ベトナムのハノイ市が、35歳になるまでに2人の子どもを出産した女性に対し、400万VND(約2万2,000円)を支給する制度を検討している。少子化が進むなか、一定の出生数を維持する「人口置換水準」の確保を目的としたものである。
ハノイ市人民委員会が作成している人口・発展政策に関する決議案に盛り込まれており、2027年1月1日からの施行を予定している。
2人出産で400万VNDを支援
草案では、女性が出産した場合、1回につき200万VNDを支給する案が示されている。少数民族の女性も対象となる。
さらに、35歳になる前に2人の子どもを出産した女性には、1回の出産につき400万VNDを支給する。
複数の支援対象に該当する場合でも、重複して受給することはできず、最も高い支援額のみが適用される。
単純に出産そのものを支援するだけでなく、「35歳までに2人」という具体的な条件を設けることで、出産時期の先送りを抑え、出生率の維持につなげる狙いがある。
結婚前の健康診断にも100万VND
草案には、結婚するカップルへの支援策も盛り込まれている。
法定の適齢期に結婚する男女のカップルが、保健省の専門的なガイドラインに沿って結婚前の健康相談や健康診断を受けた場合、1組につき100万VNDを支給する案である。
出産だけでなく、結婚や妊娠・出産前の健康管理まで含めて支援することで、人口政策を幅広く進める考えである。
2人出産の割合が高い自治体にも報奨
個人への支援に加え、出生率の維持に貢献した地方自治体へのインセンティブも設ける。
出産可能年齢にある夫婦のうち、2人の子どもを持つ夫婦の割合が70%以上となる状態を3年連続で達成した街区には、ハノイ市人民委員会主席による表彰とともに3,000万VNDを支給する案である。
この状態を5年間連続で維持した自治体については、支援額を6,000万VNDに引き上げる。
個人だけでなく自治体にもインセンティブを設けることで、地域単位で出生率の維持を促す仕組みとなっている。
背景に進む少子化と晩婚化
ハノイがこうした政策を検討する背景には、ベトナム全体で進む少子化がある。
現在、ベトナムの女性1人が生涯に産む子どもの平均数は1.93人で、東南アジアの中でも低い水準にある。
一方で、若者の結婚年齢は上昇している。
保健省によると、ベトナム人の初婚平均年齢は2019年の25.2歳から2024年には27.3歳まで上昇した。5年間で2.1歳上昇しており、それ以前の20年間と比べても上昇ペースは速い。
晩婚化は出産時期の後ろ倒しにもつながるため、ハノイでは一定の年齢までに2人の子どもを持つ女性への支援を通じて、出生数の確保を目指す。
ハノイなど10地域で出生率が全国平均を下回る
保健省は、出生率が全国平均を下回っている地域として、ハノイ市、ホーチミン市、カントー市、カインホア省、ドンナイ省、タイニン省、アンザン省、ドンタップ省、ビンロン省、カマウ省の10地域を挙げている。
これらの地域では都市化や生活コストの上昇、結婚・出産時期の変化など、さまざまな要因が出生率に影響しているとみられる。
今回のハノイ市の草案では、出産した女性への直接的な金銭支援だけでなく、結婚前の健康管理や自治体への報奨制度まで組み合わせ、出生率を維持するための環境づくりを進める方針である。
2027年からの施行を予定
草案に盛り込まれた結婚支援、出産時の金銭支援、出生率の維持に貢献した自治体へのインセンティブは、2027年1月1日からの施行が予定されている。
財源はハノイ市の予算を基本とし、法令に基づくその他の財源も活用する。
少子化が徐々に顕在化するベトナムでは、これまでの「人口増加」を前提とした人口政策から、出生率をどのように維持するかという政策への転換が進みつつある。ハノイの今回の支援策も、その変化を象徴する政策の一つとなりそうだ。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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