日本企業のベトナム南部における投資先が、今後メコンデルタへ広がる可能性が出ている。日本貿易振興機構(JETRO)ホーチミン事務所の岡部光利所長は、ホーチミン市や周辺地域に進出してきた日本企業の一部が、将来的な移転先としてメコンデルタを検討していると明らかにした。
9月11日、カントー市では市政府と日本の関係機関・企業などによる交流会が開かれた。ベトナム・日本文化・貿易交流プログラムの一環として開催されたもので、日本側からはカントー市に対する投資環境改善への要望も示された。
日本企業の投資先がメコンデルタへ
岡部所長によると、これまで日本企業によるベトナム南部への投資は、ホーチミン市やドンナイ省、タイニン省などに集中してきた。
しかし、ホーチミン市で事業用地の使用期限を2040年以降に迎える企業が増えることから、一部の企業では将来的な移転先としてメコンデルタを検討しているという。
こうした動きは、カントー市にとって新たな投資を呼び込む機会となる。
一方で、企業が実際に移転先を決めるには、土地や交通などのインフラだけでなく、進出後に安定して事業を続けられる環境が不可欠である。
JETROが求める行政手続きの簡素化
日本側が特に改善を求めたのが、行政手続きと法制度の運用である。
JETROはカントー市に対し、行政手続きを複雑にしないこと、法制度を整備すること、さらに制度の運用を透明化することが重要だと指摘した。
日本企業にとっては、投資を決める段階だけでなく、進出後に事業を安定して運営できるかどうかも重要な判断材料となる。
そのため、インフラ整備と並んで、企業が行政手続きや法制度を予測しやすい環境を整えることが、今後の投資誘致を左右するとみられる。
カントーへの日本の累計投資は16億USD超
日本とカントー市の経済関係はすでに一定の規模に達している。
2026年6月時点で、日本からカントー市への累計投資額は16億USDを超えており、情報技術、電子機器製造、エネルギーなどの分野に集中している。
在ホーチミン日本国総領事館の小野益央総領事は、ベトナムと日本の関係が投資や貿易、文化など幅広い分野で強化されていると説明した。
ホーチミン市と南部各省・市の日系企業で構成されるホーチミン日本商工会議所(JCCH)の会員数も1,000社を超えており、日本企業によるベトナム経済への関与は広がっている。
JICAは交通、農業、環境分野を支援
国際協力機構(JICA)もメコンデルタで幅広い分野の協力を進めている。
JICAホーチミン事務所の伊藤氏によると、同機構は交通インフラ、環境、人材育成などの分野で地域との協力を進めている。
特にメコンデルタでは、気候変動や塩害、都市部の浸水などへの対応が重要な課題となっている。JICAは、こうした環境変化に強い農業の構築についても研究・支援を進めている。
また、カントー市では行政機構の再編後も安定した行政運営が続くことを期待しており、今後の都市発展について市側との協議を続ける方針である。
カントー市も日本企業を重要なパートナーと位置付け
カントー市のチューン・カイン・トゥエン人民委員会主席は、日本の企業や関係機関を今後の持続可能な発展に向けた重要なパートナーと位置付けた。
カントー市側は、日本企業が強みを持つ分野として、高度農業、食品加工、物流インフラ、スマートシティー、デジタル化、環境保護、観光、高度人材の育成などを挙げている。
カントー市としても、日本との交流を通じて新たな協力分野を開拓し、今後の投資や事業機会につなげたい考えである。
「ホーチミン市の次」の投資先になれるか
今回の交流会で注目されるのは、日本企業がメコンデルタを単なる農業地域としてではなく、将来的な事業拠点の移転先の一つとして見始めていることである。
特に、ホーチミン市周辺で土地利用期限を迎える企業が今後増えるのであれば、メコンデルタへの投資需要が高まる可能性がある。
その際、カントー市に求められるのは投資誘致のための優遇策だけではない。行政手続きの分かりやすさ、法制度の透明性、インフラ、そして進出後も安定して事業を続けられる環境を整えられるかが、企業の移転先選びで重要になる。
メコンデルタ最大の都市として、カントー市が「ホーチミン市周辺に続く日本企業の新たな拠点」となれるかが今後の焦点となりそうだ。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
ベトナム進出支援LAI VIEN





























