ベトナムビジネス情報Vol113|
屋内最大級! ジャパンイベント

FEEL JAPAN 2019

広く日本を紹介する展示会とイベント「FEEL JAPAN 2019」が8月3日と5日の2日間、ホーチミン市のWHITE PALACEで開催された。今回で5回目。出展ブースは94、来場者は2日間で前回の3万人から約3万8000人へと増加した。


来場者を呼ぶ3つのゾーン

会場をWHITE PALACEに変えて2回目となるFEEL JAPAN。昨年と同様に数多くのベトナム人が押し寄せ、2日とも大盛況だった。会場は大きく2つに分かれ、入って左側がショッピング&フードゾーン、右側がトラベルゾーン、その間の通路にも幅広いブースが並ぶ。

その中央ゾーンの正面に2台のクルマを展示したのが、初めてメインスポンサーとなった完成車メーカーのVIETNAM SUZUKI。リーズナブルな価格で、光沢のある赤と青の車体が人目を引いた。

「弊社はベトナムではまだ有名と言えませんので、メインスポンサーとなって広くアピールしたいと思いました。うれしいことに初日から商談があり、数台が売れています」

羽田空港(東京国際空港ターミナル)は和風の装飾でブースを作り、輪投げゲームで家族連れを引き込む。輪が入ると千代紙のセットをプレゼント。また、「帰りの空港内で最後の本格和食を」と和食の食品サンプルも展示していた。

「訪日促進と地方再生を目的に、羽田空港の利便性の高さや空港の特色をアピールしています。3年前から世界の展示会に参加し続けて、今回が16回目です」

House Foods Vietnamは小さな容器に入った、ジャワカレーのカレーライスを配る。ベトナムではまだ馴染みが薄いカレーだが、前回に比べて気軽に受け取るベトナム人が増えたようだ。

Brother Vietnamは何台ものミシンを展示し、スタッフが主婦らしき女性来場者に使い方を教えていた。試し縫いをする年配の女性たちの手付きがミシンに馴染んでおり、確かめるような表情が真剣だ。

ベトナムに広がる日本の商品

ショッピング&フードゾーン内の手前がショッピングゾーンだ。目立つのはコスメ系の商品で、各種化粧品、スキンケア、シャンプー、関連グッズなどが各ブースで盛り沢山にあり、女性たちが興味深そうに手に取り、サンプルを試す。若い人が多いためか、購入しやすい価格がほとんどだ。

また、アプリをダウンロードして登録をすると、景品が当たるという仕掛けがいくつかのブースであった。高価な商品はあまりないが、多くの人がスマホを片手に人だかりができていた。

田辺真珠養殖場は代表取締役の田辺伴一氏が来越。FEEL JAPANには初回から出展しており、日本産のアヤコ真珠を販売。中国人客が主流なのでベトナムにも販路を広げようとしている。

「最初の頃は『えっ、これ何?』という方がほとんどでしたが、少しずつ浸透してきたと感じます。1万円などでは売りにくいので、2000~3000円の商品を中心に持ってきました」

それでも今回は初めてSNSでオーダーが入り、100~200万円のものが売れそうだという。商品は日本からの郵送になるが、中国に送ると紛失することが珍しくなく、ベトナムでは安心と語る。

NISSEI EBLO VIETNAMは初出展。今年5月に設立されたばかりで、市場調査と日本のメーカーの販売支援が目的だ。ロボット掃除機、フェイシャル機器、ダイエットサプリなどを展示していた

「お客様に好評です。初日の午前中で、390万VNDに割引したロボット掃除機が3台売れました」

CMキャラクターのさだきち君などでお客を呼ぶのはNippon Kodo Vietnam。お香はベトナム工場での生産品と日本からの輸入品で、色鮮やかな各種商品を揃えた。

「ベトナムでは食べ物やペットの匂い消しとして、また、リラックスのための香りとして使われます。お香とともに弊社も知られるようになりました」

自動車内の消臭剤としての商品もあり、ベトナムでのカーオーナーの増加が見て取れた。

商社のASAHI SANGYO VIETNAMは初出展。「灯りプラスワン」というコンセプトで、ベトナムに製品を広げたいという。展示品はスマートフォンの充電ができるライトスタンドや、LEDライトで室内で野菜を栽培する機器など。スマートな外観が目に留まるのか、興味深げに見つめる人が多い。

「ライトスタンドが半日で5台売れて、驚いています。ただ、多少嵩があるので、買ったお客様から『なぜ持ち運び専用の袋がないのか』と叱られました(笑)」

美味しいが少し寂しいフード系

フードゾーンではAcecook Vietnamに人が群がっていた。無料のカップラーメンを配っているからで、通路が塞がるほどの混みようだ。変わったところではDANNY GREENがメロンを販売。美味しそうなマスクメロンは10万VND/kg。試食品を食べさせてもらったが甘くて美味しかった。

デザート系はBeard Papaがシュークリームやドーナツ、Chiyoda Sushiはロールケーキや小さなホールケーキを販売。昨年ロンドウック工業団地に工場を設立したICHIOKA VIETNAMは和菓子だ。

「特に売れているのがタイ焼きで、足りずに会社に急遽追加オーダーをしました。日本から持ってきたスイートポテトなど洋風なものより、和風とわかる商品が人気です」

主食系のブースは数種類が入った寿司パックのChiyoda sushi、フランクフルトをメインとしたSHINSHU NT、得意のとんかつでカツサンドを作った初出展のFUJIRO。どこも売行きが良かったが、天ぷら盛合せや各種おでんなどがあった前回に比べると全体的な品数が減った。

フードゾーン前のテーブルが常に埋まっているのは昨年と同様で、出展はベトナム人の胃袋にアピールできる大きなチャンス。希望する企業はぜひ今からご検討を。

訪日客を呼ぶ様々な手法

前回はショッピング&フードゾーンに比べてトラベルゾーンは入場者が少なく感じたが、今回は多かった気がする。訪日旅行者の増加で、日本各地に興味を持つ人が増えたのかもしれない。

出展は県や市町村などの自治体、鉄道や航空などの輸送会社、ツアーを組む旅行会社がメインだが、ここでは少しユニークな内容を紹介したい。

関西テレビ放送はベトナムの声放送局(VOV)のテレビ番組をPR。日本で以前に放送していた「走れ!ガリバーくん」のベトナム版を共同制作するからで、ベトナムのタレントが新潟、大阪・京都、鳥取などを訪れて、各地の名産品や観光地を紹介する番組だ。

8月下旬から9月上旬に日本でロケをして、ベトナム側で制作し、9月下旬から放送予定。番組は1回30分で、1地域で前後編の2回を放送、再放送が2回あるという。

「前回の番組が好評でVOVさんからオファーがあり、今回が2回目です。訪問予定の自治体さん、提携するANAさんやJRさんもここに出展していますよ」

各地へのツアーはH.I.S.が提携する地場のSong Han Touristが担当。日本の専門企業がタッグを組んで訪日旅行を後押しする、大型プロジェクトとなっている。

主催企業の1社であるSong Han Touristは、旅行業務以外で物販も行っている。それがドラえもんのトラベルグッズで、ドラえもんのTシャツ、ぬいぐるみ、飛行機内用ポータブル枕、キャリーバッグなども販売しており、若いスタッフたちが笑顔でお客に呼びかけていた。

東京メトロ(東京地下鉄)は駅員の制服でアピール。地下鉄のないベトナムではイメージしてくれるだけで十分とのことで、一緒に写真を撮りたいという来場者も。

「訪日観光客向けの1日乗り放題パスなどを知らせに来ました。そのため、東京の街並みや走行中の車内から見える風景などをVRで見てもらっています」

トラベルゾーンにはメインステージがあり、花魁ショー、忍者ショー、マジックショー、ベトナム人歌手のミニライブの他、2日とも最後は日本旅行が当たる抽選会が行われた。

「その場で買える」を大切に

今回の来場者は約3万8000人で、出展ブース数は94。十分に成功と呼べるが、実は主催者側は「飽きられてしまうこと」を危惧していた。オフィシャルサイトへのリーチは昨年より多かったが、事前登録数はわずかに昨年に及ばず。Kilala Communicationの取締役社長、笠戸公文氏は語る。

「多少心配しましたが、初日の開催9時前には道路に列があふれるほどの人が集まりました。イベント自体が根付いてきたと感じて、今年はFEEL JAPANのロゴを前面に出すようなPRにしました」

FEEL JAPANは訪日と物販の両方を扱うが、どちらも「その場で買える」ことが大きな特徴であり、今回も全体でかなりの売上があったそうだ。しかも中間層では中々手の届かない価格帯の商品までが好調で、メディアとしての『Kilala』が富裕層へもリーチしていると実感している。

「皆、新しいものを買いたいのだと思います。今後も売る側と買う側をうまくつなげる場を提供したいですね」