ベトナム北部のクアンニン市は、2026年1~9月の域内総生産(GRDP)成長率が12.54%となり、全国で首位となった。第3四半期だけでも15.04%の成長を記録している。行政運営の効率化や成長目標の数値管理、重点プロジェクトの用地確保、公共投資の促進などが成長を支えている。鉄道や港湾、再生可能エネルギーなどのインフラ整備も進め、地域経済のさらなる拡大を目指す。
成長率は全国首位、四半期ベースでも15%超
ベトナム統計局のデータによると、クアンニン市の2026年1~9月のGRDP成長率は12.54%となり、全国で最も高かった。第3四半期の成長率は15.04%に達し、こちらも全国首位となった。
クアンニン市党委員会宣伝教育委員会のグエン・ティ・ハイン委員長は、10月13日の報道機関との定例会合で、この結果について、党委員会と行政当局による科学的かつ迅速な指導に加え、住民や企業が規律と協調の精神を持って取り組んだ成果だと説明した。
同市は、行政運営の仕組みや地域の位置付けが変わるなかで、新たな成長段階に入っているとしている。
KPIを活用し、目標・担当・進捗を明確化
クアンニン市が重視しているのは、政策を具体的な行動と成果に結び付ける行政運営である。
2026年の重点方針として掲げたのは、「経済成長の飛躍、都市の質の向上、中央直轄市の基準の早期達成」である。中央政府の決議や指示を地域で実行する際には、抽象的な方針にとどめず、数値で測定・検証できる具体的な目標を設定している。
ハイン委員長は、担当者、業務内容、進捗、成果をそれぞれ明確にすることを重視していると説明した。KPI(重要業績評価指標)を用いた評価や行政運営についても、具体的な数値に基づいて管理しているという。
また、2層制の地方行政モデルを効率的に運用するため、クアンニン市人民委員会は各局や地方行政機関への権限移譲・委任に関する64件の決定を出した。成長率の見通しについても、四半期ごと、月ごとにシナリオを作成している。
例えば、ある月に輸入が停滞したり、税負担の上昇によって特定分野の活動が鈍化したりした場合には、ほかの分野の成長を促して補う方針だ。特定の産業や時期の変動に左右されにくい経済運営を目指している。
都市計画を見直し、観光・物流・海洋経済を強化
成長を支えるもう一つの要素が、都市計画と開発空間の再編である。
クアンニン市は複数の計画を承認・修正し、インフラを一体的に整備するとともに、観光、サービス、工業、物流、海洋経済といった重点産業の発展を進めている。
国会がクアンニンを省から市へ移行させる決議を採択してから1カ月余りで、同市への投資や事業機会に関心を示す投資家が大幅に増えたという。
市は今後の成長を見据え、新たな成長モデルの確立や新時代におけるクアンニン市の発展に関する戦略計画を策定している。特別経済区の試験導入、遺産を活用した経済、文化産業、夜間観光商品の開発なども検討対象となっている。
こうした取り組みは、観光資源に依存するだけでなく、工業や物流、海洋関連産業を組み合わせて地域経済の基盤を広げる狙いがある。
重点32プロジェクトの用地確保率は約90%
クアンニン市は、企業の投資や事業活動を促すため、業種ごとに企業との協議を重ね、生産・事業活動の障害となっている問題の解決を進めている。
ハイン委員長は、投資上の障害を把握するだけでなく、問題を解決して投資資金が早期に有効活用される状態をつくることが重要だと述べた。
特に重視しているのが、用地取得と立ち退き・移転を含む用地整備である。市内には用地確保が必要なプロジェクトが数百件あるが、そのなかから成長を牽引する32件を選び、優先的に取り組んでいる。
対象面積は約1万ヘクタールに上り、この重点プロジェクト群では約9,000ヘクタール、約90%の用地整備が完了したという。
投資家がすぐに着工・投資できる用地を確保することで、プロジェクトの停滞を防ぎ、資金の投入から事業開始までの期間を短縮することを目指している。
高速鉄道・風力発電・港湾整備を成長の柱に
クアンニン市は、公共投資の執行を加速させるとともに、重点インフラプロジェクトの工事を進めている。新たな成長の原動力として、ハノイ―クアンニン間の高速鉄道やクアンニン1風力発電事業など、多数のインフラ案件の着工を進めている。
さらに、地域間の接続性を高める戦略的インフラの整備も検討している。主な案件は次の通りである。
- ハイフォン―ハロン―モンカイ鉄道: クアンニン市と周辺地域を結ぶ交通網の強化を目指す。
- バクルアン3橋: 国境地域の交通接続を強化する構想である。
- カイラン港湾地区の再編: 既存の港湾エリアの機能転換と新たな港湾地区の開発を組み合わせて検討する。
- コンオン―ホンネト地域の大規模港湾: 海上物流の拠点形成に向け、港湾システムの開発を検討する。
これらの計画は、都市内の交通整備にとどまらず、北部の産業集積地や港湾、国境地域との連携を強めることを目的としている。
高成長を持続させるには投資の実行力が鍵
クアンニン市の高い成長率の背景には、目標を数値で管理する行政運営、投資上の障害の解消、重点プロジェクトの用地確保、インフラ整備の推進がある。
ただし、成長率の高さを持続的な経済発展につなげるには、計画や着工だけでなく、投資の実行、施設の稼働、企業活動の拡大が実際の経済効果を生み出すことが重要となる。
高速鉄道や港湾、風力発電などのプロジェクトがどこまで具体化し、観光・工業・物流などの産業と結び付くかが、クアンニン市の今後の成長を左右することになりそうだ。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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