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早わかり!ベトナム法律事情 Vol.42
離婚が制限される場合ってある?
ベトナムの婚姻家族法制

―― ベトナム人の友達が、最近、奥さんが不倫していることに気づいて家出をしてしまいました。彼は離婚を決意していますが、奥さんが同意してくれずに困っています。離婚できる方法はないですか?

ラン そのお友達から離婚を請求することが考えられます。ベトナム婚姻家族法では、夫婦の一方から離婚を請求できる場合として、「夫婦の権利や義務に関して重大な違反があって、婚姻が深刻な状況に陥り、共同生活の維持ができず、婚姻の目的を達成することができない根拠がある場合」が定められています。

 そのお友達の場合は、奥さんの不倫を理由に、裁判所に離婚を請求することが考えられます。ただ、そのような根拠があっても、夫からの離婚請求が認められない場合もありますので、注意が必要です。

―― それはどのような場合ですか?

ラン 奥さんが妊娠中、または出産して1歳未満の子を養育している場合です。この規定の趣旨は、こうした場合は夫の存在は不可欠であろうから、夫婦間で仮に色々な問題があったにせよ、離婚は認めずに、女性と子供の利益を保護することと考えられます。

―― この前、その奥さんが2人目の子供を妊娠しているという話も聞きました。ということは、その子供が1歳になるまでは離婚できず、奥さんと同居するしかないのでしょうか?

ラン そうですね。その場合は、子供が1歳になるまでは夫からの離婚請求は認められません。

―― 2人でもう一度話し合って、今後のことについて合意できれば一番いいですね。

Nhiep Thi Lan ニエップ・ティ・ラン
長島・大野・常松法律事務所ホーチミン・オフィス、パラリーガル。2017年ハノイ法科大学卒業。その後、名古屋大学大学院で2年間修士課程を修めて、現在は法令リサーチ等弁護士の業務のサポートを行う。