「空港の損益だけで評価すべきではない」
と指摘する。特に民間企業が投資する場合、空港単体ではなく、
- 観光開発
- ホテル
- リゾート
- 不動産
- 商業施設
などを含めた地域経済全体で採算を判断するケースが多いという。
つまり、「空港自体は赤字でも、周辺開発で利益を出せれば成立する」という考え方である。
「空港が多すぎる」とは限らない
また、空港同士の距離が近いこと自体も問題ではないと専門家は指摘する。
例として、サンフランシスコ国際空港とオークランド国際空港が約17kmしか離れていないことや、関西国際空港と神戸空港も近距離でも共存している点を紹介している。
重要なのは距離ではなく、
- 地域の魅力
- 観光需要
- 経済圏
- 投資主体
- 空港の役割分担
だとしている。
「空港エコシステム」構築が鍵
専門家らは今後、
- ハブ空港
- 地方観光空港
- 物流空港
- 防災・医療対応空港
など、役割を分けた「空港ネットワーク」の構築が必要だと提言している。
また、空港単体ではなく、
- 観光
- 物流
- 都市開発
- 不動産
- 商業
を一体化した「空港エコシステム」形成こそが、今後の成否を左右すると分析している。専門家は、「空港を建設してから利用客を探すのではなく、需要と地域戦略をセットで考えるべきだ」と強調している。



















