多くのベトナム企業は、2050年までに温室効果ガスの排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)を目指すというベトナム政府の方針を、まだよく理解できていない。
2021年の国連気候変動サミット(COP26)において、ベトナムは気候変動への対応を約束した。その中で、ベトナム政府は2050年までに温室効果ガスの排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)という目標を設定した。
多くの海外メディアは、途上国による温室効果ガス排出量削減を野心的かつ明確な目標と捉え、ベトナムを地球温暖化対策に積極的な国としてランク付けした。
この会議の中で、ファン・ミン・チン首相は気候変動に対応し、自然環境を回復させる取り組みを、あらゆるレベル、業種、企業、市民にとって最重要な倫理課題として位置づけると強調した。
8月上旬に開催された第5回全国環境会議で、国連開発計画(UNDP)ベトナム支部のケイトリン・ウィーゼン所長は、ベトナムが2050年までにカーボンニュートラルを達成するためには、3300億~3700億USDが必要になるとの試算を発表した。この資金には、国内外から公的および、民間の資金援助が必要とされる。
統計によると、現在、エネルギー分野は温室効果ガス排出量の3/4を占めている。そのため、カーボンニュートラル実現を目指すためには、石炭、ガス、石油による火力発電を風力発電、太陽光発電などの再生可能エネルギーに置き換えることが重要な鍵になる。ベトナムの電力マスタープランⅧの草案によると、ベトナムは2030年以降、既に承認済みのプロジェクトを除いて、新規の火力発電所の建設を止め、時代遅れの技術で長年稼働している火力発電所を段階的に閉鎖するとしている。
天然資源・環境省は、現在国会に提出されている環境保護法において、カーボンクレジットを創出するなどカーボンマーケットに関する内容を記載し、国内外の企業が需要に応じてカーボンクレジットを取引できるようにした。
今年の初めごろ、レ・バン・タイン副首相は、各分野の温室効果ガスインベントリをまとめたリストの公布決定書に署名した。それによると、エネルギー、物流、建設、製造、農業・林業、不動産開発の6分野が温室効果ガス排出削減対象に指定されている。
多くの国では、既に1つの製品を製造する際に発生する排気ガスの排出量を計算する方法を検討し始めている。今後5年間で、この方式は、ベトナムの輸出企業にとって新たな貿易障壁となる可能性がある。しかし、ベトナムの多くの企業は、カーボンニュートラルに向けたベトナム政府の誓約事項について、ほとんど何も知らない。
国連の定義によるとネット・ゼロ・エミッションまたは、排出量実質ゼロとは、温室効果ガスの排出量をできるだけ早期にゼロに近づけることを意味する。残った排気ガスは、海や森林などによって吸収される。
カーボンニュートラルの世界を目指すことは、製造、消費、輸送の技術革命と同様、人類が直面している最大の課題の一つだ。この目標を達成するために、各国の政府と企業は、排出される二酸化炭素を吸収できる規模の森林などの自然保護や、二酸化炭素を削減、回収する技術の活用などに取り組む必要がある。
世界的に見ると、世界の温室効果ガス排出量の76%を占めている中国、アメリカ、EU諸侯などをはじめとした70カ国以上が温室効果ガス排出量ゼロの目標を設定している。更に、1200社以上の企業が科学的根拠に基づいた削減方針を示しており、1000以上の都市、1000以上の教育機関、400以上の金融機関がこの取り組みに参加している。
出典:11/08/2022 VNEXPRESS
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