ベトナムがロシア、フランスとの経済・技術協力を新たな段階へ進めようとしている。従来のように、ベトナムが相手国から製品や技術を購入するだけではなく、共同で生産し、共同で研究し、製品を生み出す関係へ転換する考え方である。
ベトナムのトー・ラム書記長兼国家主席のロシア・フランス訪問を受け、レ・ホアイ・チュン外相は、今後の外交・経済協力では両国とのサプライチェーンを相互につなぎ、具体的な共同事業を増やしていく必要があるとの認識を示した。
「買う・売る」から「一緒に作る」へ
今回の訪問について、レ・ホアイ・チュン外相は、ベトナムとロシア、フランスの関係を新たな方向へ導く重要な機会になったと評価した。
ロシアへの訪問は、1991年以来、ベトナムの党・国家の最高指導者による初の公式訪問となった。また、フランスへの公式訪問はトー・ラム書記長兼国家主席にとって2回目であり、フランスが主催した国際的な宇宙関連首脳会議にも参加した。
今回の一連の外交日程では、ベトナムとロシア、フランスの首脳間で、両国関係の現状や今後の方向性について高いレベルの認識が共有されたという。
短期間の訪問でありながら、企業、科学技術分野での会合や協力文書の締結など、多くの協力案件が進展した。
特に重要なのが、今後の協力に対するベトナム側の「考え方の転換」である。
従来は、ベトナムがロシアやフランスからどれだけ製品を購入するか、あるいは相手国へどれだけ輸出するか、技術を移転してもらうかという関係が中心だった。
これに対し今後は、ベトナムと両国が共同で生産し、共同で研究し、共同で製品を開発することを目指す。
単純な貿易関係ではなく、企業や研究機関を結び、ベトナムとロシア、ベトナムとフランスの間でサプライチェーンそのものを構築する考え方である。
科学技術を新たな成長分野に
こうした転換の中で、科学技術は重要な柱となる。
ベトナム、ロシア、フランスはいずれも、科学技術分野を今後の協力における新たな突破口として位置付けている。
単なる技術移転にとどまらず、共同研究や人材育成、製品開発などを通じて、ベトナム側がより深く技術開発のサプライチェーンに参加することが狙いとなる。
特にフランスとの関係では、宇宙分野への期待が大きい。
今回フランスで開催された宇宙関連首脳会議では、トー・ラム国家主席の参加と演説がフランス側や各国、国際機関から評価されたという。
ベトナム側は宇宙を単なる科学研究の対象ではなく、今後の新たな成長空間と位置付けている。
フランスは宇宙科学、応用技術のほか、宇宙関連企業でも強みを持つことから、ベトナムにとって協力余地が大きい分野とみられている。
ロシアとは原子力・エネルギー、鉄道・物流を重視
ロシアとの協力では、戦略的かつ象徴的なプロジェクトを優先する方針である。
具体的には、ニントゥアン1原子力発電所プロジェクトをはじめ、石油・ガス、エネルギー、鉄道、物流などが重点分野として挙げられている。
これらの分野では、単純な設備やサービスの購入だけでなく、共同研究、技術移転、人材育成などを組み合わせた協力を進める考えである。
特にエネルギーや鉄道、物流は、ベトナムの今後の経済成長を支える基盤分野でもある。ロシアが持つ技術・産業基盤と、ベトナムの市場や生産能力をどのように組み合わせるかが重要になる。
フランスとはEVFTAを軸に企業連携を強化
フランスとの関係では、EU・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)のさらなる活用が重点となる。
ベトナム側は、貿易や投資、市場アクセス、物流、サプライチェーンに存在する障害を取り除き、フランス企業が具体的なプロジェクトにより深く参加できる環境を整える方針である。
単に両国間の貿易額を増やすだけではなく、企業同士の連携を深め、ベトナムを生産・研究・供給網の一部として組み込んでいくことが重要となる。
また、協力事業については双方の利益を調整しながら、法令遵守、品質、安全性、長期的な経済性を確保することも求められている。
合意を「具体的なプロジェクト」に変える
今回の外交協議で示された方針を実際の成果につなげるため、ベトナム政府は今後、合意事項を具体的な行動計画やプロジェクトへ迅速に落とし込む方針である。
各省庁、地方政府、関係機関、企業が連携し、何をするのか、いつまでに実施するのか、誰が担当するのか、責任者は誰なのか、最終的に何を生み出すのかを明確にする。
そのうえで、実際の利益や具体的な成果を重視してプロジェクトを進める考えである。
トー・ラム国家主席は、プロジェクトごとに発生する問題や障害について、ベトナムの指導部と政府が対応し、解決を図る姿勢を示している。
これは、外交上の合意を締結すること自体を成果とするのではなく、合意を実際の投資、研究、生産、人材育成へつなげることを重視する姿勢と言える。
ベトナムの対外経済協力が新たな段階へ
今回示された方針は、ベトナムの対外経済協力が一段階変わりつつあることを示している。
これまでのベトナムにとって、海外との経済関係は「輸出を増やす」「海外から投資を呼び込む」「先進国から技術を導入する」といった形が大きな意味を持っていた。
しかし、経済規模が拡大し、国内企業の技術力や生産能力も向上する中で、今後は海外企業や研究機関とどのような価値を共同で生み出すかが重要になる。
今回のロシア・フランスとの協力方針も、その延長線上にある。
「何を買うか」「何を売るか」だけではなく、「何を一緒に作るか」。
この考え方を実際のプロジェクトに落とし込めるかどうかが、今後のベトナム外交・経済協力の成果を左右することになりそうだ。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
ベトナム進出支援LAI VIEN





























