ベトナムのトー・ラム書記長兼国家主席は9月9日、ロシアのモスクワを訪問し、ウラジーミル・プーチン大統領と会談した。両首脳は、ベトナムとロシアの包括的な戦略的パートナーシップを新たな段階へ発展させる方針で一致した。
経済・貿易、エネルギー、原子力、科学技術、教育など幅広い分野で協力を強化するほか、二国間貿易額を早期に150億USDまで拡大する目標を掲げた。
ベトナムとロシアの関係を新たな段階へ
プーチン大統領はトー・ラム書記長兼国家主席の訪露を歓迎し、今回の訪問は両国の伝統的な友好関係と包括的な戦略的パートナーシップにとって重要な節目になると評価した。
プーチン大統領は、ベトナムをロシアにとって信頼できるパートナーであり、アジア太平洋地域における優先的な協力相手の一つと位置付けていると表明した。
これに対しトー・ラム国家主席は、ベトナムが独立・自主、多角化・多元化の外交政策を進める中で、ロシアを重要かつ最優先級のパートナーの一つと位置付けていると強調した。
両首脳は、政治面での信頼関係を維持するとともに、経済や科学技術など実務的な協力を一段と強化することで、両国関係の実効性を高めていく方向性を確認した。
二国間貿易150億ドルを目指す
両国は経済協力を二国間関係の主要な推進力と位置付け、政府間委員会の役割を強化することで一致した。
特に、二国間貿易額を早期に150億USDまで引き上げる目標を掲げ、両国企業による投資や事業連携を促進する。
具体的には、食品産業、畜産、水産加工、海洋経済、加工・製造業、木材加工、造船、技術人材、教育、サービスなど幅広い分野で、新たな生産・供給網の構築を進める方針である。
これまでの協力分野にとどまらず、両国企業が新たな事業領域を開拓することが期待されている。
エネルギー協力、原子力にも拡大
エネルギー・石油・ガス分野は、これまでベトナムとロシアの戦略的協力を支えてきた主要分野である。
今回の会談では、こうした従来の協力に加え、原子力、風力、ガス火力など新たなエネルギー分野への協力拡大についても協議された。
なかでも原子力の平和利用について、両首脳は戦略的な意義を持つ分野との認識で一致した。
プーチン大統領は、ロシアが原子力分野で培った経験や技術の共有、人材育成への支援、ベトナムの需要に応じた協力を進める用意があると表明した。
ベトナムにとって原子力は、今後の電力需要の増加に対応するための重要な選択肢の一つとなっており、ロシアとの協力が両国関係の新たな柱となる可能性がある。
科学技術・デジタル分野を新たな成長分野に
両国は、科学技術、イノベーション、デジタル化を包括的な戦略的パートナーシップの新たな推進力とする方針でも一致した。
2026年に実施されている「ベトナム・ロシア教育・科学技術交流年」を契機として、研究機関、大学、イノベーションセンター、テクノロジー企業間の連携を強化する。
また、ロシアが強みを持つ基礎科学や先端技術分野で、ベトナムの学生や研究者がロシアで学び、研究する機会を拡大するほか、若手研究者同士の交流も促進する。
防衛・安全保障でも協力を継続
防衛・安全保障についても、両国は戦略的協力の重要な柱として維持・強化することで一致した。
軍事技術分野での協力に加え、非伝統的安全保障上の課題への対応、国際犯罪やハイテク犯罪の防止、緊急事態への対応などでも連携を進める。
ビザ免除や人的交流の拡大も視野
教育、文化、スポーツ、観光など人的交流の拡大についても協議された。
両国は、市民が相手国を訪問し、学び、働くための環境を整える方針を確認。トー・ラム国家主席は、プーチン大統領がベトナム国民に対する査証免除を前向きに検討することに期待を示した。
また、ベトナム側は2027年に「ロシア文化シーズン」をベトナムで開催することへの協力を表明した。
両国は文化・教育面での交流を深めることで、政府間だけでなく国民レベルでの関係強化も進める考えである。
APEC 2027へのプーチン大統領招待
トー・ラム国家主席はプーチン大統領をベトナムへの国賓訪問に招待するとともに、2027年11月にフーコックで開催予定のAPEC首脳会議への出席を要請した。
プーチン大統領は招待に謝意を示し、ロシアとしてベトナムを支持し、APEC首脳会議の成功に向けて協力する意向を表明した。
また今回の訪問では、トー・ラム国家主席に2026年のレフ・トルストイ国際平和賞が授与された。
ベトナム・ロシア関係を「実効性」の段階へ
今回の首脳会談では、従来からの政治的・歴史的な友好関係を確認するだけでなく、経済、エネルギー、原子力、科学技術、教育など具体的な協力分野を広げる方向性が示された。
両国は訪問の成果を踏まえ、新たな段階における包括的戦略的パートナーシップのさらなる強化に関する共同声明を発表した。
ベトナムにとってロシアは、外交上の重要なパートナーであると同時に、エネルギーや原子力、科学技術などで技術・人材面の協力を期待できる国でもある。今後、今回確認された協力方針がどこまで具体的な投資や事業につながるかが注目される。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
ベトナム進出支援LAI VIEN





























